モンハンシリーズの辻本良三プロデューサー
今年で１０周年のモンハンシリーズ。多くのファンから愛される人気シリーズの１０年と、その最新作とは？ ９月１８日から開催される東京ゲームショウを前に、辻本良三プロデューサーに伺ってみた。
──まずはモンハンシリーズ全体のお話から、お聞きします。２００４年に初めて『モンスターハンター』を発表したときの周囲の反応は？
辻本 ファンタジーというカプコンには珍しいテイストのゲームで、マルチプレイ（多人数での同時プレイ）でオンラインにも対応している。周囲へのインパクトは高かったと思いますね。
──『モンスターハンター』というタイトル名は、初めから決まっていたのですか？
辻本 実は、コードネームだったんですよ。みんな「たぶん取れへんやろうな～」と商標登録調査したら空いてたので、そのまま正式名称です（笑）。
──マルチプレイの魅力とは？
辻本 僕は『アウトモデリスタ』（０２年発売のレースゲーム）を作ってたんですが、その開発終盤、みんなでゲームの検証作業をしたんです。４人でモニターを４台並べて「おまえ、もうすぐ抜くで～」ってしゃべりながらプレイするのが楽しかった。もう、開発終盤で体力的にボロボロなんすけどね。モンハンだけじゃなく、みんなで集まって、わいわいやるゲームってやっぱり楽しいんですよ。
──モンハンシリーズはファンイベントが多く企画されています。その理由は？
辻本 モンハンシリーズにはコミュニケーションという要素があります。イベントもそのひとつだと考えていますね。作っているのはデジタルな作品だけど、だからこそアナログ的な部分のつながりも突き詰めてみようって。実際、ファンのプレイを見て「ここ、難易度上げたほうが喜ばれるな」ということがあります。制作スタッフにとっても、有意義な時間ですね。
モンハン、これからの１０年とは？
──１０年間、シリーズに関わってきて思い出の作品は？
辻本 『モンスターハンターポータブル２ndＧ』（以下、２ndＧ）ですね。僕は、２ndからプロデューサーになったんですけど、開発期間が１０ヵ月しかなかった。もう、開発終盤の地獄のような記憶がずっと残ってますよ（笑）。でも、発売してから、どんどん人気が出て「いろんな人に楽しんでもらってるな」というのを実感できました。
──最新作『モンスターハンター４Ｇ』（以下、ＭＨ４Ｇ）についてもお聞きします。昨年９月に発売された前作の『モンスターハンター４』（以下、ＭＨ４）から約１年で新作が登場。短期間で新作を出す理由は？
辻本 ＭＨ４を楽しんでもらったユーザーの熱が冷めないうちにさらに４の世界を遊んでいただける新作を出したかったんです。それに前作のＭＨ４では、ステージに高低差や新アクションなど要素をいっぱい入れたんですが、これらをもっと伸ばせるなと。でも、体力的にはキツかった。２ndＧのときより、おっさんになってるんで（笑）。
──ＭＨ４Ｇから初めてモンハンを遊ぶ初心者ハンターには、どんなプレイがオススメ？
辻本 周りで遊んでる友達がいたら、まずは彼らと一緒にプレイする。これが上達への近道ですし、一番楽しいと思います。モンハンシリーズはいい意味で敷居が低いんですよ。最大４人でプレイできますけど、変な話、ひとりやふたりくらいは戦力にならなくてもいいでしょう的な考えで作られています。上級者と初心者が混在しても、両方ともアクションを楽しめるんですよ。
「飲み会でいつもと同じ話してて飽きたなぁ」となったら、「じゃ、モンハンやるか！」という感覚のコミュニケショーンツールとしても活用していただければと思います。
──ではモンハンシリーズ、これからの１０年とは？
辻本 マルチプレイで、みんなでわいわい楽しめ、アクションがある。プレイを見ているだけでもわくわくするという要素は変わりません。そして、開発側とファン同士のつながりは今以上に大切にしたいですね。
いま、「俺ならもっとおもしろいモンハンが作れる！」って初代から遊んでいた人間が開発スタッフに入ってきています。こういう新しい世代と一緒に、これからも「ユーザーに忘れられないゲーム」としてモンハンを作っていきたいですね。
辻本良三 ２００４年に発売された初代『モンスターハンター』から開発に加わり、０７年発売の『モンスターハンターポータブル2nd』よりプロデューサーに就任。以後、シリーズを統括し、モンハンの顔としてファンにはおなじみ http://www.capcom.co.jp/monsterhunter/4G/
いよいよ狩猟解禁！！ モンスターハンター４Ｇ [embed width="600"]http://youtu.be/cNojl-pqZtk[/embed]
（取材・文／直井裕太 撮影／佐賀章広）
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