1979年に誕生した『機動戦士ガンダム』も今年で35周年! アニメ、プラモ、ゲームと無限の広がりを見せるなかでも、「ガンダム×コミック」のイイ関係は見逃せない。

アニメ版『ガンダム』の歴史を正史としながらも、時にその正史を補完し、時にパラレル展開にし、時にブッ飛んだパロディにしている「ガンダムマンガ」の世界。

KADOKAWA発行のガンダムシリーズ専門誌『ガンダムエース』編集長の石脇剛(いしわき・つよし)氏に聞いた!

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弊誌の創刊は01年。安彦良和さんの『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』を掲載する媒体として始まりましたが、ガンダムというワンテーマで刊行するのは、かなりのチャレンジでした。

全作品に共通するルールは、“サンライズ公認にする”こと。そのため、製作過程は普通のマンガとはかなり違います。例えば、打ち合わせにはマンガ家、編集者、サンライズの担当者、設定考証のプロと、ミニマムでも4人集まる必要があるので、チームでひとつの作品を作っていくという感覚。

ただ、ガンダムの歴史はある意味、現実の歴史よりもしっかり決まっているので、読者から指摘が入らないよう細心の注意を払いますが、あえてアニメと異なる設定を作ることもあります。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』が切り開いてくれた方法論なんですが、MSのデザインや設定を変えたり、独自の過去編を描いたり。

今、『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』という“0083版オリジン”といえる作品を連載していまして、こちらではチョバムアーマー装備のGP-01を描いたりしていますからね。

一方で、違う苦労があるのはギャグマンガ。初期の頃はアムロやシャアといった原作キャラにどこまでバカなことをさせるか、サンライズはどこまでなら許してくれるか、そのギリギリを突くというのがある種の戦いでした(笑)。

その点に関しては『機動戦士ガンダムさん』の功績が大きい。雑誌の初期の頃は、シャアが尻を出すことさえ冒険だったんです(笑)。今、『シャアの日常』がヒットしていますが、『機動戦士ガンダムさん』が限界値を切り開いていたおかげで、非常にアホなシャアを描きやすくなっていますね(笑)。

(取材・文/昌谷大介、牛嶋 健、千葉雄樹[A4studio])

●石脇剛(いしわき・つよし) KADOKAWA『ガンダムエース』編集長。担当編集者として小説『ガンダムUC』(福井晴敏著)を大ヒットに導き、編集長に就任。

■週刊プレイボーイ41号「16ページ特集 機動戦士ガンダム 怒涛の35年史」より(本誌では、ヒストリーからトリビア、関係者インタビューまで満載!)