ジャンルにとらわれないサウンドとキャッチーなメロディで、音楽通から人気に火がつき始めた星野みちる。AKB48の初期メンだった過去を持つ ジャンルにとらわれないサウンドとキャッチーなメロディで、音楽通から人気に火がつき始めた星野みちる。AKB48の初期メンだった過去を持つ

3月から6月まで4ヶ月連続でシングルをリリース。チャーミングな歌声をポップスからラテンまでバラエティに富んだサウンドに乗せる楽曲で音楽ファンから注目を集めているのが、28歳の女性シンガー・星野みちるだ。

2005年、AKB48のオープニングメンバー20名――いわゆる“初期メン”として初公演の舞台に立った星野。2007年にAKB48を卒業すると、ソロのシンガーソングライターとして活動を始める。

地道に音楽活動を続けていた2012年、はせはじむと佐藤清喜(マイクロスター)をプロデューサーに迎えた、美メロな歌謡ポップ『い・じ・わ・るダーリン』が、宇多丸(RHYMESTER)や吉田豪といった関係者の間で話題となり、2013年リリースのアルバム『星がみちる』がスマッシュヒット。

現在はラジオ番組のパーソナリティとして活動するほか、7月発売予定の新アルバムも制作中。夏にはライブツアーも予定されており、一気にブレイクしそうな予感だ。

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――4月16日発売の最新シングル『楽園と季節風』。涼しげなサンバで、これからの季節、かなりヘビロテしそうです!

星野 ありがとうございます。サンバは初めてだし、リズムも難しいんですけど、今はスタッフさんたちといろんな曲を歌おうって話をしているところなんです。とにかく楽しみながら、歌わせて頂きました!

――確かに最近のシングルはバラエティに富んでるよね。それも音楽ファンを唸(うな)らせるようなサウンドばかり。5月21日発売の『雨の中のドリーマー』も、ピアノとストリングスが美しい、見事な歌謡ポップスだね。

星野 それは松田聖子さんを意識して書いた曲なんです。聖子さんは高校時代から大好きで、『赤いスイートピー』や『Sweet Memories』もカラオケの定番曲だったんです。

――聖子ちゃんかー。言われてみると、なるほどって感じ。

星野 “雨の夢を見ると願いが叶う”って話を聞いたことがあったんです。それを聖子さんのような可愛い感じで歌えたらなって。

――それにしても4ヶ月連続でシングルをリリースってすごいね。今どき、そんなアーティストってほとんどいないでしょ。

星野 少し前までは、年に一枚出せればって思ってたんですけどね(笑)。ただ、たくさん出せることよりも、初めて私の曲を聴いてくれた方からの反応を頂けることがうれしいんです。これまでは、自分を応援してくれる人にしか届いてない気がしてたんですけど、こうしてたくさん出せることでいろんな人に聴いてもらえる。それがうれしくて。

初めて秋元Pに認められた曲が『ガンバレ!』

――星野さんはもともとシンガーソングライターになりたかったんだよね。それがなぜAKB48に入ったの?

星野 3歳からピアノを習ってたんですけど、中学生の時、MISIAさんに憧れて本気で音楽の道に進みたくなったんです。高1からいろんなオーディションにデモテープを送ってたんですけど、どれもダメで……。19歳のとき、初めて受かったのがAKB48のオープニングメンバーだったんです。

――なぜ、AKB48は合格したんだろう?

星野 18歳の頃から、aikoさんみたいに身近に感じたことを自分の言葉とメロディで伝えたいなって思い始めてオリジナル曲を作るようになったんです。AKB48のオーディションはオリジナル曲を歌ったのがよかったのかもしれないですね。

――で、受かった後はどうだった?

星野 それがすごく大変で。お披露目が一ヶ月後ってことで、とにかくレッスンがめちゃくちゃハード。毎日、誰かが泣いてたくらいです。私もダンスはやったことなかったし、ヘトヘトでした。

――初公演のことは覚えてる?

星野 お客さんが7人だったかな? ステージには20人いましたけど(笑)。客席を指さす振り付けのとき、お客さんはみんなから一斉に指さされてビックリしたんじゃないかな?(笑)。しばらくしてチケットが完売した時は、みんなで泣いて喜びましたね。

――『あなたとクリスマスイブ』や『春が来るまで』とか、星野さんはAKB48でも歌うのは名曲が多いと評判でした。

星野 私のユニットはカワイイ系でもセクシー路線でもなく、しっとりしたバラードをいつも頂いてたんです。自分もバラードが好きなんですごくうれしかったですね。

――AKB48としての活動を続けながら、シンガーソングライターになる夢はあきらめていなかった?

星野 はい。曲もずっと作ってました。秋元(康)先生は、「聞いてあげるから持ってきなさい」といつもおっしゃってくれました。でも、いつ公演に姿を見せるかわからないからMDをいつもカバンに入れて、姿を見かけたらダッシュで追いかけて手渡すんです。

――秋元さんは、どんなアドバイスをしてくれたの?

星野 最初のうちはアドバイスいただけなかったんですけど、30曲ぐらいかな、「今回のよかったよ」って初めておっしゃってくれたんです。「今度、詞をつけるからレコーディングしよう」って。すごくうれしかったですね。それが『ガンバレ!』って曲です。

――初期AKB48の名曲だね。

星野 ソロで歌わせて頂いたんですけど、私は選抜に入るような目立つタイプでもなかったので感動しちゃって。でも、それで一人で歌いたいって気持ちが抑えられなくなっちゃったんですけどね。

 AKB48のオーディションで歌ったオリジナル曲は、2009年のアルバム『卒業』に、大島麻衣の書き下ろしによる詞で『Dear M』というタイトルで収められている AKB48のオーディションで歌ったオリジナル曲は、2009年のアルバム『卒業』に、大島麻衣の書き下ろしによる詞で『Dear M』というタイトルで収められている

今は楽しく歌えることが一番幸せ

――2007年にAKB48を卒業して、ソロとして活動を開始。大変だったでしょ?

星野 はい(笑)。ライブはガラガラだし、レコード会社に曲を持っていっても全部ボツ。ご飯が食べられなくて激ヤセしたこともありました。でも辛いと思ったことは一度もないですね。 今年でソロになって7年ですけど、今は信頼できるプロデューサーやスタッフの方々と一緒にやれて、充実しています。

――AKB48時代から今も応援してくれるファンはいるの?

星野 はい、います。どんな形になっても応援するからって言ってくれて、本当にありがたいです。AKB48があったからステージに立つことも覚えたし、ファンはもちろん、秋元先生や仲間、スタッフさんとかいろんな人たちとも出会えました。AKB48は自分の原点ですね。

――自分の曲は、聴く人にどんな風に届いてほしい?

星野 恋してる時とか、楽しい時とか、失恋でもどんな時でもいいんですけど、聴いたことで元気になったり、癒されたり。誰かの生活の中で“かけがえのない一曲”になってくれたらうれしいですね。

――今後の目標は?

星野 以前は、武道館でライブをやりたいとか、いろんなことを考えたんですけど、今は年々シンプルになって、楽しく歌えていれば幸せだなって思います。誰かみたいになりたいってこともなく、ただただ“星野みちるの歌”を歌っていきたいですね。

(取材・文/大野智己、撮影/関根弘康)

星野みちる 11月19日生まれ。千葉県出身。2005年、AKB48オープニングメンバーに合格。2007年卒業後、シンガーソングライターとして活動。2012年に発表したアナログ7inchシングル『い・じ・わ・る・ダーリン』がサブ・カルチャー界を中心に話題に。現在4ヶ月連続シングルリリース中で、5月21日に第三弾「雨の中のドリーマー」が発売。6月には初のライブDVD『バック・トゥー・ジ・アース』が発売される。bayfm「星野みちるの起きてられない!」(毎週月曜日27:00~)がオンエア中。【http://ameblo.jp/michiru-h/