「安心してください。はいてますよ」のフレーズでお馴染み、全裸に見えるポーズで世間を賑わせている芸人・とにかく明るい安村。
発売中の『週刊プレイボーイ』27号では、なんと!袋とじ「とにかく明るい安村プロデュース 谷桃子 倉持由香 まさかの全裸!?グラビア」という前代未聞の企画に挑戦、ネット上でも騒ぎとなるほど大好評を得ている。
芸暦15年でようやくブレイクを手中に収めた安村だが、そこに至るまでは苦難の連続。昨年のコンビ解散を経て、家族を支えるために芸人を辞めようとまで思った彼が、ピン芸人として再出発、“全裸に見えるポーズ”芸を編み出し成功を収めるまでの軌跡を直撃した!
―今、週プレの袋とじグラビアで披露している、安村さんプロデュースの“全裸に見えるグラビア”がスゴいことになってますね!
安村 (出来上がったグラビアを見ながら)ハッハッハ、本当にいいですよね。会社やオフィスでこんなのおかし過ぎるでしょ(笑)!
―確かに、ありえない(笑)。
安村 谷(桃子)さん、めっちゃいい顔してる!
―深夜のバラエティ番組で見せる顔ですよ。
安村 僕は慣れてるんですけど、水着を隠すのに中腰になったり、結構つらい姿勢が多くって、谷さん、倉持(由香)さん、おふたりともすごく頑張ってくれたなと思って…。
―バカバカしさの中に(失礼!真剣です)、そんな苦労が隠れてたんですね。
安村 服を脱ぐと仲間になるというか、現場ではほぼ裸だったんで、そこにいる全員に連帯感が生まれて、みんなすごく仲良くなりましたよ!
―おおっ、まさに裸の付き合いですね!(ていうか、彼女たちの何をどこまで見たんだ!?) ところで、芸人になってどのくらいなんですか?
安村 18歳から始めて、芸暦15年目ですね。
―芸人になろうと思ったきっかけは?
安村 幼稚園の時からの幼馴染みに中学の文化祭の出し物でお笑いやろうと誘われたのがきっかけで。その流れで高校を出て吉本のお笑い学校へ入りました。他人任せで、自分からやりたかったわけじゃないんですよね。
―消極的なスタートだったんですね。
安村 そうなんですよ。そんな経緯なので、昨年4月に14年間組んでたコンビを解散したにも関わらず、今ひとりでお笑いをやっていることが信じられないですよね。誘われて田舎から出てきた18歳当時のボクからすると…。
お笑い辞めて普通に働こうと思った
―長年やったコンビを解散した時はどんな気持ちだったんですか?
安村 解散した時は奥さんも子供もいて、子供は生後11ヵ月くらいだったんで、僕もお笑い辞めて普通に働こうと思ったんですけど、奥さんが「やった方がいいよ!」って言ってくれて。それがなかったらもうとっくに辞めていましたね。
―奥さんはなぜ応援してくれたんですかね?
安村 僕がもうめちゃくちゃ(芸人を)やりたそうな顔してたって言うんですよ。実はそうでもなかったんですけどね(笑)。やっぱり家族を路頭に迷わすわけにはいかないので。
―明るい感じで勧めてくれたんですか?
安村 いや結構大変でしたね。奥さんもいっぱい悩んで、解散する時は号泣してましたし。僕が駆け出しで本当にどうしようもない時から奥さんとずっと一緒にいるので、感極まるものがあったんでしょうね。
―奥さんとは何年くらいなんですか?
安村 結婚して3年で、その前に7年くらい付き合ってました。駆け出しの頃はお金がなさ過ぎて、ふたりでデパ地下の試食で済ませたりとか、パン屋でパンの耳をもらったりとか。電気ガス水道を止められて、ろうそく立てて生活してましたよ。日が沈むと寝て、夜明けとともに起きる生活をしていました。こんなマンガみたいなことを本当にやってたんですよね。
-ある意味、いい話ですよ~。健康的な生活ですね!
安村 そんな中で時々、北海道で漁師をやっている友達が海老とか海産物を送ってくれていたので、普段は米に塩をかけて食べる毎日なのに急に豪華な晩餐になるみたいなこともありましたね。
-それもいい話! 友達ってありがたいですね。2014年の4月にコンビを解散したあとはどんな活動を?
安村 仲間の主催するいろんなライブに出たり、6、9、11月と単独ライブをしました。そのためにピンネタをたくさん作ったんですけど、9月の単独で“全裸に見えるネタ”が出来上がったんですよ。
―いきなり大爆笑でした?
安村 いや、最初は全然受けませんでした。基本すべてのネタがスベッてて(笑)。お客さんも解散直後だったんで15人くらいで。中でも一番スベったのは“どんぶり漫談”ってやつで、ボクは全国丼連盟(「丼を通して日本を元気に」というテーマで活動)の会長なんですけど、そこの人たちも見に来てくれているのにも関わらず、全然ウケない。まぁ酷かった。
―「どんぶり漫談」って気になりますね…
安村 どんぶりとお箸を片手に、どんぶりが好きってとこから始まって「どんぶり、おいしいですよね~、牛丼、天丼、カツ丼」みたいな感じで。「カツ丼の食べ方があって、ごはんを少し多めに残して、最後のカツ一切れで残りのごはんを回収します! それを勝海舟(カツ回収)と言います」ってやって、お箸でどんぶりをチーンと鳴らすんです。
―ハハッ、面白いですよ!(たぶん…)
安村 いやー死ぬほどスベりましたよ。
最初はエロすぎてダメでした…
―本筋へ戻りますが、初めての“全裸に見えるネタ”もスベったのはなぜ?
安村 エロ過ぎてダメでした。ストリップ劇場で踊る踊り子みたいな感じで、ピンク色の照明の中、お立ち台に立って、芸人のスギちゃん風に「いまから全裸に見えるよ~う。どうだ~い?」って(笑)。お客さんの目線の位置がちょうどボクの股間ぐらいの高さで、お客さんも伏し目がちで笑えない状態になっちゃって…。
―ははっ。手探り状態だったんですね。落ち込みました?
安村 ダメだな~と思ったんですけど、でもなんか自信はあって、このネタでいけるみたいな。次は吉本のニコ生みたいなので「夜中のエロネタ」というテーマの回に出たんですよ。ここでは、芸名もとにかく明るい安村だし、爽やかに元気にやってみたんです。そしたら大ウケして。画面に流れるコメントもいい内容で、アンケートで8割以上が面白いと評価してくれてました。
―そもそも全裸ネタはどこから?
安村 当時好きだったまゆゆの写真集(AKB48渡辺麻友写真集『まゆゆ』小社刊)の表紙(全裸に見えるよう水着を隠し体育座りをしている)を見てて思いついたんですよ。発売された時は何も思わなかったんですけど、去年、再び本屋で見て「曲をつけて動きながら最後にこのポーズとったら面白いな!」みたいなアイデアが浮かんだんですよね。
―週プレから出した写真集じゃないですか~。それも縁があったと。良かったですね! でも一見、シンプルな芸ですが、苦労している部分は?
安村 どんなパンツを履くのかってことで悩みました。結構パンツになることが多い先輩のガリットチュウ・福島さんに相談したんですよ。
―パンツになることが多い先輩って、どんな先輩ですか(笑)!
安村 福島さんは「オレは女性物のパンツの後ろ前を逆に履いているんだよ~」と教えてくれて、なるほどみたいな。そうすると、前の“出てはいけない部分”が完全に隠れて安心だし、お尻の布の面積もTバック風に小さくなって、全裸ポーズをとった時に水着を隠しやすいわけです。
―なるほど! 道理で小島よしおさんが履いているパンツと感じが違うなと思ってました。
安村 それで、すぐに女性スタッフにドンキで買ってきてもらって。色とか形はそのコ任せで、結果、あのピンクのパンツになったわけです。ちなみに1千円でした。
―それって何枚持ってるんですか?
安村 今は3枚ですね。最初の1枚はもう色落ちしまくってますね。初めはムチャクチャ濃かったのに…。で、二代目のパンツはファンからもらったんですよ。ライブ終わりで外へ出たらカップルがいて「パンツ、どこで買ったんですか?」って聞かれて。「ドンキです」って答えたら「私も同じの持ってます!」って、それで「使ってないんであげますよ」と。
僕は「ええっ!」って驚いて、新品かどうか尋ねたら「いや、何回か履きました」って…つまり、今、僕はファンの使用済みパンツを現場で履いているわけですよ。
ダウンタウン松ちゃんに「おまえ、明るくないやん!」!
―ハハハハッ。そのコが美人だったら喜んで履きますけどね(笑)。裸が商売道具ということで、無駄毛の処理とかは?
安村 全く処理してないんですよね。全体的に薄くって、特に内腿やギャランドゥの毛が全然ないんでナチュラルでやってます。だからすぐに全裸になれます。僕は全裸に向いていたんですね。
―向き不向きってあったんだ(笑)。裸芸人ゆえのハプニングはありますか?
安村 裸足なんで足の裏が熱くなって、立っていられなくなる時がありますね。あと、競馬場で撮影していた時に、同じポーズしといてくださいって言われてじっとしていたら、アリが体を登ってきて。「アリが這(は)っているな~」と思って、ほのぼのとしましたよ!
―ほのぼの…って、なんのエピソードですか! あと、芸名は変わってますが。なんでそれになったんですか?
安村 レイザーラモンRGさんに、僕が高校野球をやってたこともあって「高校野球のキャラでいこうと思います。芸名は安村球児、安村ベンチ、安村野球とかそういうのにしようと思います」って相談したら、キャラをひとつに決めるのはもったいないって話に…。
―確かにRGさんもいろんなキャラを試されて、今の歌いながらのあるあるネタに落ち着いたそうですが。
安村 そうなんですよ。RGさんは「いろんなネタをやった後にキャラが決まるから、いろいろ試してから決めたほうがいいよ」って。それで野球キャラに限定されない、とにかく明るい安村にしました。
―RGさんに言われず、安村球児だったら今がないかも?(汗)で、奥さんの反応はどうでした?
安村 「バカバカしくていいじゃん!」って喜んで受け入れてくれると想像してたら「自分がしたいなら、それにすれば」みたいな。なんであんな冷たかったんでしょう…。
―うーん、女って難しいですね。千原ジュニアさんには吉本の本社のトイレで、安村さんが眉間に凄いシワ入れているところ見られて「おまえ、全然明るないやんけ」とつっこまれたそうですね。
安村 ハハッ、ありましたね。「いや、明るいです、明るいです」って返しましたけど。あとダウンタウンの松本さんにも「楽屋挨拶にきたけど、全然明るなかった」と。先輩にはどうしていいかわからないですもんね。楽屋に行って大声出して、明るく言っても失礼だから真面目に言うじゃないですか。それが今の悩みですね。
でも本音はイジってもらえてありがたいです。この芸名にして良かったなっていう。
一発屋になる可能性も?「一発当てるだけすごいですよ!」
―で、ついに全裸芸でTVに出て。きっかけはなんだったんですか?
安村 ライセンスの藤原さんの結婚式の余興で全裸芸をやったら、宴会芸なんでムチャクチャ盛りあがったんですよ。酔っ払ってる人たちが大騒ぎするみたいな。そこにフジテレビの「バイキング」の作家がいて、会議で僕の名前を出してくれてトントン拍子に出演することになったんです。
―あるあるのRGさんからエロ詩吟の天津木村さん、ムード歌謡ネタのムーディ勝山さんとか同じように芸人の結婚式の余興をきっかけにブレイクして。同じところから火が着いたとすれば、一発屋になる可能性も…。
安村 いやいや、一発当てるだけすごいですよ! でも、今はとにかく年内に服を着てTVに出れるようになりたいですね。
―どういうことですか?
安村 裸では真面目なシーンに出れないし、ロケで飲食店にも行けないんですよね。感動モノの再現VTRを見ているのにワイプに裸のやつが映っていたらおかしいじゃないですか。「パンツ1枚じゃ、集中できないんで何か着てください」って指示されることもありましたから。来年のR-1は服着て出たいな…。
―では、最後にそんな今後の展望を!
安村 このネタはあまり言葉に頼らないので、インドネシアのジャカルタで“あたりまえ体操”をやっているCOWCOWさんみたいに海外でやってみたいです。年内にアメリカに行きたい! すでにファーストDVD『安心して下さい、穿いてますよ。』には英語バージョンも収録してますし、心の準備は出来てますよ!
(取材・文/週プレNEWS グラビア撮影/樂滿直城 インタビュー撮影/松井秀樹)
■とにかく明るい安村(TONIKAKU-AKARUI YASUMURA) 1982年3月15日生まれ 北海道出身○2000年にお笑いコンビ・アームストロングを結成して活動。2014年に解散し、ピン芸人として活動。『とにかく明るい安村と紗倉まなのとにかく丸裸!』(文化放送、毎週金曜26時30分~)などに出演中。ファーストDVD『安心して下さい、穿いてますよ。』は6月24日(水)に発売。8月1日(土)開催の「幕張ビーチ花火フェスタ」に出演決定!