4月から始まるテレビシリーズで登場する謎の美女アミリを熱演する松野井と、シリーズ10年目の作品を絶賛撮影中の雨宮監督

特撮ファンやパチンコ好きには、説明不要なほどの大人気特撮シリーズ『牙狼』

シリーズの原作・総監督である雨宮慶太と、4月3日から放送が始まるTVシリーズ最新作に出演する女優・松野井雅“特撮とエロスのいい関係”を語り尽くす!

(前編 ⇒ http://stg.wpb.cloudlook.jp/2015/03/28/45687/

■エロスを感じさせる皮膚感が重要!

―劇場版の最新作でも女性たちの衣装が結構、エロい。それも強さとエロスが表裏一体だからですか。

雨宮 というより、特撮やアクション作品で大切なのは皮膚感だと思っている。だから、女性のキャラクターたちには肌の露出の多い衣装を着てもらうことが多い。

 なぜ、皮膚感が必要な要素になるんです?

雨宮 それはね、魔物との差別化を図りたいから。魔物って硬質の甲冑(かっちゅう)を身につけていたり、ヌメッとした肌感をしているでしょ? その対比として人間の皮膚感を大切にしたいわけ。

 あっ、なるほど。

雨宮 特に『牙狼』は人を傷つけないように守る話だし、人を守るということは最終的に命を助けることだしね。その命のわかりやすい表現として、皮膚感を印象的に扱いたい。魔物の剣や攻撃的な液体から肌を守る、それが命を救うことになる。それを伝えたいがために皮膚感を大事にしたいんだ。

―4月から始まるテレビ版の新シリーズに松野井雅を起用したのも、彼女が守りたい肌の持ち主だから?

雨宮 いや…。

 いやって、そんな(笑)。そうだと言ってください。

俺の裸体にエロ成分は少ない?

雨宮 まっ、彼女はこう見えて体育会系だからね。仕事がしやすいのは確か。適度なエロさもあるし、佇(たたず)まいもいい。

 適度なエロさって。

雨宮 それに、なかなかね、女優さんには“胸の谷間を撮るから、ちょっと寄せて上げて”とか言いづらかったりするんだよねえ。でも、彼女にはわりと言いやすいんで。

 そうそう、盛りが足りないと言われました。

雨宮 盛り直しっていうのもあったよね(笑)。

 胸といえば私、劇場版『牙狼~RED REQUIEM~』のカルマ役で、胸をまんま出しているんですけど、ボディペインティングで加工されているから別におっぱいを出している気がしなかった。

雨宮 たぶん、黄金騎士ガロのように鎧を身につけているような感覚に近い。

 自分の裸体を晒(さら)しても、まったくいやらしい感じはしなかったですね。

雨宮 特撮の着地点が性行為じゃなく、おっぱいなんだよね。まあ、これだけおっぱいばかり撮っていて本当か?と言われるかもしれないけど、たとえ女体のホラーであっても裸体を撮る時はギリシャ彫刻のような高尚なものにしたいなぁと思っている。

 はい。

雨宮 きれいで、カッコいいものをね。そこを目指してもいる。そういう志があるから、僕の撮る画えにはエロ成分は少ないと思う。

海外の特撮はエロスよりグロさ?

 そうだ、いい機会だから、ぜひ監督に聞いてみたいことがあったんです。海外の特撮映画にはエロスを通り越してグロさを感じてしまうことがあるんですね。それって作り手の過剰サービスがグロさになっちゃうんですか。

雨宮 かもしれないね。たぶん、そういう作品はエロくしよう、グロくしようと狙って作っているはず。でも、狙うと単にエロいね、グロいねで終わっちゃうことが多い。そうではなく、ちょっとだけ怖がらせよう、少しだけ神々しいシーンにしようという過程の中でエロスやグロさを演出したほうが見ている側に響くと思う。

 そういうもんなんですね。

雨宮 うん。例えば、『エイリアン』シリーズにしても、観客に生理的な嫌悪感を抱かせようと二重顎(あ ご)の中から突起物が出てきて、タラリと液体が出てくるような演出をしているわけじゃないと思うんだ。あれはエイリアンが明らかに地球の生き物ではないってことを素直に表現しようとした結果がグロさになり、観客に大きな恐怖感を与えているんだと思う。

 ちなみに、監督は子供時代にどの特撮でエロスを感じていたんですか。

雨宮 実は、特撮に女性が出てくるのが好きじゃなくてね。別に女性は必要ないだろって思ってた。東宝の『怪獣大戦争』(65年)に登場するX星人を演じた水野久美さんくらいかな、許せたのは。X星人のボディコンの衣装はエロかった。だから、子供の頃の俺が『牙狼』を見たら怒るんじゃないの。なんでおっぱいを出すんだって(笑)。

(取材・文/佐々木 徹 撮影/本田雄士)

●松野井雅(まつのい・みやび)1988年1月1日生まれ、広島県出身。映画『牙狼〈GARO〉~RED REQUIEM~』で魔境ホラー・カルマ役として出演。4月から始まる新テレビシリーズでも重要な役どころを担う

●雨宮慶太(あめみや・けいた)1959年8月24日生まれ、千葉県出身。子供の頃からの特撮好きとして知られる、『牙狼』シリーズの生みの親。原作者、映画監督のみならず、イラストレーターとしても活躍

■『牙狼〈GARO〉 GOLD STORM 翔』3月28日(土)より、新宿バルト9ほかにてロードショー 新作の劇場版『牙狼〈GARO〉-GOLD STORM-翔』は、4月からスタートするテレビシリーズの前日譚。オフィシャルサイト【http://garo-project.jp/GOLDSTORM/】『牙狼〈GARO〉』新テレビシリーズは4月3日からテレビ東京系、BSスターチャンネル、CSファミリー劇場にて放送スタート!