奇跡のアニメ化もされた4コマギャグマンガ『機動戦士ガンダムさん』などの作者である大和田秀樹さんは、小5、小6時代にガンプラ第1次ブームを体験した、まさに歴史の生き証人!
そこで、ガンプラ35周年でますます熱い今、あらためて当時のことを振り返ってもらった。
大和田 当時はクラスの男の子のほぼ全員がガンプラを作ってて、みんなガンプラ中心の生活。今の『妖怪ウォッチ』ブームの比じゃないぐらい流行ってた(笑)。僕や周りの友達は学校に持ってって、休み時間に塗装したりしてたんで、教室をシンナー臭くしちゃったこともありました(笑)。
―初代の1/144スケールは300円。子供でも買いやすい値段でした。
大和田 最初にシャア専用ザクを駄菓子屋で買いましたね。駄菓子屋でプラモが売られてる時代だったんで。もちろんガンダムも持ってました。頭や片腕を焦がして切断して、ラストシューティングのポーズを再現しましたね。
―修復不能状態に! もったいないと思わなかった?
大和田 ものすごく迷った末の決断でした。でも焦がしたといっても、お線香で地道に焼き切っていっただけなんですけど(笑)。
―MSは連邦軍とジオン軍、どちら派でしたか?
大和田 僕は断然、ジオン派。というか、ジオンの水陸両用MSマニアといっても過言ではないです。ズゴックとかゴッグとかゾックって、なんかカンブリア紀の海中生物っぽくないですか? もうあのカンブリア大爆発的な感じがたまらなくツボでね。
35年間ずっとガンプラ生活!
―小学生にしてはかなり渋い好みですね。
大和田 よく近所の河原で、水陸両用モビルスーツたちとガンダムを戦わせてジャブローごっこしたものですよ。ゾックに重りをつけて川に流すと、ちょうどいい感じで浮いてきて、あの登場シーンを再現できるんです。でもそのまま流されちゃって、結局ロストしましたけど…。
―大和田さんちの一年戦争、かなり過酷です!
大和田 僕は再現欲求が強かったのかも。でも、あの“アニメの世界にじかに触れる〟感覚は子供心にすごく斬新で。それ以前のロボアニメには超合金のオモチャはあったけど、主役メカしか発売されないから劇中の戦闘を再現することはできなかった。だからガンプラは別格でしたね。
―最近も作られてますか?
大和田 RGのガンダムとかシャア専用ズゴックとか作りましたよ。初代300円ガンプラと同じ1/144スケールだからRG作って遊んでると子供の頃に手にした感覚が甦ります。と同時に、あぁ僕は35年間ずっとこんなことしてるんだなぁ、って気持ちも湧いてきますが(笑)。
大和田秀樹 1969年生まれ、45歳。ガンプラ歴35 年のマンガ家。98年『たのしい甲子園』でデビュー、01年『機動戦士ガンダムさん』(KADOKAWA刊)連載開始。最新13巻が7月25日発売予定
(取材・文/昌谷大介、牛嶋健【A4studio】 撮影/下城英悟)