坂本慎太郎さかもと・しんたろう
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
どこもかしこもお米がない!? あったとしても高いッ! こういうテーマは、いかにも街歩き投資向きのネタだ。コメの卸売りを営むヤマタネに注目した!
坂本 この秋も2900品目を超える食品が値上げの予定らしいですよ。さて、恒例のスーパーでの売り場調査を始めましょうか。
助手 あれ? この店では、まだお米が品薄なんですね。わずかに並ぶお米も、値段が高い!
坂本 地域によっては、まだ新米が出回ってないみたいですね。
助手 ただ、この夏にコメが品薄だったのは23年産が不作だったからで、新米が流通すれば値段も落ち着くって話でしたよね。
坂本 いや、コメの値段は元に戻らない可能性がありますよ。
助手 え、なんで戻らないんです?
坂本 不作の原因となった温暖化は今後も継続する一方、コメの需要自体が増えたわけじゃないから、今すぐ増産するわけにもいかないでしょう。
助手 それなら、コメを扱う企業って有望ですか? 値上げで利益が伸びそうだし、株主優待でお米がもらえる銘柄なら人気が出るかと!
坂本 うーん。確かに値上げはできると思うけど、そもそも需要は右肩下がりだからねぇ。むしろ不作で仕入れが難しくなって、業績が圧迫される可能性すらある。コメ関連の銘柄を狙うなら、コメ以外にも事業の柱がある銘柄を検討するほうがいいんじゃないかな。優待でお米をもらいつつ、他事業がハネて株が値上がりするのを待つ作戦です。
助手 難しいものですね。どこかオススメの企業はありますか?
坂本 ヤマタネが面白いと思うよ。事業はコメの卸売りを含む食品関連、倉庫や配送などの物流関連、不動産賃貸、コンビニの棚卸し用機器やシステム構築を手がける情報関連の4本柱。300株保有でお米2kgがもらえる株主優待もあるし。
助手 ずいぶん多角化してるんですね。脈絡がなさすぎなんでは?
坂本 もともと、コメを産地から輸送する問屋として創業して倉庫業を買収。さらに創業者が同じだった山種証券のシステム部門を引き取って情報関連事業を始めた。金融系の会社は業務用システムを自社開発していたケースが多いから、証券会社が源流のシステム開発会社って意外とたくさんあるんです。不動産は、倉庫のある海沿いの江東区や大田区、さらに証券会社時代の名残で茅場町にも物件を持っています。
助手 なるほど。それでヤマタネはどの事業が期待できそうなんです?
坂本 ズバリ、不動産関連です!
助手 やっぱりコメじゃないのかぁ。
坂本 食品事業は利益率が低すぎるし、大幅な需要増も見込めないからね。注目したいのは賃貸用不動産の莫大な含み益ですよ。同社の持っている土地物件は都心の一等地が多いため、含み益が300億円以上にまで膨らんでいます。一方、同社の時価総額は約350億円に過ぎません。不動産以外の事業価値を考えると株価はかなり割安だと思わない?
助手 確かに!
坂本 足元の株価が割安という以外にも材料が。ヤマタネの本社は江東区越中島という場所にあるんですが、その再開発プランが来年5月に決定します。現状、越中島は工業地帯で都心でも一、二を争うほど乗降客数の少ない駅ですが、東京駅から2駅、4分の立地を考えると、賃貸オフィスビルとしてのポテンシャルは大。再開発が成功すればヤマタネの不動産含み益はさらに膨らむから、株価の水準が一段高くなってもおかしくない。優待のお米をもらいながら長期投資すると面白いと思います。
今週の実験結果
時価総額350億円に対して保有する不動産の含み益は300億円以上です!
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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