本社は石川県白山市。配当が復活し、配当利回りは0.76%。筆頭株主は段ボールや製紙、紙器事業を手がけるレンゴー 本社は石川県白山市。配当が復活し、配当利回りは0.76%。筆頭株主は段ボールや製紙、紙器事業を手がけるレンゴー

『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!

今週の研究対象 
防衛費の増額(石川製作所)

トランプのせいで、世界経済が振り回されっぱなし! そんな中でも、手堅く儲けられる投資先はないものか? ほとんどの人が知らない、マイナーすぎる日本の防衛関連銘柄を発見!

助手 それにしてもトランプはロクなことをしませんね! 4月3日には日本に対して24%もの高率の関税をかけると発表。4月7日には日経平均が一時、歴代3番目の下げ幅となる2900円の下落を記録しました。ひとまず相互関税の一部は90日間停止されることが発表されましたが、トランプ政権は何をやってくるかわからない怖さがありますね。投資はしばらくやめておこうかな。

坂本 不透明感が強いのは確かだけど、投資をやめる必要はないよ。トランプ政権の施策が追い風になりそうな業界もあるし。

助手 そんな業界ありますか?

坂本 ある。例えば防衛産業。トランプ大統領は1期目から日本に安全保障の負担拡大を求めているし、2期目になってからは国防総省の高官が防衛費をGDP(国内総生産)比で3%以上にするように求めています。これから日本は関税の軽減に向けて交渉材料をそろえるわけだけど、防衛費の増額を手土産にする可能性だってある。

助手 なるほど。ちなみに、現状の防衛費のGDP比ってどれくらいなんですか?

坂本 23年度から27年度までの5年間で総額43兆円という決め方で、最終年の27年度にはGDP比2%になる予定です。17年度と比べると7割超の増額になる計算で、今回の件以前から防衛費は増加傾向なんです。つまり防衛強化はもともと国策だった上に、トランプ政権との交渉でさらに予算が積み増しされる可能性もある。だから投資先として有望なわけ。

助手 どの銘柄が良さそうですか?

坂本 今から投資するなら、石川製作所なんて面白いと思います。段ボールにロゴなどを印刷しながら自動的に組み立てる「段ボール製函印刷機」の製造を本業とする一方、船が触れると爆発する機雷や地雷、爆弾などの防衛機器も製造するメーカーです。といっても、今や売り上げの約6割を防衛機器で稼いでるんですが。

助手 印刷機と機雷ですか。すごい組み合わせだなぁ。どんな経緯が?

坂本 同社は1921年創業で、もともとは繊維関係の機械を造っていたんですが、設備を生かして戦時中に海軍の水中兵器を製造するようになったらしいんです。そして戦後もしばらく技術者や工場を温存していたところ、防衛庁(現防衛省)の前身の保安庁が設立されて、今度は防衛機器として納入するようになったとか。

助手 面白いですね。とはいえ、石川製作所って全然聞いたことがないし、時価総額も80億円台で超小型株です。相場が不安定な時期でもあるし、防衛銘柄の代表格・三菱重工業とかのほうが投資先としていいんじゃないですか?

坂本 考え方によるけどね。三菱重工みたいな一流の防衛銘柄は、このところ物色が進んですでに高値になっています。そういう場合、マイナーな銘柄や小型株にも徐々に物色が広がっていくことが多いんです。

助手 まだ高くない、手あかのついてない銘柄が買われるようになると。

坂本 そう。それに、三菱重工などの大型株は、売り上げに占める防衛関連の割合が低いというのもある。防衛機器の発注が増えても、業績にインパクトは小さいかも。一方、石川製作所は売り上げの6割が防衛機器だから発注増は業績をダイレクトに左右します。海に囲まれている日本にとって機雷の重要性は高いから、素直に発注が増えるんじゃないかな。今後の業績向上を期待して投資してみるのもいいと思うよ。

今週の実験結果 
防衛費増額によって徐々に小型株が物色されるはずです!

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坂本慎太郎

坂本慎太郎さかもと・しんたろう

こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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