坂本慎太郎さかもと・しんたろう
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
昨年は物流や建設、医療の現場で人手不足が起こる「2024年問題」が取り沙汰されたが、今年は今年で団塊世代が後期高齢者になる「2025年問題」があるようだ。連想される投資先は?
助手 働き方改革で物流業界の輸送能力が不足する「2024年問題」が投資テーマになったことがありましたよね。実は「2025年問題」ってのもあるらしいんですよ。今年はこれでひと儲けできませんか?
坂本 確かにあるけどね。1947~49年に生まれた、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者になったことで懸念されるのが2025年問題です。何しろ国民の5人に1人が後期高齢者になるわけだから、人手不足はもちろん、社会保障費の増大とか医療・介護体制の逼迫とか、起こりえる問題はいろいろある。
助手 あ、どれも昔からわかっていたことで目新しさはないですね。
坂本 そう。だから、2025年問題っていうテーマで急に株価が上がる企業はないんじゃないかな。ただ、超高齢化社会が追い風になる銘柄への長期投資はアリだけど。
助手 具体的にはどんな企業が?
坂本 高価格帯の介護付き有料老人ホームを運営しているチャーム・ケア・コーポレーションなんかいいね。
助手 高齢者が増えれば老人ホームの入居者も増えますもんね。ただ、競合も増えて大して儲からない気が。
坂本 確かに今でも低価格帯のホームは過当競争で経営が厳しい。でも、チャーム・ケアは中・高価格帯の施設を展開することで巧みに競争を避けてるんです。一般的なホームは入居費用が175万円ほど、月額利用料は20万円ほどが平均的なんですが、同社には入居費用2000万円超、月額利用料100万円超なんて物件もあるからね。常駐のコンシェルジュを置いたり、ホテルのような豪華な内装や食事で付加価値を高めてるんです。場所も、首都圏なら品川区や目黒区、鎌倉市といった高所得者が多い一等地に進出しています。だから利幅も大きくて儲かる。
助手 ほかの企業もやればいいのに。
坂本 したくてもできないんですよ。まず、最近はホーム開設のために自治体の公募枠に応募する必要がある。昔は申請だけで割と簡単に開設できたんですが、介護保険を目当てに経営体力がない事業者の参入が相次いで行政が危機感を抱いた。それで、開設を希望する企業の経営状態などをしっかり審査するようになったんです。となると、上場企業であるチャーム・ケアは有利ですよね。
助手 確かに!
坂本 そもそも高価格帯のホームを造れるような高級住宅地に中小企業が自前で施設を造っても、地価が高すぎて収益化は難しいんだけどね。
助手 チャーム・ケアが収益化できる秘密はあるんですか?
坂本 土地と建物を地主に用意してもらって、それを借りてホームを運営してるんですよ。高級住宅地に昔から土地を持ってるお寺とか大企業ってあるでしょ。そこに投資案件として話を持っていってるわけ。
助手 運営するだけだから儲かると。
坂本 ええ。ただ、自社運営だと施設を増やせるペースに限度がある。人員の確保や教育が必要だからね。そこで自社で土地を見つけて施設を建て、売却する不動産事業を始めた。
助手 施設の建設からやるの?
坂本 そう。実は同社の祖業は建設会社。不動産の情報網を持ってるし、建設もお手の物なんです。施設の買い主は運営をチャーム・ケア以外にしてもいい。つまり同社は人的リソースに左右されず売却だけで儲けられるようになった。これで利益の増加に弾みがついています。一方、PERはこの10年でも割安圏。投資のタイミングとして面白いと思います。
今週の実験結果
PERはここ10年でも割安圏。配当利回りも2.7%あるし、長期保有に向く銘柄では?
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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