12日、都内で映画『太秦ライムライト』の初日舞台挨拶が行なわれ、福本清三、山本千尋(ちひろ)、本田博太郎ら俳優陣と落合賢監督が出席した。
本作はチャールズ・チャップリン主演の名作『ライムライト』をモチーフに、“時代劇の今”を描いた作品。東映の時代劇撮影所の代名詞でもある京都“太秦(うずまさ)”を舞台に、仕事が激減した斬られ役の名優が、殺陣(たて)の師匠として若手女優を育てる展開は、『ライムライト』のセリフ「ライムライトの魔力 若者の登場に老人は消える」という言葉通り。
ストーリーだけでなく、「福本さんありきでした」と落合監督が言うように、これまで時代劇で5万回以上斬られ、“日本一の斬られ役”として名声を上げた71歳の老優の人生とも照らし合わせた物語となっている。
福本は裏方に徹してきたこの55年のキャリアのなかで、よもやの初主演! だが、「僕が主役じゃないです、僕はこの映画のなかで『斬られ役』の役をやらせていただいたというのが本当のところです」と、あくまで周囲のおかげで主役を務め上げられたことを強調。斬られ役の姿勢を崩さず、終始謙遜(けんそん)しきりだった。
そして、その姿勢は撮影中も変わらなかったと落合監督は振り返る。
「主役を立てることが体に染み付いていて、撮影が始まると(主役にも関わらず)必ずフレームの外のほうにこう……(移動する)」
そんなうっかりミスを暴露され、照れ臭そうにしている福本に、会場中は大爆笑だった。
映画初デビューでヒロインに抜擢された山本は……
また、今作が映画初出演と、福本と同じく特別な晴れの舞台となったのは、ヒロインの山本だ。実は昨夏、週プレ本誌にも“太極拳世界一のJKカンフー美少女”として登場している彼女。
もともと3歳から武術太極拳を始め、2012年の「世界ジュニア武術選手権大会」でチャンピオンにまで輝いたキャリアを引っさげこの世界に。女優経験は浅く、舞台に上がる機会もまだ多くはないはずだが、武術で鍛えた精神の賜物(たまもの)からか、緊張する様子もなく司会者の質問に応答。
しかし、福本に「千尋さんは(殺陣が)出来ちゃうわけですよ。ここは下手(へた)にしなきゃいかんのやって(シーンでも)。だから彼女が一番苦労したのは、やっぱり下手に見せることだったんじゃないかな」と絶賛されると、困ったような笑顔に。そして、
「いやいや、私がスクリーンでカッコよく見えてるのは、福本先生たちがそう見せてくださったので、本当にそんなことないです」
と、焦ったように否定。ようやく新人女優らしいはにかみを見せる様子に、その場も微笑ましい雰囲気に包まれた。
映画では、登壇者のほか、松方弘樹、小林稔侍(ねんじ)、萬田久子など大御所のほか、日本一の殺陣集団と呼ばれる「東映剣(つるぎ)会」も出演。