咋年2月に喉頭(こうとう)がんと診断され、治療に専念していたつんく♂

4月4日に出席した近畿大学の入学式で「声帯摘出手術を受け、声を失った」と告白したことも話題となった。

その、つんく♂は、自身がプロデュースするBerryz工房のラストコンサート(3月3日・日本武道館)開演前、実はメンバーの元を訪れていた。

すでに声を失っていた彼は、スタッフに手紙を代読してもらったという。“ももち”こと、嗣永(つぐなが)桃子が振り返る。

嗣永「つんくさん♂に“言葉”をいただきました。デビューからのことを振り返ったり、『ファンの人への感謝を忘れずに』って言われました。その言葉が本当にしみて。…正直、開演前、気持ちがフワフワしてたんです。でも、つんく♂さんの言葉で『そうだ、ちゃんと地に足をつけてステージに立たなきゃ』って思わせていただきました」

開演前にもかかわらず、号泣してしまうメンバーも…。結果、コンサートの開演が20分遅れたという。

嗣永「私たちは、愛情いっぱいに育ててもらいました。つんく♂さんから学んだ気持ちを後輩たちにも伝えていきたいです」

次ページでは、近畿大学の入学式での全文も掲載。つんく♂の言葉、近大の新入生たちにはどうしみただろう?

(取材・文/篠本634[Shortcut])

近畿大学入学式・つんく♂のメッセージ全文

【近畿大学入学式でスクリーンに表示されたつんく♂のメッセージ全文】

平成27年度 近畿大学にご入学の皆さん 入学おめでとうございます!この大学の卒業生でもあります私「つんく♂」と申します。

正直言いましょう、今日のこの入学式には、近畿大学にひっしのぱっちで入学した人。狙い定めて入った人。結果的に(滑り止めで)近畿大学に入った人。いろんな人がいるでしょう。

でも、あなたにとってどの大学が正解だったんでしょうか…それはわかりません。ただ、ひとつ言えるのは、この先の人生で、あなた自身が「ああ、この大学に入ってよかったな。」という道を歩めば良いんだと思います。

なぜ、今、私は声にして祝辞を読みあげることが出来ないのか…それは、私が声帯を摘出したからです。去年から喉の治療をしてきていましたが、結果的にがんが治りきらず、摘出するより他ならなかったから、一番大事にしてきた声を捨て、生きる道を選びました。また振り出しです。

そんな私に、「今年も近畿大学の入学式のプロデュースをお願いしたい!」と、この大学から依頼がありました。その時に思いました。「ああ、この大学を卒業してよかったな。こんな私がお役に立てるなら精一杯頑張ろう!」そう心に思いました。昨年末から何度も大学とメールでやり取りしたり、スタッフが伝言してくれたり、を繰り返しつつ、今日、この日を迎えました。

KINDAI GIRLSの皆さん、吹奏楽、応援部の皆さん、その他たくさんの学生の皆さんが、今日の日の為に夢中でレッスンしたり、準備してくれました。「みんなで一緒に新入生を迎え入れよう!」と。

ここまでの人生はもしかしたら受け身だった人もいるかもしれません。親が言うから…学校の先生がすすめたから…。でも、もうすぐ皆さんは成人します。もう自分の人生を歩んで行くんです。後悔しても意味がないんです。今から進んでいくんです。自分で決めて進んで行けば、絶対に何かを得、そしてまた次のチャンスへと繋がっていくんだと思います。

私も声を失って歩き始めたばかりの1回生。皆さんと一緒です。こんな私だから出来る事。こんな私にしか出来ない事。そんな事を考えながら生きていこうと思います。

皆さんもあなただから出来る事。あなたにしか出来ない事。それを追求すれば、学歴でもない、成績でもない、あなたの代わりは無理なんだという人生が待っていると思います。

近畿大学はどんな事にもチャレンジさせてくれます。だから何もしなかったら何もしないなりの人生をチョイスすることになるし、自分で切り開いていく道を選べば、きっと自分を大きく育てるようなそんな大学生活になるでしょう。

仲間や友人をたくさん作り、世界に目をむけた人生を歩んでください。私も皆さんに負けないように、新しい人生を進んでいきます!

だから最後にもう一度言わせてください。皆さん、近畿大学への入学、本当におめでとう!「ああ、良かった!」と思える大学生活をセルフプロデュースしてください!

そして、今日のこの出会いに感謝します。ありがとう!

平成27年4月4日 近畿大学入学式プロデューサー つんく♂