PER的には割高に見えるが、業績予想が控えめなことも一因にありそう。8月26日には100円上昇しストップ高となった PER的には割高に見えるが、業績予想が控えめなことも一因にありそう。8月26日には100円上昇しストップ高となった

『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!

今週の研究対象 
円高で儲かる企業③
プラッツ

前回に引き続き、円高恩恵銘柄をおかわり! メジャーな銘柄はすでに反応し始めているので、出遅れているニッチな銘柄を探したい。所長、とっておきを教えて!

助手 直近2回で円高が追い風になる銘柄を検討しました。内心、また7月頃の1ドル160円に戻るんじゃないかと心配してたんですが、現状は145円台でひと安心です。

坂本 まぁ、1ドル160円台はさすがにいきすぎだった。日米の金利差も今後縮小する見込みで当時とは環境も変化したから、あれほど極端な円安には戻らないと思うよ。

助手 じゃあ引き続き、円高で儲かる企業を探したいですね。

坂本 ニトリとかのメジャーどころはもう紹介したし、前回取り上げたパルグループをはじめ一部の円高追い風銘柄はすでに株価が動き出してるからなぁ。まだ、注目を浴びていない地味な銘柄って意味で面白そうなのはプラッツかな。

助手 どんな企業なんです?

坂本 同社は介護用や医療用の電動ベッドの製造・販売を手がけています。病院や施設からニーズをヒアリングして、本当に必要な機能だけに絞った低価格商品を供給している点に特徴がある。主な販売先は在宅介護用品のレンタル業者や医療施設、高齢者施設だから、一般的な知名度は低いかもね。だからこそ株価が出遅れてる面もあるんだけど。

助手 円高が有利になる理由って?

坂本 これまで見てきた銘柄同様、海外で製造して国内で販売しているからですよ。主にベトナムや中国、韓国などの現地工場で生産しています。

助手 それなら普通に考えて円高は追い風になりますね。円安が続いた前の期はともかく、今期の業績は期待できそうです。業績予想はどうなんですか?

坂本 2025年6月期の業績予想によると、経常利益は前期比14%減になっています。

助手 え、全然ダメじゃないですか。

坂本 それが、私はふたつの理由で業績予想が上振れるんじゃないかと思ってるんですよ。

助手 どういうことです?

坂本 まず、業績予想のもとになっている為替レートが1ドル152円で設定されるからね。足元のレートは145円台で想定より円高に振れています。円高傾向が続くという予想が現実になれば、業績はいくらか上振れるはず。想定為替レートは会社側が公表してることも多いから、業績予想と併せて確認したほうがいいよ。同社では「決算短信」という書類に記載されている。

助手 そんな情報が。ちなみに業績上振れのふたつ目の理由って?

坂本 今期は医療用ベッドが会社予想よりも売れるんじゃないかと思ってるんです。実は前期、医療用ベッドはどのメーカーも販売数が振るわなかった。というのも、2024年は病院の収入源である診療報酬の改定時期が従来より2ヵ月後ろ倒しになり6月までズレこんだから。つまり病院は「今後の収入がどうなるかわからないから、いったん設備投資を控えたい」という発想になるわけ。それが確定したことで、医療用ベッドへの投資が再開されるはずです。その波にうまく乗れれば業績上振れも期待できる。

助手 なるほど。それも「決算短信」とやらに書いてある?

坂本 いや。この情報は、プラッツと同じく医療用ベッドを手がけるパラマウントベッドの決算短信に書いてありました。プラッツもそうですが、企業自身の情報発信が少ないケースでは、同業他社の発信内容が投資のヒントになることもある。参考にしてみてください。

今週の実験結果 
海外店舗がほとんどない分、円高の恩恵を大幅に享受できそうです!

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坂本慎太郎

坂本慎太郎さかもと・しんたろう

こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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