初場所千秋楽翌日の優勝会見で、審判部を批判し物議を醸した横綱・白鵬。自らが「(尊敬する)大鵬親方にはまだまだ及ばない」と認めた精神面をさらに磨き、盤石をうかがわせる夫婦関係同様に文句のつけようのない真の大横綱になれるか?

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む、連載第2回!

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前人未到の記録を打ち立てた白鵬さんだけど、優勝インタビューでの「強い男の裏には賢い女性がいる」という発言がステキです。

「強い男の裏には、尽くす女」じゃなくて、「賢い女」。強さと賢さは表裏一体。補完し合う関係ですね。妻がひたすら夫に尽くすのではなく、お互いを認め合うコンビのような夫婦関係をうかがわせます。

以前、優勝会見をしなかったと批判されたときにも、実は流産したばかりの妻を気遣ってのことだったということが後になって判明しました。おおー、しばし黙ってバッシングに耐えた白鵬、かっこえー。

一般的には、妻の話をするときには内助の功をたたえるのが王道みたいだけど、なんか割り切れないものも感じるのです。彼女のここがすごいとか尊敬しているとか、好きな理由を言ったらいいのに、って。

あなたはどうかな? 彼女や奥さんへの感謝の言葉は人前ですぐに言えるかもしれないけど、「彼女のここが好き」はなかなか言えないかもしれない。自分でも答えがわからないのかな。

感謝イコール愛情とは限らない。それは男の甘え――ただの依存かもしれないのです。

●小島慶子(こじま・けいこ)タレント、エッセイスト。結婚14年になる夫には日頃とてつもなく感謝しているが、くだらないことでよく絡む。「かわいげのない女の裏にはスーパーポジティブ思考の男がいる」という組み合わせの典型例