総額3千万円相当の高級ブランドバッグやジュエリーを信頼していた元ベビーシッターに盗まれた神田うの(40歳)。
被害者であるにもかかわらず、世間の視線は思いのほか冷たいものだったーー。
タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!
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私はエルメスのバーキンもケリーも持っていないのですが、かなりベーシックなものでも確か100万円ほどするはず。バッグひとつに100万円かけてしまったら、私なら一生かけて使い倒して、なんとか元を取ろうとする。もちろん、置き場所も絶対に忘れない。
お金持ちというのは、家の中で数百万円のバッグが何個か見当たらなくても血相変えて騒いだりしない人のことをいうのだな、と今回はそれが感慨深かったです。
いくつもあるなら1個当たりの出番もそう多くないだろうし、大らかな性格の人なら置き場所を決めての点呼チェックもしていないでしょうから、「あれえ、なんかないなあ?」で時間が経過してしまうのですね。それが不幸にして巨額の被害につながってしまったようなのですが…。
「なんかないなあと思ってもしばし放置しておけるものは何か」で、その人の余裕が測れる気がします。「3千万とはいわないけど、服がないとか時計がないとかならよくあるよ」という人は部屋を片づけましょう。
「あれえ、あのコからしばらく連絡ないなあ?」と思っても放っておけるのは、これは心の余裕ではなくただの気が利かない男です。
●小島慶子(こじま・けいこ) タレント、エッセイスト。調理中のまな板から落ちたミニトマトがこつぜんと姿を消し、4次元トンネルがあるとしか思えないとおびえていたが、1年後の引っ越しで冷蔵庫の下から発見されたことがある