新潟のご当地アイドルNegiccoのメンバー。写真左から、Kaede、Nao☆、Megu

AKB48グループの姉妹ユニット「NGT48」の進出が決まった新潟。それにより、この地で2003年から地道に活動を続けてきた“ご当地アイドル”が、注目を集めている。

果たして、彼女たちは巨艦の突然の襲来をどう受け止めているか? 現地取材を敢行!

Negiccoさん、どうするんですか!? AKB48グループが新潟に攻め込んできますよ!

全員 いえいえ、そんな。

―新潟で地道に活動をしてきたNegiccoからしたら、「自分たちが耕してきた畑を荒らさないで」みたいな気持ちじゃないですか?

Nao☆ そういうのはないです、全然(笑)。

Kaede だって、NGT48さんが新潟にできるっていう発表があって、ツイッターの反応とかを見てたんですけど、「こんなにNegiccoのことを知ってくれてる人が全国にいたんだ!」って、ビックリしたんですよ。

―そこですか。

Megu それにNGT48さんがきっかけで、Negiccoをテレビで取り上げてくださったり、取材を受ける機会が増えたんですね。NGT48さんのおかげで、それまでNegiccoを知らなかった人たちにも注目してもらえるのはうれしいです。

―じゃあ普段、AKB48の活動とかはあんまり意識してないんですか?

Nao☆ そもそもAKB48グループとNegiccoは組織も規模も違うので、意識するも何もないですよ。でも松井玲奈ちゃんと、ちゅり(高柳明音)ちゃんはNegiccoのことを好きって言ってくれてるんです。

Megu 松井玲奈ちゃんには実際にお会いできました。テレビ収録の楽屋が近くて向こうから挨拶(あいさつ)に来てくれたんです。「Negiccoさんですか?」って声かけてくださって、ステキな方でした!

―ステキな方でしたって、皆さんのほうが断然、先輩じゃないですか(笑)。結成12年っていったら、今やモー娘。の次に活動歴が長いアイドルユニットですよ。

Nao☆ 私たち、アイドルをやってる期間は長いかもしれないけど、いわゆる芸能の世界での経験はまだ全然なので。いや、だってスゴいじゃないですか! テレビ見てると、パフォーマンスとか魅せ方とか、自分たちはまだまだだなって思います。

―謙虚ですねぇ。

Nao☆ それに、NGT48さんが来ることで新潟が注目されるとしたら、すごくいい話だと思って。自分たちも「観光特使」として新潟を盛り上げたいと思っているんですけど、なかなかできていない部分も多いので。

Negicco Nao☆1988年4月10日生まれ。Negiccoのリーダー。一時、ネガティブすぎるツイートが話題になるも、無事に克服

アイドルで新潟を盛り上げる!

―さっき、皆さんがデビュー当時にライブをされたりしていた「古町商店街」を歩いてきたんですけど、典型的な田舎のアーケード街というか、寂しい感じでしたね。

Nao☆ そう、ですね。市の中心部ではあるんですけど、シャッター街みたいになってきているっていうのはありますね。だからこそ、NGT48さんといい関係をつくって新潟を一緒に活性化させられたらいいなって思います。

―ちなみに、新潟のアイドルファンってどんな人が多いんですか?

Megu 恥ずかしがり屋。

Nao☆ 自分たちも人見知りなんですけど、新潟の人ってみんな、基本シャイです。

Megu 地元のお祭りとか商店街でライブをやってるときも、興味を持ってくれてるのは間違いなさそうなんですけど、遠くからこっそり様子をうかがってるみたいな(笑)。街で声をかけてくださる方もいらっしゃるんですけど。

―どんなふうに?

Megu モジモジした感じで、「……ネ、ネギッコの方ですよね?」って(笑)。

―ひと言、「ファンです」でいいのに(笑)。そういう土地にNGT48をつくって、「私、アイドルになりたい!」と思う人が出てくるのか、ちょっと心配です。

Megu Negiccoのオーディションのときも応募者は少なかったです。

―何人、集まりました?

Kaede 20人。

―少なっ!

Kaede もしまったく集まらなかったら、広く一般公募するっていう話でした。

Nao☆ でもAKB48さんの知名度はすごく高いので、NGT48さんにはたくさん応募があると思います。

―そうなるといいですね。

Negicco Kaede1991年9月15日生まれ。メンバー最年少。アイドル活動と学業の両立を成し遂げ、昨年3月に新潟大学を卒業

ブレイク寸前って本当?

■Negicco、本当のブレイク寸前!?

―なんか、さっきから皆さん謙遜ばっかりされてますけど、ここ最近のNegiccoって、世間的にもそこそこ盛り上がってきてる感じがするんですよね。

全員 いえいえ。

―だって、この間のシングル『光のシュプール』もランキングで5位に入ったし、最近は各地にも行ったり来たり、活動的じゃないですか。

Kaede 昨日の晩は4時に東京から新潟に戻ってきて、今朝は8時くらいからお仕事してます。

Nao☆ 最近は現実か夢の中かわからないような感じになってるかも(笑)。

―それに、田島貴男さん(オリジナル・ラブ)や小西康陽(やすはる)さんに楽曲提供を受けたり、人気アーティストと共演する機会も増えましたよね。こないだ、憧れのPerfumeとも久々にテレビで共演できたっていう話じゃないですか。

Megu (急に表情が変わって)泣きました!

Nao☆ あ~ちゃんが「やっと会えましたね」って喜んでくれたんです!

―今や世界のPerfumeも、実はNegiccoとほぼ同期で、しかもご当地アイドル出身ですもんね。

Nao☆ 2008年にツアーで新潟に来たとき、「また一緒のステージに立ちたいですね」って言ってくれたんです。私たち、それを目標に頑張ってきた部分もあるんで。

―いい話じゃないですか。 このままPerfumeに続くのでは?

Kaede 確かに最近、曲を褒めてくれたり、ライブを初めて見てくれる方も増えたなっていう実感はあるのでありがたいなって。でも、知名度も集客もまだまだなので。

Megu 基本、あんまり期待はしないで活動してるっていうか…。

―なんでそんな疑心暗鬼なんですか(笑)。

Kaede やっぱり、みんな根がネガティブだっていうのもあるんですけど(笑)、どこかで「大人って怖い」みたいな部分があったりして。

―大人が怖い?

Kaede 12年間も地道に活動してると、いろんな悔しい思いだったり裏切りっていうのも経験してきているので。

Negicco Megu1989年6月3日生まれ。Negiccoの活動と並行して、DJ Meguとしても新潟市内のクラブを中心に活躍中

大人は怖い、怖い

―そこはやっぱり根深いものがあるんですかね。3年前に週プレでインタビューさせてもらったとき、コンテストの賞金とメジャーデビューの約束を反故(ほご)にされたとか、つらい話をされていたので…。

Kaede そうでしたっけ(笑)。でも昔はそういうことが本当によくあったので。デビューしてちょっと経った頃に初めて「全国流通」のCDを出させてもらったんですけど、発売日に近所の店に行ってみるとなくて。新潟の店にすらないってことは、全国で並んでる可能性は低いんだろうなぁ、みたいな(笑)。

Nao☆ あと、決まっていたテレビ出演の話が突然なくなったりすることが結構あったよね(笑)。最近はなくなったんで大丈夫です。

Kaede とりあえず、ちゃんと番組には出れてるよね。

―でも、ここ数年、「ブレイク寸前」って言われ続けてきたじゃないですか?

Megu それ、この間もメンバーで話題になったんですよ! 「私たち、どれくらいの期間、ブレイク寸前なんだろう?」って(笑)。

―ようやくそのときが来たんじゃないですか?

Kaede 周りから「Negiccoって今キテるね」って言われても3人してキョトンとなってます(笑)。

Nao☆ この12年があるからこそ「ブレイク寸前」って書いてくださることはありがたいと思うし、自分たちも頑張りたいって思います。だけど、逆にこの苦労があったからこそ簡単にはブレイクしないってわかっているので(笑)。気持ちは初心のままで、12年の感謝を忘れずにやっていきたいです。

―謙虚なままでどこまでも突っ走ると。とはいえ、あともう3年もしたら結成15周年ですね。

Megu えっ、そのとき何歳だ? ……30ぐらい!?

Kaede えーっ!?

Nao☆ 30歳ピッタリじゃないけどアラサーと言われる年齢ではあるよね(笑)。

Megu アラサーアイドルって……いやぁ、もうアイドルじゃなーい!

Negicco2003年7月、新潟県産「やわ肌ねぎ」のPRを目的として結成されたアイドルユニット。『恋するねぎっ娘』でCDデビュー。セカンドアルバム『Rice&Snow』が発売中。2月28 日からは全国ツアーもスタート

■ちなみに新潟ってどんなトコ?人口は約231万人で県庁所在地は新潟市。上越、中越、下越、佐渡の4地域に分かれ、文化や気候が異なる。神社の数が日本一多く、温泉の数は全国3位を誇る。県民の都会への憧れが強く、東京に住む地方出身者数は新潟が1位

(撮影/本田雄士)