近兼拓史ちかかね・たくし
庶民生活に欠かせない"激安"と"大衆娯楽"をライフワークとする作家・映画監督。ジェネリック家電推進委員会代表理事、日本映画監督協会理事。主な著書に『安くてもスゴイ!ジェネリック家電の世界』(集英社)『80時間世界一周』(扶桑社)など、主な監督作品に『恐竜の詩』『痩馬の詩』『銀幕の詩』など。『近兼拓史のウィークリーワールドニュース』(ラジオ大阪・ラジオ日本ほか)が毎週放送中。
2025年の買い物で最も注目すべきは......やっぱりトランプ! 世界経済の動向を握るあの男が何を考え、何を仕掛けてくるのか。そこから逆算していけば、何をいつ買えば一番安いのか、かなり明確に予測できる。トランプ発の大乱世を利用してハッピーライフ!
全国1億2500万人(推定)の激安ファンの皆さま、こんにちは! 恒例のテッパン企画でございます!
数々の訴訟を抱え、挙句の果てには暗殺されかかったトランプが、米大統領選挙に加え上下両院も共和党が多数派を占める"トリプルレッド"の圧勝でアメリカの頂点に返り咲き。
今後4年間暴れ回ることは間違いなく、特に就任1年目は「アメリカファースト」の旗の下、無慈悲な"トランプ砲"で世界経済を大きく動かすでしょう。
一方、わが国の石破政権は、いつ倒れてもおかしくない少数与党。しかも「2025年問題」で少子高齢化の負の側面がますます表面化し、日本経済は先行き不透明です。
しか~し、国が頼りにならずとも、個人で生活を守るすべはあります。各界の"激安の達人"の知恵を借り、乱世を華麗に乗り切りましょう!
おなじみの激安ハンター、じつはた☆くんだ氏の宣誓!
「宣誓! われわれはプロの激安テクニックを全力で駆使し、ふてほどのまたトラ時代をダンダダンと乗り切ることを誓います!!」
とはいえ、1月20日のトランプ就任以降、世界情勢が流動化するのは必至! そこで今回は、例年のような時系列に沿った月次情報はカレンダーの一覧表に集結させ、こちらの本文では、重点分野にポイントを絞った予測と知恵を全力でお伝えします。
まず登場するのは、2024年も空前の株価ジェットコースター相場を読み切り、さくらインターネット(2月)、古河電気工業(11月)の売り抜けでボロ儲けした某中堅証券会社の辣腕アナリストA取締役!
「トランプは就任前から中国、メキシコ、カナダへの関税強化をブチ上げましたが、日本にとっても対岸の火事ではない。
なぜなら円安もあり、コロナ明けから日本の対米自動車輸出は絶好調! アメリカからのインバウンド観光客も増えまくり! これをトランプは『日本がアメリカの富を吸い上げている』とみるはずで、アメリカ製品の輸入拡大、そして円高への転換を求めることは確実です。
さすがに露骨な為替介入はできませんが、為替レートとマネタリーベース比から計算すると、トランプはズバリ、秋までに1ドル=120円台のラインを狙うでしょう」
ならば、円高の恩恵を探しましょう! 関西物流界の雄、某スーパーチェーンのB統括部長、いかがでしょう?
「日本で人気があるアメリカ製品のひとつが牛肉。その規制が緩和され大量に輸入されると、流通量増加と円高のダブル効果で、国産も含めた牛肉の価格がグッと押し下げられます。輸入牛コマ肉ならズバリ、年末までに100g150円まで下がるでしょう。これは24年の約半額です。
また、ウクライナ戦争が停戦となれば小麦価格が落ち着く。ただし、一度上げた価格を下げることには各メーカーとも抵抗があります。そこで流行しそうなのが、『お値段据え置きで50%増量』といった増量キャンペーン。インスタントラーメン、パン、ドーナツ、ビスケットなど、ぜひパッケージに気をつけておいてください」
これは見逃せない! さらに、こんなマル秘情報も。
「国際社会の対ロシア制裁が徐々に緩和されるとすれば、制裁の"副産物"だった激安ロシア産ズワイガニは今年が最後かもしれません。一方、カニ界には北海道で大発生しているオオズワイガニというニューカマーがいます。
カレイ漁の網を破る厄介者ですが、ズワイガニと味も食感もさして変わらず、単価は4分の1ほど。たくさん食べて漁師さんに協力しましょう!
それと、この冬はブリが豊漁。オススメは1匹丸ごと買いです! 刺し身だけでなくカマの照り焼きに尾の身の煮付けなど、どの部位もウマい。最近はお好みにさばいてくれるスーパーも多いので、友達と山分けしましょう」(B統括部長)
そして、為替が円高に振れるなら復活するのが海外旅行。某中堅トラベルサイトの営業サブマネジャーCさん、オススメは?
「やはり本命はハワイ旅行でしょう! 1ドル=160円だとハンバーガー1個で軽く1000円超えという地獄でしたが、120円前後まで下がればすべてがおトク感たっぷり。
ピーク時に3泊5日2人ホテル同室・エアチケットセットで総額46万円だったのが、円高に加えて原油価格(=燃料サーチャージ)も下がれば、冬の平日プランなら20万円で購入可能です! 日中なら十分温暖で、ビーチもプールも楽しめますよ」
もうハワイなんて一生行けないと諦めてました。うれしい......(涙)。
「国内旅行も話題たっぷりです! 2月には24年も大ヒットした『旅せよ平日!JR東日本たびキュン~早割パス』利用で東京-新青森が往復1万円、そしてJR西日本の山陽新幹線全線開業50周年キャンペーン『WESTERポイント超特典きっぷ』なら新大阪-博多が往復1万1200円! 激安新幹線で浮いた予算でグルメも味わい放題です!」
博多のイカ活造り、青森ならウニとアワビたっぷりのいちご煮!
ところで、トランプが対中国関税強化に動くと、日本にはどんな影響が?
「関税強化で米市場での競争力を失った中国製品は、必ず日本市場に活路を求めます。すでにアメリカでは1ドルショップなど、輸入価格上昇に耐え切れない業種の倒産が始まっていますが、逆に日本では100均や500円ショップなどに中国製の低価格製品が大量導入されるはず。
実は、現時点でもブルートゥースイヤホンやスピーカーなど、米市場仕様の英字印刷のまま市場導入されている製品は少なくありません。1年ごとに買い替える消耗品のような製品は迷わず買い! 雑貨好きやガジェット好きにはたまらない豊作年になりますよ」(前出・じつはた氏)
ちなみに、その恩恵を最大限受けられる時期は、11月のブラックフライデー!
「本場アメリカでは年間で最も物が売れる3日間で、日本でも楽天やアマゾンが盛り上げており近年だいぶ定着しました。この最大のビジネスチャンスに、米市場で価格競争力を失ったチャイナベンダーが一斉に日本市場に参入!
特に米仕様製品は完全に処分品となり、採算ラインを無視しての叩き売りとなる見込みです。説明書が英語のみだったり、サイズ表記が日本と違ったりと多少の不便さはありますが、それを理解した上であればこれほどおトクな買い物はありません。
衣料品にガジェットに、どれも5割、6割引きは当たり前。9割引きも多数出てくるはずです!」(じつはた氏)
中国製品はたっぷり買うとして、国産で何かお買い得の大物はありませんか?
「ドーンと大きくおトクを味わいたいなら、まずオススメしたいのが新世代4K液晶テレビですね。有機ELの画質に押されて人気下降気味だった液晶テレビ陣営ですが、新技術の『ミニLED&量子ドット』採用で、有機ELに迫る漆黒表現と高彩度を手に入れました。
まだまだ値段は高止まりの感があったのですが、アメリカで人気のTCLやハイセンスといった中国メーカー製品が関税強化で行き場を失い、一気に処分価格で日本市場へ大量輸入されます。これに引きずられるように、国内メーカーの製品も相対的に価格が下落するでしょう。
最大の買い時はズバリ、6月に本格化する夏のボーナス商戦! タマ数の多い65インチクラスを例に取れば、TCLなら発売時24万円の『65C755』が底値10万円での攻防。国産メーカーでは、発売時41万円の東芝『REGZA 65X8900L』が15万円前後まで下がるはず。どちらを選んでも超おトク!
ちなみに、同じ理由でアンドロイドのスマートフォンも各社、一気に値を下げると予想されています。機種交換時期の人には大チャンスです!」(じつはた氏)
これはうれしい!
そして、最後にもう1点。25年は、電気自動車(EV)の中古車の価格が爆下がりすると予想されているらしい。某大手中古車ディーラーの買い取り部長D氏にじっくりと話を聞こう。
「25年は、EVの基幹技術であるバッテリーが、従来のリチウムイオンバッテリーから、より安全で容量が大きい次世代の全固体電池へといよいよ切り替わり始める年になりそうです。
EVは購入に際して国や都道府県の高額な補助金を受けられる代わりに、3~4年間の保有義務期間を課せられています。そのため、義務期間が終わると売却するユーザーは必ず一定数います。
その一方で、新しいもの好きのユーザーや新たにEVへの乗り換えを考えている人の多くは、わざわざ現行バッテリー搭載の中古EVを買おうとはせず、全固体搭載モデルを待つ。結果、状態のいい中古EVが市場にダブつくと予想されている――そんなわけです。
旧式といってもバカにはできません。例えば日産『リーフ』の場合、メーカーが発表している電池寿命は『8年・走行距離16万㎞』。多くの中古車はまだまだ十分な電池寿命を持っています。そんな優良な中古EVが、車両価格20万円(支払い総額40万円)前後でかなり選び放題になりそうなんです!
値は張っても全固体電池の新型モデルを待つか、10年に1度の技術革新のタイミングを利用して逆に安い現行モデル中古車を買うか。十分検討に値する選択肢ではないでしょうか?」
これで25年もワクワクな買い物ライフを送れること間違いなし。それでは皆さん、また1年後にお会いしましょう!
庶民生活に欠かせない"激安"と"大衆娯楽"をライフワークとする作家・映画監督。ジェネリック家電推進委員会代表理事、日本映画監督協会理事。主な著書に『安くてもスゴイ!ジェネリック家電の世界』(集英社)『80時間世界一周』(扶桑社)など、主な監督作品に『恐竜の詩』『痩馬の詩』『銀幕の詩』など。『近兼拓史のウィークリーワールドニュース』(ラジオ大阪・ラジオ日本ほか)が毎週放送中。