「視聴者の予想を裏切ったり、超えたりする企画じゃないと面白くないじゃないですか」と語る加地倫三氏 「視聴者の予想を裏切ったり、超えたりする企画じゃないと面白くないじゃないですか」と語る加地倫三氏

『ロンハー』『アメトーーク!』の敏腕プロデューサー・加地倫三(かじ・りんぞう)氏が、正直すぎる本音トークで大活躍中の坂上忍氏とタッグを組んだ新番組『坂上忍の成長マン!!』がスタートした。この話題の新番組について、加地氏を直撃した。

■企画の成否は2勝3敗でもいい

―坂上忍さんの初冠番組ということで話題になっていますが、そもそも『坂上忍の成長マン!!』を始めようと思ったキッカケは?

加地 坂上さんはすでにいろんなバラエティ番組に出演されていて、面白い人だなとは思っていたんです。それで、昨年末に収録した『ロンドンハーツ×ジュニアと田村淳のラブ婚&ダメ婚合体3時間スペシャル!!』でご一緒して、フロアでずっと見ていたんですけど……とにかくビックリしたんですよ。

―どんなことに?

加地 場の空気を読みながら、平然と壊しにいける。これってなかなかできることじゃないんです。すごく勇気がいりますし、いろいろな意味で実力者だなって思いましたね。あと、アンバランスなのがいい。毒を持っているのにかわいい部分があったり、ベテランなのにどこかフレッシュさがあったりして。顔はベビーフェイスなのに表情は少し怖いとか(笑)。

―すっかり加地さんを魅了してしまったんですね。

加地 そう(笑)。だから、その収録後、すぐ後輩に「坂上さんで企画書を書いたら?」って言いましたもん。それと並行して、ウチの部長に「坂上さんは一過性の人じゃなくて、ちゃんと実力があるから番組をやったほうが面白いですよ」って根回しをして。

―その企画書が『成長マン!!』のもとになっているんですね。

加地 いや、全然違う内容でした(笑)。あれこれ考えたときに、坂上さんは“毒”の部分が一番評価されていると思うんですが、それを前面に出しすぎるのも、坂上さんはしんどいでしょうし。だから逆に振ってみようと思って。坂上さんは自ら「ダメ人間」って日頃から言っているから、じゃあ「成長」かなって。人間はマンなので、『成長マン』みたいな(笑)。

若い人たちに迎合した番組作りをしないこと

―具体的にはどんな番組なんですか?

加地 坂上さんに対して「こうすれば成長できますよ」っていうお節介な人が毎回登場して、いろんなことをプレゼンしていくんです。ただ、本人は成長する気なんてないでしょうから、ちょっとでも興味を持ってくれればと。

―『成長マン!!』は24時15分からの放送。加地さんが担当する番組はプライム帯や深夜が多い印象があります。

加地 やっぱり人には向き不向きがあって、僕は深夜のほうが向いていると思っているので。ターゲットも同世代や若い世代のほうがやりやすいんですよ。ただ、絶対的に気をつけているのは、若い人たちに対して「これがはやっているんでしょ」って変に合わせにいかないこと。僕も40代ですし、若い人たちのリアルな感覚はない。なのに迎合した番組作りをすると、すっごいダサいものになっちゃうと思うんですよね。

だったら、自分たちが面白いと思うことを、若い人たちに通じるように意識して作ったほうがいい。そりゃあ、上の世代に向けた番組作りをしたほうが視聴率はいいと思いますよ。だから僕は高視聴率がなかなか獲れない(笑)。でも、いいんです。心に響く番組が作れれば、それでいいんです。

―視聴率がクローズアップされがちですが、あまり意識していないということですか?

加地 そんなことないんですが、「視聴率さえ高ければうれしい」というわけではないんです。もちろん、悪いとヘコみますけど(苦笑)。個人的な考えで言えば、企画は3勝2敗……いや、2勝3敗でもいいと思う。視聴者の予想を裏切ったり、超えたりする企画じゃないと面白くないじゃないですか。当たり外れがあっても、「何それ」っていう積み重ねが大事。その点、坂上さんはいつも何かたくらんでいるような気がするので、僕らの予想をどんどん裏切ってくれるでしょうね。

(取材・文/高篠友一 撮影/本田雄士)

●加地倫三(かじ・りんぞう) 1992年にテレビ朝日入社。『ロンドンハーツ』などを手がける敏腕P。著書に『たくらむ技術』がある

■『坂上忍の成長マン!!』 4月3日スタート。木曜深夜24時15分~24時45分(一部地域を除く)。今の坂上には興味がなさそうな新い知識を「教えマン」がプレゼン。成長を促していく