経済産業省の「グローバルニッチトップ企業100選」に選定されている。配当利回りは約3%あり、長期保有に向いた銘柄だ 経済産業省の「グローバルニッチトップ企業100選」に選定されている。配当利回りは約3%あり、長期保有に向いた銘柄だ

『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!

今週の研究対象 
アメリカ大統領選挙(エスペック)

日本の株価は、米国の株価に連動しているとよくいわれる。であれば、米国の先行きを占う大統領選は、日本の投資家にとっても重要トピックだ。どっちが勝っても追い風になる銘柄ってある!?

助手 アメリカ大統領選挙が11月5日に迫ってきました。日本株にも影響ってあるんですか?

坂本 大アリだよ。日本の株式市場は米国市場と連動する傾向があるし、輸出企業ならアメリカの政策や景気に大きく左右される。

助手 日本の企業はトランプとハリス、どっちが勝つと有利に?

坂本 トランプが勝った場合は、日本企業への影響は読みにくいんだよね。減税が継続されたら、輸出企業に恩恵があるとは思うんだけど。

助手 はっきりしないなぁ。じゃあハリスが勝ったら?

坂本 ハリスは副大統領時代に再生エネルギー関連設備やEVのメーカーに補助金を出す「インフレ抑制法」の制定に尽力した経緯がある。だから、当選すれば環境関連ビジネスに追い風が吹くと思う。

助手 所長が注目してる企業は?

坂本 エスペックです。ハリス当選で有利なのはもちろん、もしトランプ大統領でも業績は期待できる。成長市場で地位を確立しているからね。

助手 どっちに転んでも業績は伸びると。死角ナシじゃないですか! 何をやっている企業なんですか?

坂本 環境試験器のメーカーだよ。世界シェア30%以上、国内シェア60%以上を握るグローバルニッチトップ企業です。ほかに受託試験も手がけてます。

助手 企業の製品がどれくらい環境に負荷をかけるか、判定するビジネスってことですか。

坂本 そうじゃない、逆だよ。温度や湿度、振動といった外部環境に、製品がどの程度影響を受けるかを試験するんです。EVや自動運転車は環境変化にシビアな面があるから、エスペックの環境試験器や試験サービスは今後需要が伸びるはずです。

助手 なるほど、EV関連銘柄としてハリス当選の追い風があると。

坂本 そう。トランプの当選でEV化が多少遅れたとしても、自動運転の開発は止まらないはず。どう転んでもエスペックには期待できるわけ。

助手 頼もしいですね。EVや自動運転車は環境変化に弱いんですか?

坂本 EVのバッテリーが寒さに弱いんですよ。それに、モーターを制御するパワー半導体をはじめ、半導体の数がガソリン車と比べてグッと増える。半導体は温度変化や振動に弱いからね。エスペックの環境試験器で各部品の設計値の限界の湿度や気温を再現して、耐久性を確認する必要があるわけ。自動運転車にも半導体は大量に使われている上、「目」の役割を担うミリ波レーダーやLiDARといったセンサーは、精度が気象条件に左右されてしまう。

助手 EVや自動運転車の登場で、環境試験の重要性が高まってるんですね。でも、それなら環境試験を事業化する競合が現れるんじゃ?

坂本 競合もいるけど、検査対象の大型化に対応できる設備がないんです。この点、エスペックなら大型ラボ「全天候型試験ラボ」に車そのものや大型センサーユニットを搬入できる。おまけに同ラボは、温度や湿度はもちろん、雨からみぞれになって雪に変わるといった「動的気象環境」を再現できる世界初の施設でもある。この施設があれば、ユーザー企業の要望に細かく応えた条件で試験ができる。これがユーザー企業を増やすことにつながっています。

助手 牙城は崩れそうもないですね。

坂本 ええ。PERは11倍と、EVや半導体で恩恵を受けるほかの企業と比べて割安。実質無借金経営だし、長い目で投資したいですね。

今週の実験結果 
競合が簡単に追いつけないグローバルニッチトップ企業。財務も健全で、株価も割安です

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坂本慎太郎

坂本慎太郎さかもと・しんたろう

こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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