住空間をトータルコーディネートする「ホームファニシング」業態を日本で初めて確立。自社開発商品が大半で、海外輸入比率は9割超 住空間をトータルコーディネートする「ホームファニシング」業態を日本で初めて確立。自社開発商品が大半で、海外輸入比率は9割超

『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!

今週の研究対象 
円高で儲かる企業
(ニトリホールディングス)

月初からいきなり波乱が起こった8月の相場だが、今後は円高が続くというのが所長の見通しだ。では、円高で儲かる企業の代表格って?

助手 8月の相場、とんでもないスタートを切りましたね。5日の日経平均は、なんと前日比4451円安の3万1458円42銭をつけました。下落幅は過去最大らしいですね。しかも翌6日は前日比3217円高と、こちらは過去最大の上げ幅で一気に値を戻しました。どうしてこんな乱高下が起こったんですか?

坂本 日米の金利動向が原因のひとつかな。まず、7月末に日銀が0.25%の利上げを発表しました。その後、米国で雇用統計が発表されたんですが、これが思いのほか芳しくなく、利下げが強く意識され始めた。日本の利上げと米国の利下げがセットになれば、理屈としては円高に向かいます。

加えて、このところ超低金利の円を借りて高金利のドルなどで運用する手法がはやっていたんですが、その前提条件が崩れたとみた海外投資家が取引を一気に解消したことで円高が加速しました。円高となれば、日本経済の屋台骨を支える製造業などの業績悪化が懸念されます。それで市場がパニックに陥り、売りが広がったんです。

助手 円高はまだ続きそうですか? 

坂本 教科書どおりなら、円高傾向は続くと思う。為替予想で有名なニトリホールディングス会長の似鳥昭雄さんも、先日の決算説明会で円高基調が1~2年は続くと見ていたし。ちなみに、今年は130円台後半での推移を予想しているらしい。

助手 ニトリの会長が、どうして為替予想で有名なんです?

坂本 同社は典型的な円高追い風企業だからね。円安になるなら備える必要があるから、為替の動向に敏感にならざるをえない。ニトリは会長の為替予想のうまさで難局を乗り切ってきた側面もあるんです。その予想の鋭さは投資界隈では有名で、年末年始の経済番組などで会長が向こう1年の為替予想を披露して投資家が盛り上がる、っていう一連の流れは風物詩になりつつある。

助手 円高が追い風って、今後の投資先として有望ってことですよね。ニトリが円高で儲かる理由って?

坂本 同社は企画・製造から小売りまでを一貫して手がける、いわゆる製造小売業(SPA)という手法で成長してきました。小売りの現場でキャッチした流行やニーズをいち早く企画に落とし込んで、自社向けに特化した工場で効率的に製造すれば、売れる商品を素早く低コストでそろえられる。だから「お、ねだん以上。」になるわけですが、その要である工場が海外にあるんですよ。つまり、ニトリは家具を輸入しているから円高が追い風になるわけです。

助手 なるほど。円高になると、具体的にどれくらいのインパクトがあるんですか?

坂本 対ドルで1円の円高方向に動くと、だいたい経常利益が20億円押し上げられる計算です。ニトリは通期の為替レートを1ドル150円と想定して業績予想を出しているから、もし会長の為替予想どおりに130円台の円高になれば、通期業績は200億円以上は上振れる。

助手 すごいじゃないですか!

坂本 しかも、同社は円高をひたすら待ってただけじゃないからね。超円安でも利益を確保できるように、1ドル160円になっても利益が出る商品を今年から投入するようです。130円台なら、それらの商品の利幅がさらに拡大するわけだから円高の恩恵は今まで以上に大きくなるでしょう。円安傾向が拡大していた昨年にも着実に利益を伸ばしていたし、安心して投資できる企業ですよ。

今週の実験結果 
本来は円高恩恵企業なのに円安が続いた昨今も利益を伸ばしていたのはスゴい!

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坂本慎太郎

坂本慎太郎さかもと・しんたろう

こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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