ロビンマスクの仮面が7人の悪魔超人・アトランティスによって高々と掲げられた、あの名シーン――記憶に新しい読者も多いだろう。
その舞台となった「不忍池(しのばずのいけ)」の近く、上野「新日展会館」で5月29日(金)の”ニクの日”から3日間、キン肉マン原画展『35Candles キン肉マン~マッスルギャラリー~ tributeプラス』が開催された。
同展では『キン肉マン』の新シリーズ、コミックス38~50巻の原画に加え、『マキバオー』のつの丸先生や『テラフォーマーズ』の貴家悠(さすが・ゆう)・橘(たちばな)賢一両先生、『火ノ丸相撲』の川田先生など錚々(そうそう)たる方たちに『キン肉マン』を描いていただいたトリビュート画までを展示。
来場者も往年のキン肉マン世代はもちろん、若い女性や子供の姿も多く見られ、3日間でなんと2500人が集結! 炎天下の中、一時は2時間待ちの行列となる大にぎわいとなった。
改めて『キン肉マン』の”友情パワー”を見せつけた今回、イベント後にゆでたまご・嶋田隆司先生を直撃、大盛況の喜びとともに振り返っていただいた。
―肉ファンは男性が多いイメージですが、“肉読(にくどく)”女子と名付けたいほど若い女性のお客さんもいて驚きました。
嶋田 初めての人はいつもそこに驚くんですよね。キン肉マンのイベントって結構、女性が来てくれるんですよ。女性の場合、『キン肉マンⅡ世』のアニメから入って、スカーフェイスのようなイケメン超人のファンになるみたいですね。
今回も20代前半くらいの女のコに「Ⅱ世の連載もまたやってください!」って言われましたよ。ジャンプで連載している時は、バレンタインのチョコが編集部にほとんど送られてこなかったので嬉しいですね(笑)。
原画ならではの”デコボコ感”
―先生自身も会場を回られたんですか?
嶋田 お客さんがいなくなってから改めて展示を観ました。そこで思ったのですが、今回イラストを描いてもらった先生方って平松伸二先生が唯一先輩で、他の皆さんはみんな年下なんですよね。
コメントを見ても「初めて読んだり描いたりしたのは『キン肉マン』です!」って書いてくれた人が多くてびっくりしました。『キン肉マン』って、若い作家さんたちにも影響力あったんだなって感慨深くなりましたね。
聞いたところによると、他の先生には負けたくないとの思いからか、お忍びで観に来てくれた先生もいたみたいですよ。お客さんの声でもトリビュートの評判はかなり高かったですね。
―原画に関してはいかがですか?
嶋田 僕自身、小さい頃からいろんな作家の原画展に行くのが好きだったんです。今回も、相棒の中井くん(ゆでたまご・中井義則先生)が鉛筆でセリフを描きこんでいたり、原稿一枚でもコマを切ったり、絵を貼ってあったりして面白いですよね。
原画に目を近づけると、デコボコしているんですよ。これは、雑誌になった平らな原稿では伝わらないですからね。お客さんにもそういうところを楽しんでもらえたんじゃないかと思ってます。
超豪華作家陣のイラスト写真! 6月にはケンコバとのトークイベントも!
―5月はこの「原画展」、続いて6月にはケンドーコバヤシさんとのトークイベントもあります!
嶋田 ケンコバさんとは、彼が東京進出する前に大阪で一度飲んだんですよね。僕が「その声、つくってるんですか?」って聞いたら「もともとこういう声なんです」みたいな会話をした思い出があります(笑)。
その後、ちょくちょく仕事で一緒になりますが、東京では飲みに行ってないんですよ。6月のイベント施設はお酒出してくれるみたいなんで、久しぶりにケンコバさんと飲めますね(笑)。
―おおっ、ほろ酔いトークでどんなトークが飛び出すかわからないと!? ファンには見逃せないはずですね~。
* * *
嶋田先生がストーリーを考え、中井先生が原稿を描き続けて37年。先生自身、「あっという間だった」と語っていたが、その苦労は計り知れない。今回は、そのほんの一部だが貴重な裏側を垣間見られた原画展だった。
『キン肉マン』の連載やコミックスを見ながら「原画ではここがデコボコしてるのかな?」と思い、読んでみるのもオススメである。
(取材・文/週プレNEWS編集部 写真提供/たまご企画)
■6月30日(火)、コミックス最新51巻の発売を記念して嶋田先生とケンドーコバヤシ氏のトークイベントを開催! お酒を飲みながら、肉トークを楽しめる! 詳細・チケット販売情報 http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_150530204918_1.htm