『メタルカ-METALCA-』主演の渡辺奈緒子(中央)とバンド役のGacharic Spinのメンバー

3月2日、都内で映画『メタルカ-METALCA-』の完成披露イベントが行なわれ、主演の渡辺奈緒子、ガールズロックバンドGacharic Spin(ガチャリック・スピン)、ゾンビ役のSHAZNAの元ベーシスト・NIYが登壇した。

本作は、ロックを愛する孤独な女・カンナと、メタルを聴くとヘッドバンギングする不思議なゾンビ・鉄男が出会いバンド“HANAJI”を結成。さまざまな葛藤を乗り越えながら自らの道を探していく姿を描いた“青春音楽ゾンビ映画”だ。

音楽、青春、アクション、そしてゾンビという一見バラバラな要素がつまったストーリーがテンポよく展開し、ときおり笑いもおこるなか、あっという間に86分が終了。上映後には、トークショーとバンド役を演じる人気急上昇中のガールズバンド・Gacharic Spinのライブもあり、立ち見も出るほど満場の観客をわかせていた。

メガホンをとった内田英治監督は、生粋の“ロック中毒者”だといい、「究極の音楽映画を撮りたい!」という思いから、本作の企画がスタートしたという。

それだけあって、見どころのひとつはライブシーン。バンドのステージで、鎖につながれたゾンビ“鉄男”が“奇跡のデス声”で観客の心をつかみ、バンドが瞬く間に人気になっていく様子は痛快だ。

これがゾンビ+ガールズバンド“HANAJI”のステージだ! (c)映画「METALCA」製作委員会

迫力のボーカルを披露するカンナ役の渡辺奈緒子は、トークショーで実は激しい音楽が苦手だったと告白。「もともとロックを聴くと頭が痛くなる。でも監督がいろんなライブに連れて行ってくれて、それがもう衝撃的。一度、具合が悪くなって外にかつぎ出されたことも……。でもそこからふっきれました」と、ロック嫌いを克服したことを報告。

今や「観客の上にダイブするシーンは快感だった」と振り返るほどに“成長”した渡辺に、Gacharic Spinのメンバーも「ヤバイ血が入ってると思う。ダイブはバンドやってても怖がる人もいるのに、リハーサルもほとんどなくキレイに飛んでった」と驚きを隠せない様子だった。

続くGacharic Spinのライブでは、内田監督が「ガールズバンドで随一」と絶賛する超絶演奏にエンターテイメント感あふれるパフォーマンスで、映画館が一瞬で“ガチャピン”ワールドに。途中で渡辺も飛び入り参加したが、美人女優が片足をスピーカーにのせ険しい表情で「ウォー!!」とデス声をあげる姿に、集まったファンも大喜びだった。

上映後はGacharic Spinのライブで大盛り上がり!

飛び入り参加の渡辺。美女の豹変ぶりにファンもあ然

“変なゾンビ映画”と、米ゾンビ映画祭で大ウケ

イベント後、内田監督がインタビューに応じてくれた。

―ものすごい異色のストーリーですが、着想はどこから?

「僕はもともと毎週ライブハウスに通うような音楽好き。音楽映画もたくさん見て、いつか自分で撮りたいと思っていました。でも、日本の音楽映画ってイケメン役者がクールにやる感じですよね。そうじゃなくて、もっとゴチャゴチャしてふざけた音楽映画を作りたかったんです」

―それでゾンビ映画とは…! もともとゾンビ映画も撮りたかったんですか?

「いや、ゾンビ映画にそんなにこだわりはなくて、まずはバンド映画ありきです。ゾンビ映画が今キテるからというのもちょっとありますが、なんといっても、かまれるとヘドバンするのが、どうしてもやりたかったんですよ(笑)」

―ゾンビ映画の撮影は楽しそうですが、大変そうですね。

「メッチャ大変でした。予算も最低限だし、なかなか今こういう映画撮れないじゃないですか。ほとんどみんなで手作りで。睡眠時間1時間くらいで2週間ずっとやってました」

(c)映画「METALCA」製作委員会

―そのかいあって、本場アメリカのゾンビ映画祭にも招待されたとか。

「変なゾンビ映画だってことでアメリカでウケて、その後には南米最大のファンタスティック映画祭のゾンビ部門にも正式招待されました。評価されたのはやっぱり“青春”の部分かなと思います。日本ぽい要素なので。Gacharic Spinも海外でも大人気のバンドです。アニメやジャパンカルチャーを連想させるようですね」

―劇中も先ほどのライブもすごくカッコよかったですが、今回Gacharic Spinを起用したのは?

「以前から彼女たちのファンでよくライブに行っていました。今日も多くのファンが集まっていますが、見てわかるとおり日本のガールズバンドでは随一の演奏力。ルックスもかわいいいし、盛り上げ力もある。ネクストブレイクの一番手だと思います」

―主演の渡辺さんのデス声にもしびれました。美女がスゴむと迫力がありますね。

「ウオー―ッ!てね。頑張ってました(笑)。今ごろ声がかすれてるんじゃないかな。彼女はもともと激しい音楽は苦手で、普段はシガー・ロスとかそういうのばっか聞いてますから」

―最後に週プレ読者へPRをお願いします。

「やっぱり週プレといえばグラビアですよね。本作にはお尻と胸がセクシーなビキニゾンビも出ますから注目です(笑)。バンドもカッコいいし、女のコたちもかわいいので、ぜひ観に来てください!」

内田英治監督

●内田英治(うちだ・えいじ)1971年 ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。2004年に映画『ガチャポン』で監督デビュー。最新作『グレイトフルデッド』は多くの海外映画祭で評価され、ゆうばり国際映画祭2014ではインディペンデント映画としては異例の招待作となる

■『メタルカ-METALCA-』5月17日(土)~渋谷・ユーロスペースにてレイトショー公開予定!【http://animoproduce.co.jp/product/pro-metalca.html

(取材・文/田山奈津子 撮影/五十嵐和博)