『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)などの演出を担当した西田二郎氏(左)と『水曜どうでしょう』を手がける藤村忠寿氏(右) 『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)などの演出を担当した西田二郎氏(左)と『水曜どうでしょう』を手がける藤村忠寿氏(右)

ダウンタウンDX』(日本テレビ系)などの演出を担当し、関西で絶大な知名度を誇る西田二郎氏(読売テレビ)と、北海道発のモンスター番組『水曜どうでしょう』を手がける藤村忠寿氏(北海道テレビ)。

ローカル局でありながら、全国に名をとどろかせる名物プロデューサーふたりが、テレビにおける「規制」について語ってくれた!

 * * *

―おふたりは会社が違えば、系列局も違います。何がキッカケで出会ったのでしょうか?

西田 2012年に僕が『ガリゲル』という深夜番組を立ち上げたとき、その試写会に藤やん(藤村氏)に来てもらおうと思って。いきなり北海道テレビに電話したんです。そうしたら、たまたま局にいて…。

藤村 当然だけど、その番組は知らなかったし、ましてや他系列のプロデューサーでしょ? こっちは『水曜どうでしょう』のDVDが売れていたので、オレの名前を使って宣伝しようという魂胆がミエミエなわけ。逆に堂々としたもんやな、どんなヤツなんやろと思って、試写会に行くことを快諾したんです(笑)。

西田 いやいや(笑)。藤やんの名前を使いたいというより、こういう機会でもない限り、コンタクトを取る理由ってないじゃないですか。同い年で『水曜…』という人気番組を作っている。ずっと会ってみたいと思っていたんです。

藤村 とか言いながら、二郎ちゃんはまだ一度も番組を見たことないでしょ(笑)。

西田 そ、そんなことないわ!

レビ全体が及び腰でビビリ屋の集団に

■そんなふたりは、最近のテレビ番組における「規制」をどのように考えているのか?

藤村 確かに規制が多くなったとは思うけど…。

西田 それはテレビに限ったことではないよね。世の中全体で表現の幅が狭まっていて、みんな閉塞(へいそく)感を持っていると思う。

藤村 そうした流れの中で「コンプライアンス」という言葉が社会に浸透し、テレビがひとつスケールダウンしたんじゃないかな。

西田 体面を気にするようになって、過激な表現は自粛する傾向になったよね。

藤村 『水曜』では「オマエ、早く死ねよ」というセリフがよく出てくるんだけど、今の時代、ほかのバラエティでは「死ね」なんて言葉は絶対に使わない。

じゃあ、なぜウチは平気でオンエアしているのかっていうと、大泉や鈴井の人間性がわかっていれば、別に過激でもなんでもないからなんだよ。そうした文脈を理解せず、一緒くたに自粛するのはホントにナンセンスとしか言いようがない。

西田 ほんまやね。

―少し前の話になりますが、『水曜』では、2000年に放送した「原付西日本制覇 第1夜」での内容が、視聴者の指摘によって7年後に大きな騒動になりました。砂丘の砂を採取したこと、砂丘に「水曜どうでしょう」と文字を書いたことが問題になったわけですが、これによってテレビで再放送できなくなったんですよね。

藤村 ああ、あれね。砂の採取に関しては疑いが晴れたんですけど、文字を書いたことが自然公園法が定める「広告物の無断掲出」に触れるらしく、厳重注意を受けました。でも、砂に書いたモノで風が吹けば消えるし、別に永遠に残るわけじゃないのにねぇ。

オレは視聴者に対して、放送自粛になったことは謝罪したけど、やったこと自体には謝っていない。メディアはルールを守ることが正しいんじゃなくて、おかしいことはおかしいとハッキリ言わないとダメだと思うんだよね。

今はテレビ全体が及び腰になっていて、ビビリ屋の集団みたいになっている。いろんなことに気を使うから、番組作りも過剰なほど親切になっているし。

作り手のこだわりがあれば「エロ」にも意義が

―と、言いますと?

藤村 何もかも説明する番組が多いんだよ。「まず腰を上げてください、あと5歩進めばノブがあります、ドアから出た瞬間に人とぶつかるかもしれないので、左右をちゃんと確認してください」みたいな。オレからすると、かなり幼稚なんだよね。

西田 藤やんは、部屋から出たければ勝手にドアを探せよっていうスタンスだもんね(笑)。

■では規制と関連して、テレビではすっかり見なくなった「エロ番組」の衰退についてはどう考えているのか?

藤村 これは必然でしょう。今はネットで女性の裸が気軽に見られる時代だから、別にテレビで放送する必要がないって。

西田 僕は『11PM』(伝説の深夜番組)の最後の1年間だけ携わったんですけど、「尼さん歌合戦」というコーナーがあったんです。当時の担当ディレクターは「高尚なエロスだ」と熱弁していてね。

尼さんたちが登場すると合掌して、そこからセットの階段を下りてマイクを取るわけ。その瞬間、尼さんが普通の人に代わり、「見てはいけないものを見てしまった」背徳感のようなものが生まれて官能的に見えるんやって(笑)。

―マニアックすぎです!

西田 これは極端な話かもしれないけど、エロスひとつとっても作り手のこだわりを感じられるものがあれば、今も地上波で放送すべきだと思う。これはネット動画にはない部分やし。

藤村 そういう理由づけがあれば、エロ番組にも放送する意義があるよね。尼さん歌合戦のよさはようわからんけど(笑)。

(取材/高篠友一 撮影/本田雄士)

●西田二郎 1965年9月28日生まれ、大阪府出身。大阪市立大学卒業。89年、読売テレビ(日本テレビ系)入社。これまで『11PM』や『EXテレビ』『松紳』『ダウンタウンDX』『ガリゲル』などを担当

●藤村忠寿 1965年5月29日生まれ、愛知県出身。北海道大学卒業。90年、北海道テレビ(テレビ朝日系)に入社。96年に『水曜どうでしょう』を立ち上げ、爆発的な人気を得る。現在はテレビだけではなく、舞台などにも出演している

■週刊プレイボーイ3・4新春特大号(1月5日発売)「どうする、どうなる!? テレビ業界2015」より(本誌では、ふたりがさらに視聴率やテロップについても熱くトーク!)