日野秀規ひの・ひでき
フリーライター、個人投資ジャーナリスト。社会経済やトレンドについて、20年にわたる出版編集経験を活かし幅広く執筆活動を行なっている。専門は投資信託や ETF を利用した個人の資産形成。
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自民党新総裁就任を受け、9月30日の株式市場は"石破ショック"に見舞われた。日経平均は約1900円、4.8%も急落し、新政権に対する不信一色に染まった形だ。
その後石破首相は岸田前政権の経済政策を引き継ぐと発表。株式市場はいったん落ち着きを取り戻したが、この先の展開は不透明だ。
そこで10人の専門家に、ひとりひと銘柄ずつ、とっておきの隠し玉をこっそり教えてもらった!
最初にご意見を伺ったのはストラテジストの大川智宏氏。この7、8月と続けて訪日外国人客数が同月過去最高を記録し、今後もさらなる伸びが期待できる「インバウンド需要」を取り込む成長株に着目しているという。
「旅先のお土産やギフト用プレミアム菓子の製造・販売で勢いに乗る寿スピリッツです。高価格帯の商品を手がけ収益性バツグンなことに加えて、最近世間を騒がせている為替がどちらに振れても大丈夫という、特殊な立ち位置こそが同社の魅力といえます」
今後、仮に円安が進めば訪日客の購買が追い風になるし、一方で円高に振れても原材料価格の下落によるメリットを受けられる。今後1、2年での株価躍進は堅いと大川氏は太鼓判を押す。
「目標株価は2400円。現状から4割程度の上昇は十分考えられると思います」
インバウンドビジネスには、『会社四季報』伝説の元編集長こと山本隆行氏も注目している。
高級眼鏡ブランド「金子眼鏡」と「フォーナインズ」が訪日外国人客の間で人気を博しているJapan Eyewear Holdingsがイチ押しで、"眼鏡業界のエルメス"と称される存在だとか。株価は底値圏にあり、再び上昇すれば上場来高値更新も射程圏内に入る、と山本氏は至って強気だ。
インバウンド需要以外にも、国内消費関連で隠し玉があると耳打ちしてくれたのが、証券アナリストの藤本誠之氏だ。
「パチンコ・パチスロ店を対象とする不動産賃貸と貸金業という、極めてニッチながらも14兆円規模という巨大な市場における唯一の上場企業で、圧倒的な存在感を誇るJALCOホールディングスは有望です。大型案件の増加が見込まれており、今後1~2年で100億~150億円の利益上積みが期待できます」
もくろみどおりの展開となれば株価も大きく動く。藤本氏によれば、来秋までになんと株価3倍、1000円突破も狙えるという激アツ銘柄だ。
同じくエンタメ業界からは、株式コメンテーターの岡村友哉氏も注目株を発掘。ゲーム制作会社を悩ませる人手不足という大問題をカバーする、人材会社のコンフィデンス・インターワークスは、上場以来の増収増益路線を継続中だ。
「意欲を示しているグロース市場からプライム市場への移行に成功すれば、それをきっかけに急騰もありえます。株価は大きな節目となる3000円を当面の目標としておきます」
地方創生に防災庁創設と、石破政権ではインフラ関連需要が盛り上がっていきそうだ。そこでマーケットアナリストの平野憲一氏は、インフラに強いIT企業を推している。
「アドソル日進は、電力やガスなどのエネルギーから道路・鉄道、航空・宇宙、そして医療や防災に至るまで、幅広い領域のソフト開発を手がけています。売上高と営業利益は共に過去最高を更新しており、15期連続増配という安定性はピカイチです」
すでに石破氏が総裁選に勝利してから株価は右肩上がりで推移しているが、これはまだまだ序の口。2025年度末には3000円、つまり約60%上昇は期待できると、平野氏はさらに上を見ている。
ここで一転、海外で稼ぐグローバル企業に目を向け、10年で株価4~5倍は狙える期待の成長株を推奨してくれたのが福井純氏。会員制投資情報誌『株式ウイークリー』の現役編集長だ。
「酉島(とりしま)製作所は液体を縦横無尽に送る産業用などのポンプの有力メーカーで、売上高に占める海外比率は6割を超えます。海水を淡水化する設備のポンプでは世界トップクラスで、過去最高益を5年連続で更新する見通しです」
経営計画では2030年の売上高1000億円程度を目標としているが、すでに800億円を超えている現状を考えるとあまりに保守的。その分、現在の株価は液化水素ポンプなど将来の利益成長と投資家の注目度上昇を織り込めていないと福井氏は見ている。
「同社の潜在能力からすれば、例えば10年後に現在の利益が3倍以上になると予想するのは決して過大評価ではありません。そうなれば、投資家の期待を示すPER(株価が利益の何倍になっているかを示す指標)も上昇し、株価も上がります。じっくり保有して10年後に株価が4~5倍程度になるのを楽しみに待ちたいものです」
ほかにもふたりの識者が、海外で活躍する企業を推薦してくれた。高配当株投資で資産8億円を突破した投資家のかんち氏は、中古車の輸出・検査などを手がけるオプティマスグループに注目。
オセアニア地域で急成長していながら、配当利回り約4.7%と株価は割安で、配当収入と株価上昇の両方に期待できそうだ。
そして本誌で連載『街歩き投資ラボ』を担当する株式評論家の坂本慎太郎氏は、自動車のワイパー製造で海外売り上げが7割に達するミツバを推奨。ガソリン車・EVを問わず使われる製品であるにもかかわらず、現在の株価はあまりに安すぎで、3年以内に3500円、現状の4倍もありえるということだ。
個別の株式投資に慣れていない人には、複数の銘柄に分散投資するファンドやETF(上場投資信託)が向いている。株式アナリストの宇野沢茂樹氏は、先進国の中で断トツの将来性を誇る米国で、中でも連続増配を重ねる優良企業に投資する「バンガード・米国増配株式ETF」をセレクト。
ファンドアナリストの篠田尚子氏は、同じく成長力にあふれるインドで、国家インフラ計画を追い風に伸びるインフラ株式に投資する「HSBC インド・インフラ株式オープン」を挙げてくれた。
どちらも長期保有向きで、忘れた頃に大きく育っているという展開に望みをかけたい銘柄だ。
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フリーライター、個人投資ジャーナリスト。社会経済やトレンドについて、20年にわたる出版編集経験を活かし幅広く執筆活動を行なっている。専門は投資信託や ETF を利用した個人の資産形成。
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