子供の頃、「大人になったら絶対に手に入れたい!」と思った憧れマシンのひとつが“パンダカー”。軽やかな電子音で「通りゃんせ」のメロディが流れ、4本の足をカクカク動かしながら分速約12mの超スローペースで進む、あのスゴイやつだ。
週プレの読者世代ならば、古谷実のギャグマンガ『行け!稲中卓球部』で、主人公の前野と伊沢のハチャメチャコンビがパンダカーに乗って登場し、意味不明の大暴れをするシーンも覚えているはず。
通常は3分間=200円くらいの料金なので、大人になった今ならば、それほどフトコロが痛む金額ではない。でも今、大人が遊園地であれに乗っていたら、周囲の視線が痛い…。誰にも気兼ねせずに乗り倒すなら、もはや自分用に買ってしまうしかない。
実は、この4足歩行ローテクマシンの正式名称は「メロディペット」という。らいおん、いぬ、きりん、うま、ぶた…といったほかの動物のバリエーションもある。でも現実に人気があるのは圧倒的に「ぱんだ」なので、一般的には“パンダカー”と呼ばれているわけだ。
では、パンダカーの走行性能はどれほどのものなのか?
製品を取り扱う(株)エーツーレジャーによれば、バリエーションとして2人乗り可能な「メロディペット」と、ストイックな1人乗り用「メロディペットミニ」があり、車重はそれぞれ約90kgと約70kg。原付スクーターと同じくらいの重さだと思えばいい。
パンダカーオーナーは尊敬されるって!
動力はいずれもEB25サイズのバッテリー駆動で、一般家庭で充電するには12Vの自動車用充電器が必要だ。満充電の場合、1日2時間程度の使用ならば3日間はバッテリーがもつ。
ということは、一度の充電での最大走行距離は4.5km弱。天気や路面コンディションがよければ、東京都内でいえば新宿から渋谷までは到達可能ということになる(ただし、本当に公道を走るのは道交法により不可)。
気になる新車価格は、バリエーションによって100万円から120万円といったところ。短期レンタルなら2泊3日で5万円くらいが相場。購入するとなると、充電器やバッテリーなど付属品への出費も必要だ。
それでも、パンダカーオーナーになれば、一部マニアにはフェラーリを所有するよりも尊敬される(笑)。そう考えれば、コストパフォーマンスは相当高いともいえる。
パンダカー初心者には、まず中古を買ってみたいという人もいるだろう。しかし、中古パンダカーの流通は少なく、中古アミューズメント機器を扱う業者をこまめに探すしかない。たとえ中古品があっても、屋外使用の遊具なため、ボディの全塗装ならぬ、毛皮の全張り替えに約15万円は覚悟したほうがいい。
ちなみに、パンダカーの実車は無理でも、パンダカーファンの聖地といわれる東京の遊園地「浅草花やしき」では、ぬいぐるみやTシャツなど各種のパンダカーグッズが売っている。
(取材・文/近兼拓史)