かつて、一世を風靡したグラビアポーズがあった。前かがみになって胸を寄せる"雛ポーズ"。それをきっかけに、さまざまなポーズが生まれてきた。
巨乳じゃなくても勝負できる。それこそがグラビアポーズなのだ!
“水着グラビア”の歴史をひもとけば、1975年デビューのアグネス・ラムが始まりだ。また、“グラビアアイドル”という言葉を世に知らしめたのは、1983年に登場した巨乳アイドルの堀江しのぶになるだろう。
そして、その後のグラビア界の節目となるのが、今からちょうど20年前に“雛ポーズ”で一世を風靡した雛形あきこの存在だったと、アイドル評論家の村山ひとし氏は語る。
「雛形あきこさんはグラビアデビュー時、高校2年生でした。先輩の細川ふみえさんや、かとうれいこさんは20代でセクシーな雰囲気を出していたんですが、彼女はまだ若かったためにそれほど大人の雰囲気を出せなかった」
しかし彼女は、その童顔すぎるビジュアル的なハンデを逆手にとったという。
「雛形あきこさんが、そのかわいらしい童顔と巨乳を前面に出そうとして考えられたのが、顔と胸が強調される前屈姿勢の雛ポーズだったんです。実は雛形さんは、雛ポーズだけでなく、“童顔巨乳”アイドルの先駆けでもあるんですよ。
また、年齢的なこともあったのか、彼女は当初、少年マンガ誌を中心に活動していたんです。少年誌なので大胆な露出はできない。そこで、普通の水着だけれど、ちょっとセクシーに見えるポーズが研究されたんだと思います」
“M字開脚”に、お尻のフロンティアへと…
こうしてグラビア界は、雛形あきこの登場をきっかけに、巨乳セクシー路線だけでなく、個性のある〝ポーズ売り”を開拓していった。そして2004年、そのポーズ売りを極めたのが、インリン・オブ・ジョイトイの“M字開脚”だった。
「M字はいわゆる大開脚ですから、大手の事務所では絶対にNGのポーズですよね。でも、逆にそこに目をつけたのがインリンさんでした」(前出・村山氏)
「インリンさんがM字開脚でブレイクしたのをきっかけに、巨乳ではないレースクイーン系のスレンダーなモデルさんたちが、ハイレグの水着を着てローアングルから股間をあおったショット“股間攻め”をするようにもなりました」(アイドル研究家・塚本舞)
これまで“グラビアアイドル=巨乳”と思われていたものが、インリンのM字開脚をきっかけに、巨乳じゃなくてもポーズで勝負できるという流れに変わる。
そして2007年、お尻を武器に現れたのが、“オシリーナ”こと秋山莉奈だった。
「お尻といえば、それまでTバックがあったのですが、あれは単に露出が多いというだけです。しかしオシリーナは、水着の面積ではなく、お尻のキレイさを見せる独特のポーズで名を上げました。そこにフロンティアがあったんです。現在、胸のないアイドルはお尻を売りにしているコが多いのですが、その創始者といえるでしょう」(村山氏)
そして最近では、渡辺麻友の“体育座り”や菜々緒の“菜々緒ポーズ”、鈴木ちなみの“手ブラ”など有名タレントも独自のポーズで写真集の表紙や雑誌のグラビアを飾っている。雛ポーズから20年、今や個性的で大胆なポーズなくしては、グラビアといえない時代になっていたのだ。
(取材・文/村上隆保)