
坂本慎太郎さかもと・しんたろう
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
本社は兵庫県神戸市。日本初の近代的ゴム工場として1909年に創業し、60年に住友グループが資本参加した。ゴルフ用品にも強み
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
トランプ米大統領が相互関税を発表した影響で、日本株は一時全面安となった。その中には、関税とほぼ関係のない企業も含まれていた。ここから値を戻しそうな企業をスクリーニングした!
助手 前回はトランプ関税が有利に働く銘柄としてNSユナイテッド海運を取り上げました。トランプ大統領のメチャクチャな行動で恩恵を受ける企業があるとは驚きでした。そこで今回もトランプ関税が業績にプラスに働く企業を探したいんですが、いい企業はありませんか?
坂本 難しいねぇ。トランプ関税はまだ不透明すぎて、「業績に追い風」と断言できる銘柄は少ないんです。関税のおかげで投資のチャンスが巡ってきた銘柄ならあるけど。
助手 業績への影響はわからないのに投資チャンスがあるんですか?
坂本 ある。トランプ関税の発表で4月7日に日経平均が大暴落したけど、この暴落はある意味、過剰な反応だったんですよ。発表からわずか2営業日で企業業績への打撃を精査し切れるわけがないんだから。輸出企業の中には「関税」ってだけで投げ売りされて、株価が下がりすぎた銘柄もあった。そういう銘柄を選んで株価の戻りを待つという投資アイデアです。
助手 問題は下がりすぎた銘柄をどう選べば、ってことですが......。
坂本 関税が発表された4月3日の前後から暴落の底になった7日までの値下がり率が大きい銘柄を見てみましょう。住友ゴム工業は直近の高値になった3月最終週の1990円から、4月7日の1285円まで35%近く値下がりしてるね。同じ時期の日経平均の下落率は19%ほどだから、同社の値下がりはいきすぎの可能性がある。
助手 でもほかより激しく値下がりしてるってことは、住友ゴム工業には、やっぱり何か大きな不安要素があるんじゃないですか? そもそも同社はなんの会社なんです?
坂本 国内で2位のタイヤメーカーで、世界で見ても5位くらい。1980年代に英ダンロップ社の中央研究所などを買収して以来、アジア圏で「ダンロップ」ブランドのタイヤを展開しています。同社の値下がり率が大きかった理由は主にタイヤ業界の構造自体が懸念されたということがある。
タイヤの製造には天然ゴムを使うから、工場は天然ゴムの産地でもある東南アジアに多いんです。そこからアメリカをはじめ各国に輸出しているわけ。ところが特に工場が集中しているベトナムは、今回、46%もの高額な関税を課されると発表があった。これで動揺が広がり、タイヤメーカー全般が投げ売りされたんです。
助手 業界全体が売られただけだと。ただ、これだけ関税が高くなるとタイヤメーカーの将来が不安になるのは当然のように思うんですけど。投資しても大丈夫なんですか?
坂本 考えてみてください。今回の関税は対米国の話であって、他国向けには関係ありません。それにアメリカでも車が走り続ける以上、消耗品であるタイヤの需要が減ることはない。アメリカ国内のタイヤ生産量を急に増やすことはできないから、少なくともしばらくの間は従前と変わらない輸入量が続くと思います。
助手 なるほど。心配しすぎですか。
坂本 そう。すでに最悪の状況を織り込んだ株価になったので、さらに値を下げるリスクは低いと思う。特に、住友ゴム工業は売り上げ構成に占める北米の比率が、業界最大手のブリヂストンに比べて全然低いんです。にもかかわらず、下落率は住友ゴム工業のほうが大きく、明らかにいきすぎです。投資家のパニックが収まれば、関税発表前の2000円くらいまで戻す可能性はあると思います。
今週の実験結果
明らかにパニックで売られすぎている。下値リスクが小さい銘柄です
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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