16日には『新甲虫王者ムシキング』PRイベントを開催。篠原信一と虫アイドルのカブトムシゆかりが登壇した

およそ10年前、かつての少年たちを熱中させたムシキングが復活したーーしかし、そこには早過ぎたのでは?という不安の声も漏れている。

『甲虫王者ムシキング』(旧ムシキング)とは、2003年から10年までセガが発売していたアーケードゲーム型トレーディングカードゲーム。小学低学年の男児を中心に爆発的ブームとなり、ピークの05年にはアニメ化や映画化も果たした。

今回の『新甲虫王者ムシキング』(新ムシキング)の復活は今年1月発表。各地でロケテストが行なわれ、今月16日から正式稼働となった。

「めっちゃやってましたよ! 懐かしい!」(19歳・大学生)、「また出るんだ! 『アクティオンゾウカブト』とか『タランドゥスツヤクワガタ』って覚えてるのは、これのおかげです」(20歳・営業)など、当時ハマっていた元男子にとっては、嬉しい知らせとなったよう。

しかし、一方で「なぜ、今年だったんだ」という声も…そう不安視するひとりが、サイドビジネスとしてトレーディングカードの通信販売をしているA氏だ。

「ブームの渦中にいた、いわゆる“ムシキング世代”はまだ20歳そこそこ。子供がいても、まだカードゲームができる年代ではないんです。かといって、その年齢でまた戻ってくるのも一部でしょう。あと早くても2,3年寝かせて、親子で“ムシキング世代”になる頃に復活させたほうがよかったのではないでしょうか」

復活を喜んでいるかつてのムシキング世代も少なくなさそうだが、なぜ今回再びプレイするのは無理なのか…。

「通常、大人のハマるカードゲームは頭を使うものです。子供向けに販売されたはずの『遊☆戯☆王』でも、プレイヤーの全体数が減少したので、少なくはなりましたが今でもプレイしている大人はいます。一方、ムシキングはあくまで『じゃんけん』ゲームですから中学生以上が楽しむには難しいですよ」(A氏)

そこで、「流行らなかったら当時の俺たちが否定されてるみたいでイヤだ(笑)」(19歳・フリーター)という嘆きも聞こえるが、さらに致命的な点があるとA氏は続ける。

復活すれば大人のお小遣い稼ぎになる?

「あ~今もあるんだ!」と新ムシキングで遊ぶ旧ムシキングプレイヤーの姿も

「ゲームのカード読み取りシステムが変わってしまい、昔のカードが使えなくなってしまったことですね。その他にもいろいろな点で変わってしまってますが、懐かしがってやろうとしても、手持ちのカードが使えないのはきっかけを失ってしまうことになります」

そういうA氏だが、今回の新ムシキングに注目している面もあるとか。A氏は現在30代半ばで、高校生時代に『Magic: The Gathering(マジック:ザ・ギャザリング)』にハマり、それから『アクエリアンエイジ』や『GUNDAM WAR(ガンダムウォー)』など多くのカードゲームをプレイ。さらに個人で通販まで行なっていた人物だ。

「地域にもよりますが、旧ムシキングでは5千円を超えるものから1万円を超えるカードがゴロゴロ出ていました。しかもプレイ料金は100円とコストパフォーマンスが良かったんですよ。それで、プレイではなくカード回収目的でムシキングをやる“掘り師”が湧いていました。お小遣い稼ぎの投資みたいなものですね。今回は印刷システムなのでさらに100円かかりますが、大人にとっては大した額ではないですよね」

また、時代が変わったことも大きいという。

「昔はカードゲームにお金をかけるなんて、親世代からは信じられなかったですからね。でも、今の30代のほとんどは『遊☆戯☆王』や『ポケモンカードゲーム』を経験しているので、そのハードルは低い。それにカードショップが周りになくても、通販やオークションなどネット購入が当たり前。素人の参入も簡単ですが、薄利多売でもサイクルが早いので元が取れますからね」

そんなメリットもありつつ、かつてのプレイヤーにとっては嬉しい今回の復活。危惧を一蹴し、再び一世風靡できるのだろうか。

「う~ん、正直わかりません。ただ、この年齢層向けのカードゲームは今はほぼ空いていますから、他より可能性はあるかなと思います。それから、旧ムシキングの成功要因はメディアミックスはもちろんですが、イベントを数多くやっていたことだと思います。僕はその流れが始まったら仕入れを始めるつもりです。それでコケたらセガさんにとっては、大赤字でしょうからね(笑)」

先日、紹介した映画『アリのままでいたい』や連載中の漫画『昆虫サマのおかげで食べてます』などがズラリ揃(そろ)う、この夏。昆虫コンテンツは子供たちにも届くのか!? 旧プレイヤーのためにもぜひ流行ってもらいたいぞ!

(取材・文・撮影/週プレNEWS編集部)