「将棋で負けた傷は将棋で癒やすしかないんです」と語る竹俣紅さん

2010年、小学生として史上初めて女流タイトル戦の本戦に出場。2012年10月には14歳でプロの女流棋士となった、将棋界期待の新星の紅さん。そもそも将棋を始めたきっかけは?

「小学校に入る前に将棋の本を手に取ったら、漢字がいっぱい書いてあっておもしろかったんです」

実際に読んでみると将棋の魅力にハマっていったという。

「でも私の周りに将棋を指せる人がいなかったんですよ(笑)。それで母がネットで将棋連盟の子供スクールを見つけてくれたんです。そこで初めて指してみたら、すっごくおもしろくて!」

その後中学2年生でアマチュアからプロになった彼女。心境にも大きな変化が出てきたんだとか。

「プロとしてお金をもらうことで責任やプレッシャーも感じるし、負けたときの悔しさも大きいんです。将棋ってほかのボードゲームと違って、運の要素が非常に少ないんですよ。負けるのは自分の実力がないから。将棋で負けた傷は将棋で癒やすしかないんです」

最後に彼女の夢を聞いてみた。

「早く昇級して、学生の間にタイトル戦の挑戦者になりたい。周りの友達はファッションや遊びに興味を持っていますけど、私はその時間があったら将棋につぎ込みたいんです。だって将棋が楽しくて好きだから」

●竹俣紅(たけまた・べに)1998年6月27日生まれ 東京都出身日本将棋連盟所属の女流棋士。2010年、第32期女流王将戦の予選に出場し、アマチュアの小学生として史上初めて女流タイトル戦の本戦に進んだ。2012年10月1日付で、女流2級でプロ入り

(取材・文/林 将勝 撮影/佐藤佑一 ヘア&メイク/豆田瑞紀)