今年1月第1週(12月29日から1月4日)のゴールデン帯&プライム帯の平均視聴率で、テレビ東京にも敗れて最下位に転落したフジテレビ。
今回、フジが視聴率最下位に転落したことに関して、週プレは男女300人にアンケート調査を行なった。その結果、「納得!」と答えたのは195人。実に65%もの人がなんの疑問も持っていなかったのだ。その理由を見てみると…。
「テレビ東京は画期的な試みや工夫をしているのに、フジのバラエティは手抜き感がハンパない」(38歳・男性)
「元日放送の『オールハワイナイトフジ2015』はバブル時代を彷彿(ほうふつ)とさせる作り。時代錯誤」(42歳・女性)
「マンネリ気味で、以前のようにチャレンジする番組がなくなった」(31歳・男性)
などなど、辛辣(しんらつ)な意見ばかり。そうした声を反映するようにフジのイメージを聞いた質問でも「面白くない」が55人でトップに…。
さらにここで注目したいのが、4番目に多かった「韓流」という回答。現在、地上波で韓流ドラマを放送していないにもかかわらず、いまだにそのイメージが根強く残っているのである。
まさにフジ凋落(ちょうらく)の要因のひとつとして、この「韓流」が挙げられるだろう。
フジは2004年から2010年まで7年連続で視聴率三冠王を獲得。いわば“絶対王者”としてテレビ業界に君臨していた。
ところが2011年8月21日、「フジの番組編成が韓流系に偏りすぎている」として大規模デモが勃発。5千人以上の参加者が集まり、フジ本社を取り囲む事態に。
当時、局内でその様子を見ていた中堅局員が話す。
「あの時は正直、『何を騒いじゃってるの?』っていう感じでしたから。真摯(しんし)に対応していれば、ここまでイメージダウンしていなかったはず」
出世争いで有能な局員を排除
フジにとってターニングポイントになった韓流抗議デモ。だが、そこに至るまでにある布石があったという。
「2007年に豊田皓(こう)社長が就任したのが大きかった。長く営業畑を歩んできたので、とにかく数字(視聴率)にうるさかったんです。あるタレントが他局で人気らしいと聞けばトップダウンでキャスティングさせられるし、流行りモノに戦略なしにすぐ飛びつくし…。現場スタッフの演出なんて二の次だから、どうしても粗い作りになってしまうんです。
もちろん、韓流もそのひとつ。『冬ソナ』ブームに乗っかって、ウチでもドラマを放送したら数字がよくて。それで気をよくした上層部の指示で、普通のバラエティでも韓流のゴリ押しをさせられるようになりましたから(苦笑)」(制作会社社員)
キャスティング頼みの番組が増えた結果、手の込んだ往年のフジらしいバラエティが激減。実際、「好きな番組」を聞いたアンケート(Q3)では「特になし」が158人と半数を超えている。
そしてこれには、適材適所とはいえない人事も絡んでいるようだ。
「うちが迷走し始めた2010年頃から『クイズ!ヘキサゴンII』や『トリビアの泉』など、かつての大ヒット番組を手がけた名物プロデューサーたちが次々と制作現場から異動させられてしまいましたから」(前出・中堅局員)
その理由はいろいろあるだろうが、局員の間ではこう噂されている。
「今の上層部は自分のポジションを守ることに必死で、出世を妨げそうな有能な局員を排除する傾向にあるんです。今の社風だと『オレたちひょうきん族』を手がけた鬼才・横澤彪(たけし)氏のような常識外れのプロデューサーはもう現れないでしょうね」(フジ関係者)
かつてはトレンドを生み出し、世の中を牽引していたフジテレビだが、ここ5年のスランプで凋落。フジが元気を取り戻さないとテレビ業界も活性化しないのだが…。
■週刊プレイボーイ10号「どうしてこうなった!? がんばれ!!視聴率どん底フジテレビ」より(本誌では、フジテレビ反撃に向けた今春の動きまで探る!)