キックボードを乗りこなす犬の動画が、話題を呼んでいる。
舞台は、ストリートパフォーマンス発祥の地、アメリカ・ロサンゼルスにあるベニスビーチ。西海岸に広がる青い空とヤシの木を背景に一匹の犬がキックボードで街中をご機嫌に疾走。観光地で繰り広げられるちょっと不思議な光景に、大人も子供も振り返り、思わずニッコリ…という展開だ。
それにしても、前足でハンドルを操作し後ろ足でキックボードを漕ぎ、街中を自由自在に走り抜ける犬の身体能力の高さ。そして周囲に集まる人だかりもどこ吹く風の涼しげな表情……あの「お父さん犬」に勝るとも劣らない名優、いや名犬ぶりである。
【動画】 「世界一ご機嫌な散歩をする犬」 http://youtu.be/mgifdxiSJyk
気になるのは、この動画の最後に出てくる「SONY」の文字。どうやら世界のソニーが作った動画のようだが、それにしては商品が出てくるわけでもなく、目的がよくわからん(苦笑)。
ということで、ソニー宣伝担当の小堀弘貴さんを直撃取材した。
カメラマンもその“プロ根性”に脱帽!
―えっと、動画に出てくるあの犬はいったい何者なのでしょうか?
「LAで暮らす、ボーダーコリーの雑種のオスで、名前はJumpy(ジャンピー)と言います。そのパフォーマンスぶりが現地のニュースにも取り上げられたこともある天才犬で、この撮影もジャンピーの“ホームグラウンド”で行ないました」
―ほほう。ということは、その天才犬のプロモ動画ってことですか?
「実は、そういうわけではなく……このたび、新たに発売されるカメラのプロモーションのために制作した動画なんです!」
―いやいや、カメラのプロモーションで、なんで犬がフィーチャリングされてんだって話ですよ!
「今回の映像制作では、新しいカメラの高性能ぶりを表現するため『ものすごいアクションができる、ありえないぐらいの身体能力を持った犬』をキャスティングするつもりでした。そんな時、ちょうどYouTubeで見つけたのが “パルクール犬” のジャンピーだったんです」
あの動画を見る限り、カメラの高性能ぶりというより犬のすごさしか伝わらないのだが(苦笑)。
ちなみに、パルクールとは身近にある物を障害物に見立てて「跳ぶ、走る、登る」という動作で越えていくフランス発祥のトレーニング法。近年、さながら忍者のような動きで階段から飛び降りたり、柵を跳び越えたりしている人々の動画を見たことがある方も多いのではないだろうか。ジャンピーは、そんなパルクールをマスターした世界でも珍しい犬なのだ。
―天才犬とはいえ所詮、犬(なぜか上から目線)。撮影は大変だったのでは?
「ええ。実は、ジャンピーがジャンプを披露するシーンも撮影したのですが、撮影のたびにジャンピーが予想を超えた高さまでジャンプしたためカメラが追い付かなかった、というスタッフ泣かせの出来事もありました。
そして、スタッフを感心させたのが、そのプロ意識です。ジャンピーは、自分が納得いくパフォーマンスができないとものすごく悔しがって『もう1回やらせろ!』というかのように『ワンワンワン!』と吠えて撮り直しを要求。その姿勢には、犬ながらもプロ魂を感じましたね」
ソニー宣伝担当・小堀さんによれば、ジャンピーは今回公開されたキックボード以外にも、スケートボードやサーフィンなども乗りこなすことができるのだという。す、すごい……。「お父さん犬」以上のプロ意識を見せてくれる逸材・ジャンピーの、今後の活躍が楽しみだ。