あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』。
前回のピーターこと池畑慎之介さんからご紹介いただいた第5回ゲストは、お笑い芸人の千原ジュニアさん。40代となり、プライベートでもひとり旅など今までと違う面白さを見つけようとしているとのことだが…。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)
―では、(有名人であることを)当たり前というか、自分の立場のものとして受け入れられてる?
千原 まあ、うん…。お正月なんかは毎回変わったというか、いろんなとこ行ってるんですけど。今年なんかはガラパゴス諸島を回るっていう、それは4人くらいのメンバーでクルージングしに行ったんですけど。ま、それもわざわざ日本人がいないところに自分が行きたいからって行ったわけでもないんで。
―ガラパゴス、見とこうみたいな感じで?
千原 はい。で、そんなんは日本人全くいないですよね。一緒に行ってるメンバーだけやって言ってました。だからそういうとこ行くと、誰も僕のこと知らないですし。マチュピチュ行ったり、オーロラ見に行ったり、毎年、正月は休みもらったら、そうやって遠くの知らんところへどっか行ってるんですよ。
けど、それは歳取った人ってよく言うじゃないですか、あと親に会える回数とか、桜見れる回数みたいなこと。その感じになってきてるのかもわかんないですね。そういう感覚はだんだんデカなってきてるかも。
―それは確かにありますね。僕ももう40代後半ですが、行けるうちに行っとこうとか、観ておきたい優先順位があって。実は数年前にガラパゴス行ってるんですよ。
千原 あ~、そうなんですか。
―僕はダイビングで潜りに行ったんですけど。あと、オーロラもフィンランドとカナダに…。ジュニアさんとの共通点を見つけましたね(笑)。お会いする前は、学生時代に自分も急性肝炎に罹(かか)ってて、それが一緒だなと思ってましたが。
千原 そうなんですか。僕はかなりやばかったですね…。A型かB型かっていうことで、B型やったらアウトです、もう死にますって。で、A型なら助かりますよっていう。五分五分やっていうので、結果A型やったんですけど。
―僕の時はまだ86年くらいでしたけど、AでもないBでもない非A非Bっていうので(苦笑)。まだC型も見つかってなかったんですよ。
千原 え、じゃあC型やったんですか?
今日は100点やったなってなかなかない
―たぶん。で、当然インターフェロンとかの治療もないし、そのまま点滴してγ-GTP値を下げるだけで。ずっとこのウイルス持って、いつまた慢性化するとか肝硬変になるとかわからないまま背負っていくのか、みたいな。
千原 C型はそうなんですよね。
―後々、抗体が体の中に勝手にできてウィルスなくなる人もいるっていう話で。僕はそうだったらしく助かったんですけど。そういう怖々生きていかなきゃいけないとか、死と隣り合わせになったみたいなのも生き方に影響しませんか?
千原 どっかでしてるんでしょうね。
―余生とか、人生80年考えて生きるとかなかなかできないですよね。
千原 全くないですね。
―やっぱりまずは目の前ですか? 旅の話もですけど、真っ先に今何をやっておきたいかでどんどん決めていく感じ。
千原 そうですね。そういう感じやと思います。
―仕事だと、今こういう地位というか、売れっ子の立場になって。これから先どういうところに自分が行くんだろうとか…そこでマンネリ感みたいなのも打破しなきゃ、新鮮なものを取り込まなきゃと?
千原 そうですね、ありますね。なかなか両手放しに今日は100点やったなっていうのはなかなかないですしね。
―では、人との出会いとかひとり旅以外で、仕事ではエッセイとかコラムもやられてますけど、新たに小説書いたりとか、また違う引き出しも求めたり?
千原 うーん、ただそういうことは結局自発的じゃないのでね。人に言われて、じゃあやりましょかっていうことですよね。
で、ある出版社でいうと、小説書いてくれっつってね。名前入りの原稿用紙作ったんでって、どっさ~渡されて。まだ一文字も落としてないですから(笑)。6、7年待ってもろてる感じですからね。
―はははは(笑)。すでにやはりそういうのもあるんですね。でもまだ自分の中で満ちてないというか。
千原 ま~、なんなんでしょうかね。
―役者のほうもしばらく観ていないですし…。
千原 やってないですね。それはオファーがないだけです。まぁ、そういうのはたぶんやらないと思いますけれども。今んとこ別に断ってとかではないです。話があれば全然やりますよ。
大きい分岐点は人に決められてる
―演じる仕事っていうのも、何がイヤだとか向いてないとか、そういう基準ではないんですかね。面白そうやと思ったら、そのタイミングで乗っかるみたいな。
千原 そうです、そうです。その現場、その現場でこっちの本業に持って返ってくるもんもいっぱいありますし…。自分の演技がどうとかもあんまり考えないですね。監督がOK出したら、それはもうOKなんやろうという。その監督が求めるものをちゃんと出せたかどうかという不安はありますけど。
―それぞれに面白みや発見もあるでしょうね…。
千原 発見というか、若い時のほうがよく映画とか出させてもろうてたんで。意外と遠慮せずにいけるのは、お芝居のほうがフルにいけたりしますね。特にTVとかバラエティに出てるのやと、今の発言よりはこっちのほうがいいとか、ちょっとどっかで早めにブレーキかけてしまう時代の風潮はありますから。
そういう意味じゃ、お芝居なんてどういうお芝居の仕方しようがね、監督がOKって言やぁ、OKやから。
―それは芸人としての本業があるとして、別に役者を中心に生業(なりわい)としてやってるわけじゃないしという自由さも?
千原 あ、それもあると思いますね。好き勝手できて。やっぱ、いい意味の責任感のなさというか。ま、賃貸ですからね。分譲じゃないから。お笑いは分譲やけど、失敗できへんけどね。賃貸は別にイヤやったら引っ越したらいいわけやし。そういう無責任な強みはあると思います。
―役者とかは間借りしてる感じと。
千原 僕、たまに落語なんかもやらせてもらうんですけど、落語家やったらたぶんできへんやろなっていうような大ネタを図々しくもね、ぱっとやらしてもらえたりとか。これやるのに10年、20年かかるのをいきなり稽古のつけ方も勝手にやったりとか。もし誰かの弟子とかやと絶対できませんからね。そういう強みはあるなと。
―でも、こうしてお話してると、今まではあんまり自分からこれやりたいとかないんですね。プライベートでの旅の話はあるとして…。
千原 僕ね、全部大っきい分岐点は結構、人に決められてるんですよね。この世界に入るっていう一番でっかいのも(兄の千原)せいじやし。東京行け言うたのも当時のマネージャーやし。バイク乗ったんかって、ほんまはドラマなんですよ。ドラマでバイク乗る役なんで、免許取ってくれってなって。ほんで事故るんですよ(苦笑)。
小説も会社が勝手にOKして、無理矢理書かさせられて。で、締め切り決められて、書かなしゃーないっていうので書いたりとか。その落語も最初やるきっかけは(春風亭)小朝師匠にやりなさいって言われてやらしてもらったり。なんかいいとこ、いいタイミングでいろんな人に道しるべを指してもらってるっていう感じはありますね。
―自分ではそれも悪くないっていうか、それで上手いこときてるしという感覚で。
千原 そういうとこあるかもわかんないですね。
―じゃあ、このお話でいくと、40代になってそれこそ結婚はどないやねんとかツッコまざるを得ないんですけど(笑)。それも流れで?
千原 これは、でも待ってても絶対ないですからね~! これだけは自分からいかんと!
ご飯、また食べたいなって人に会えてない
―はははは(笑)。なんかでも願望とか特になさそうですけど。
千原 いや、いや! あります、あります! ま、結婚というより、まず彼女ですね。彼女欲しいですねー。
―いやいや、それはなんなんでしょう(笑)。自分の中でハードルが高くなってるんですか? 付き合う面倒臭さも含めて…。
千原 いや、面倒臭さはないですね。でもまぁ、なんか…なんなんでしょうね。
―結婚=所帯を持ちたい、家庭みたいなもんを持っときたいという?
千原 どうなんでしょうね~。まぁ、そこをまだそんなに考えてないってことは、結局ないってことでしょうね。でも彼女が欲しいっていうのは、めちゃくちゃ欲しいですねー。昨日もデートしましたけど、うーん…違いましたね(笑)。はははは(笑)。
―ははは(笑)。それこそ、モテるでしょうとか、めちゃ遊んでるでしょうとかイメージ先行なとこあると思いますが。自分から積極的にいくんですか?
千原 いきます、いきます。そういう人がいたら。
―こう、スカして自分のとこ来るの待ってとかじゃなく…。
千原 そんなの、だあれも来ないですよ。全部自分からですよ。けど、そもそも行く人が少なくなってはいますよね。ま~、ご飯食べに行って、また食べたいなっていう人に会えてないというか。若い時とか、どやったんやろな~って思いますね。
―それはやっぱり過去に乗り越えてきたハードル以上に気持ちが盛り上がらないと?
千原 そうですね~。最近はないですね~。
―でも結婚に対するイメージが何かあるのかと思ったら、まずは彼女が欲しいってとこなんですねえ。
千原 そうですね。イメージとかもないですね。もう、なっがい間いないですから。ちょっとそういうのも忘れたな~。
―でも彼女欲しいって、そもそも何を求めてるんでしょうね。
千原 ま~、単純に楽しいですよね? ご飯でも後輩連れて、なんか美味しいイタリアンでも行こうかって気にはならないでしょう。寿司でもね、美味しいとこあるな~っていってもね。だから税理士の先生なんか、もういつ女性と別れたかすぐわかるって言ってましたね。領収書見たら(笑)。
―ははははは、それはわかるかもしれないな~(笑)。領収書で生活とかいろんなもんがバレるんでしょうね(苦笑)。…でも、そのひとり旅がいいなって思ったのも、やっぱり一緒に行けたら楽しいかもっていう?
千原 海外にふたりで行ったなんてことは、ま~、ないので。旅行自体ないですね。あと、バイクの後ろに乗っけたこともないし。それはもう、ちゃんと初めて責任取るっていうことやから。
次回お友達はバリアフリーな大御所の…
―責任ですか…あ~、後ろ乗っけてね、命預かるぐらいの話になるわけだから。
千原 そうです、そうです。今まで1回もないですもんね。
―いろんなことやり尽くしてるようで、初めてが多過ぎじゃないですか?(笑)
千原 まだ、初めてのことがいっぱいありますよ。もうね、いっぱい、いっぱい。『てもみん』行ったことないし、『バーミヤン』もないし…。
―はははは。それはある意味、不自由っちゃ不自由ですけども(笑)。これからまだまだ楽しみはあるということで。…そろそろお時間ですか? なんかほんと脈略なくてすいませんが、ではお友達を紹介していただければと。
千原 僕、ほんとにいないんですけど、芸能人の友達が。男ばっかりですしね。…あ、板東英二さんはどうですか?
―板東さん! スゴいお名前がきましたね~。
千原 いま吉本ですし。ほんとにあの年齢で、めちゃくちゃエネルギッシュやし。楽屋貼りってあるじゃないですか? 同じスタジオに板東さんが来てる時に、絶対なんか落書きしていってくれるんですよ。「俺はおまえのことは好きや、せいじはあんまりや」とか(笑)。そういうお茶目でサービス精神に溢(あふ)れてるところとか、すごく会って元気になるというか。
僕なんかと全然タイプが違うから、余計学ぶべきところがたくさんあって。なんかこう、大きい太陽みたいなとこありますからね。すげ~その場にいるだけで明るくなるし。
―いろんな先輩方がいる中、これだけ大御所になっても板東さんは変わらずという?
千原 敷居高い人が多い中、ほんまにあの人は悪い意味じゃなくてバリアフリーやし(笑)。誰でも入ってこいみたいな、そういう空気感を持ってはるいうか。
―交際関係というかお顔もかなり広いでしょうしね。では板東さんでいかせていただきますか。ちなみに最近会われたりとかは?
千原 最近、あんまりないんですけど。ほんとに見習うべき、サービス精神の旺盛さというか。あの、そこにいるだけで周りを明るくするエネルギッシュさとか。
―あんまり褒めすぎると気恥ずかしがって、おい!ってきそうですけどね(笑)。
千原 いやいや、ね~。そうや、名古屋のホステス紹介してくれるいうて、まだ紹介してもらってないな。それ、言うといてください(笑)。ちょっと早く誰か紹介してくださいって(笑)。
―それはいいですねー。じゃあ、まずその線からいかせていただきますんで。長い時間、ありがとうございました!
●第6回は7月5日(日)配信予定! ゲストは野球解説者・タレントの板東英二さんです。
●千原ジュニア 1974年生まれ、京都府出身。1989年、実兄の千原せいじとお笑いコンビ・千原兄弟を結成し、ボケを担当。芸人として活躍する一方で、執筆活動も精力的に行ない、多彩な才能を発揮している。現在、読売テレビ『にけつッ!!』、フジテレビ『オモクリ監督~O-Creator’s TV show~』など10本以上のレギュラー番組に出演中。 毎月草月ホールにて千原兄弟トークライブ「チハラトーク」を開催。2015年8月9日(日)~23日(日)、パラッツォ ドゥカーレ麻布にて千原ジュニアも出演する「THE EMPTY STAGE 2015 SUMMER」開催決定。最新情報⇒ http://the-empty-stage.jp/
(撮影/塔下智士)