ネットで公開したリアルすぎるボディペイントが話題になり、世界的に注目される現役女子大生アーティスト・趙燁(ちょう・ひかる)。絵のリアルさだけではなく、ユニークなアイデアが光る“超現実アート”の世界とは? 趙さんに聞いた。
■私のボディペイントはあくまでアナログです
初めて体に絵を描いたのは浪人生だった頃です。落書きに紙を使うのはもったいなくて(笑)、友達の目を自分の手に描いたんです。
それが面白かったので、美大入学後の暇なときに、そのへんにあるものを自分の手に描いていったんですね。目、口、チャック、リモコンの電池入れなど。そういう絵の写真をTwitterで公開したら反響があって、作品として意識的に描くようになりました。
私のボディペイントは特殊メイクじゃないんですよ。CGでもないし、画像修正もなし。説明するならトリックアート、だまし絵なんですね。アナログで平面的、なのにリアルで立体的という点にこだわってます。
最近は、舞台美術やミュージックビデオのディレクターをしたり、洋服やタイツのブランドとコラボして、だまし絵風な商品を作ったりもしています。ボディペイントはもちろん続けていくつもりですが、今後はそれ以外のいろんな表現方法に挑戦したいです。あ、安定した就職にも興味ありますよ。大学3年生ですから(笑)。
『X-ray』 そのものずばり、レントゲン写真を体に描いてみた作品。「めくる」「開ける」は趙作品の特徴的要素のひとつだ
『習作』 複眼と、ぱっくりと開いた口は『寄生獣』の世界を連想させる。マンガ的な発想が面白い
人権団体アムネスティから依頼された作品では?
『背中チャック』 チャックを開けてもまだ奥がありそう、というモデルの多面性を表現。描く相手に合わせてその絵柄を決める
『be free』 人権団体アムネスティから依頼された作品。古い皮を破る、決意を秘めた表情が印象的
『it’s not what it seems』 「表面だけで判断するなんてバカらしい」という深いメッセージを込めて。でも、ポップ!
(撮影/松岡一哲 取材・文/鈴木みのり)