今年も炎天下の下、8月1日(土)、2日(日)の2日間、東京・お台場で行なわれた、東京アイドルフェスティバル2015(以下、TIF)。
今年でなんと6回目を数えた「アイドル界の大甲子園」。参加グループはついに過去最多の154組!
9のステージで同時多発にライブが行なわれた、この国内最大のアイドルフェスが今年もアツいパフォーマンスでお台場を燃え上がらせた!
恒例となった週プレNEWSの「TIFレポ」では、3回にわたり激しく輝いていたアイドルたちを写真とともに紹介。まずは1日目、8月1日からスタートだ!
【8/1】
●Cheeky Parade(SMILE GARDEN) 2年ぶりの出演となるチキパがオープニングアクトで登場。1曲目は『Cheeky Dreamer』から。「朝からチキパ、ぶっ飛ばして行くぜ~!」と叫び、TIFのステートを一気に燃え上がらせる。最新シングルとなる『M.O.N.ST@R』では、指を高く掲げ「チキパがNo.1!」をファンと一緒に絶叫。
最近は彼女たちが所属するアイドルプロジェクト『iDOL Street』の後輩であるGEMの勢いもすさまじいが、「まだまだ負けられない!」という彼女たちの気合いがビンビンに届いた。最高のTIF2015の始まり見事に宣言したのだった。
●でんぱ組.inc(HOT STAGE) 今年の屋外メインステージとなるHOT STAGEのトップバッターは、今や日本を代表するアイドルグループのひとつとなったでんぱ組.inc。『でんぱな世界 ~It’s a dempa world~』の壮大な音楽と観客の拍手に迎えられ、でんぱ組.incがステージに登場。
『でんぱれーどJAPAN』から始まり『バリ三共和国』『FutureDiver』『でんでんぱっしょん』『おつかれサマー』と全てシングル曲。様々なアイドルファンが集まるTIFという場所ならではのセットリスト。多くのアイドルファンも「さすが、でんぱ組だな!」と思ったことだろう。
朝10時半とはいえ、気温は既に30度超え。激しい曲の連続に滝のように汗を流すメンバー。それに応えて全力のヲタ芸を繰り出す観客。まさに“ホットステージ”! 後ろのスクリーンも曲に合わせた映像演出が凝っていて、まるでテーマパークにいるような楽しい空間がそこにあった。
でんぱ組.incは2日目の屋内メインステージであるHEAT GARAGE(Zepp DiverCity)でも素晴らしいステージを魅せ、見事なトリを務めた。
●SKE48(HEAT GARAGE) TIFは3年ぶり、2回目の出演となるが、松井珠理奈、松井玲奈の両エースそろいぶみは初。8月末で卒業する松井玲奈を見られる数少ないステージとして、SKE48ファンも多数集まっていた。
1曲目はダンスがウリのSKEを見せつけるように『Escape』からスタート。前回の課題だったMCもテンポよく、“自称”ツッコミキャラの大矢真那が松村香織を『怪獣』、須田亜香里を『顔がにぎやか』などバッサリ紹介し、会場の笑いを誘う。
『前のめり』、『パレオはエメラルド』、『オキドキ』の流れは抜群。曲のイントロが流れるたびに「おぉ~~!!」と、怒号にも似た歓声が上がる。今回のステージは過去と比べても、とにかく“外”を向いていた。
最後の『アイシテラブル』では、サイン入りボールを投げたりと「TIFというアイドルファンが集まる場所で新しいファンを連れて帰ろう」という意思を感じさせてくれた。来年はぜひ屋外ステージでも見てみたい。
●GALETTe(FESTIVAL STAGE) 今年から活動の拠点を九州から東京へ移して再スタート。炎天下のフェスティバルステージで『She is wannnabe!』からスタートして『air summer』、『じゃじゃ馬と呼ばないで』の3曲を熱唱! パワフルなステージを見せてくれた3人だが、次回のワンマンライブでふたりの新メンバーが加入するとのこと。はからずも3人編成のパフォーマンスが見られた貴重な機会だった。
ちなみに、古森結衣はHKT48の元メンバー。HKTのステージを観に行っていたらしく、終了後はメンバーと交流。指原莉乃と写真を撮ったとか…。いい話!
サンミニ、おやゆびプリンセスなどが登場!
●サンミニ(FESTIVAL STAGE) “サンミニッツ”に新メンバー、喜多陽子が加入しパワーアップ。名前も“サンミニ”に変更。“サンミニ”としては初めて参加するTIFとなった。
まずは『Kiss Emotion』から『Bounce!!』をファンも一緒になってヘドバン。そしてデビューシングルでもある『パノラマワールド』でさらに盛り上がり、『Make a Fire』で終了。真夏の太陽もなんのその、アツいステージとなった。
事前の本誌インタビューで、メンバーの久松かおりが「お客さんと一緒に盛り上がりたい!」と言っていたが、その言葉通り、“サンミニ”のステージは、以前の“サンミニッツ”よりも“客との一体感”があきらかに増していたぞ!
●おやゆびプリンセス(FESTIVAL STAGE) 北陸新幹線が開通し、注目を集める石川県からやってきた“おやプリ”は、昨年に引き続き2回目の登場。今年は特別にソロでも活躍する空野青空と、この日から芸能活動を再開した川北麗美が加わった14人でのステージとなった。
そして、なんといっても驚いたのは舞台衣装。なんと、えんじ色のジャージ! 「最初は、そんなバカな!」と思ったものの、見続けているとそれが逆にローカルアイドルのイメージにマッチして可愛い! インパクトと爪痕はしっかりと残していた。
●吉川友(DOLL FACTORY)
金色に輝くヒョウ柄の衣装に美を包み、登場した“きっか”こと吉川友は『URAHARAテンプテーション』からスタート。続く『あまいメロディー』で、会場は一気に盛り上がる。突き上げる拳。黄金の衣装が揺れる、跳ねる。
「ワイルドな衣装で決めてみました。今日は、皆さんの心に“傷跡”(吉川友は、爪痕と言わず、なぜか傷跡と言う)を残していきたいと思います!」
連続の手拍子から「P、P、P、H」(パン!パパン!と手拍子を打った後に「ヒュー!」と声を出す、アイドルファン特有の応援)、歌いながら「もっと(声援)ほしいな!」「腕を回して~!二の腕プルプルダイエットいきますよ~」とアオるアオる。さすが、ライブ慣れしまくりの吉川友。豪腕で“きっかワールド”を作り出していた。
また、この後にSMILE GARDENで行なわれた「IDOL SOMMER JAMBOREE ACOUSTIC」では、アイドリング!!!の横山ルリカと、モーニング娘。の名曲『真夏の光線』を披露、翌日のHEAT GARAGEでは17分25秒もある大作『花』を熱唱するなど、大きな“傷跡”を残していた。
●篠崎愛(DOLL FACTORY)
2014年のTIFには、昨年の9月に“無期限の活動休止”となったAeLL.での出場。今年はひとりのシンガー、篠崎愛として参加した。
AeLL.で彼女が表現していたこととは、まったく違っていた。AeLL.から篠崎愛へと進むセカンドステージは、ぐっとオトナっぽいムードをかもし出していた。
篠崎愛としてのファーストシングル『A‐G‐A‐I‐N』で、会場に掛け声を強要するその“S”っぽいステージング。『Rainy blue』のムーディーさ。その圧倒的な歌唱力により、まるで夜のリゾートホテルのプールサイドに連れて来られたような気がした。
真夏のTIFで一瞬のリゾート気分。AeLL.が好きだったファンも、はじめましてのアイドルファンも、みんな心地良い“風”を感じたのではないだろうか。いつの間にか、なんとも“イイオンナ”になっていた。
しかし、「みんなオナカ空いてない? 私、ポテチしか食べてないよ~。ヤセちゃうよ~」と、可愛らしく憎めない“愛ちゃん節”いっぱいのMCは健在だった。
TPD、アップアップガールズ(仮)などが登場!
●東京パフォーマンスドール(HOT STAGE) 昨年のTIFで、その圧倒的な迫力のダンスパフォーマンスで多くのファンの心を鷲掴んだ“TPD”こと東京パフォーマンスドール。今年は堂々のHOT STAGEに登場である。
白い衣装に身を包み現れた9人は『WAKE ME UP!!』からスタート。暑さをたたき落とすように拳を回す。笑顔で歌う。白く輝く太陽が彼女たちの顔に、身体に乱反射する。橘二葉(たちばなふたば)のありえないダンスのキレ。そして、どんなに踊っても美しさによどみのない上西星来(せいら)の存在感。その美しさは、まるで“春の女神”のようだった。春の女神が夏に降臨。そのハッピー感に心、奪われる。
30分の持ち時間中、一瞬も手を抜かずに踊り続ける。さすがTPD。彼女たちの「ノンストップパフォーマンス」である“ダンスサミット”は今日も健在だ。
特に『BRAND NEW STORY』から『DREAMIN’』、『WEEKEND PARADISE』という鉄板のラスト3曲は安定感抜群! 初めてTPDを観る客もいただろうが、会場のムードは完全に“白一色”に染まっていた。
●アップアップガールズ(仮)(HOT STAGE) TPDの後に登場した“アプガ”。お台場の太陽はさらに暑さを増している。TPDと同じく全力で歌い、踊るアプガはどんなパフォーマンスを見せてくれるのか? 注目が集まる。
まずは『美女の野獣』からスタート。続いて『全力!Pump Up!!』へ。力こぶし全開で歌う。「いくぞぉぉ!」と、佐藤綾乃がアオる。「ウチら、本当にいちばん気合い入ってるんで! 本当に絶対に負けないんで!」
そう叫ぶ佐藤の言葉通り、ここから怒涛の三連チャンを魅せた。口がこんがらがるほどに早口に歌い抜ける新曲『アッパーレー』。もちろん早口なだけじゃない、ありえないほどに激しく踊る。「よく、あれだけ早口で歌いながら踊れるな!」と思わずつぶやいてしまう。
続いて、メンバー全員が「この曲を歌ったら次の曲は最強に辛い!」という『ジャンパー』。「もっと飛べー!」と笑顔で叫ぶメンバーたち。真夏の『ジャンパー』という、とんでもない展開からラストは、アプガ最強のキラーソング『チョッパー☆チョッパー』へ! 佐保明梨が36倍速くらいの早さで胸を突き上げて踊る。悲鳴にも近い歓声が会場にこだまする。体力を根こそぎ引っこ抜く3曲を笑顔を絶やさずに歌う7人。飛ぶ! 踊る! アオる! もうやめて! 死んじゃうよ!
『チョッパー☆チョッパー』が終わった途端、「アプガ、やべえ!」と叫ぶ客の声。しかし次の瞬間、なんとアプガ初期に「もっともエグい」と言われた『アッパーカット』のイントロが流れた。…三連チャンじゃなかった、四連チャンだった! アプガTシャツを着たファンですら「マジかよ……」と苦笑している。結局、真夏の屋外で信じられないセットリストをやり切ったアプガは大拍手の中、HOT STAGEからハケていった。
…しかし、一番驚いたのは、その後。ノータイムで今度は「チーム・負けん気」で登場。まったく疲れを見せずにステージを務めていた。(※チーム・負けん気→アプガ、吉川友、チャオ ベッラ チンクエッティ[元THE ポッシボー]の3組で結成したユニット)
……もう笑うしかなかった。
●プールイパラレルJAPAN(SMILE GARDEN) 元BiSのプールイと、パラレルJAPANのコラボユニットがSMILE GARDENに登場。まずパラレルJAPANのメンバーが舞台に現れて「BiSH(BiSのプロデューサー、渡辺淳之介氏が作ったBiSの後釜グループ)のアイナ(アイナ・ジ・エンド)がいたところだぞー!」と説明的な声を上げ、持ち歌『Look at me!!』を激しく歌い上げる。
そしてプールイが登場、現在活動しているLUI FRONTiC 赤羽JAPANの曲『リプミー』を披露。次にもう一度『リプミー』。今度はパラレルJAPANとWボーカル。…そしてその後、事件は起こった。
イントロが流れた瞬間のどよめき。「盛り上がるためならやってやんよ!」とプールイが叫ぶ。解散して、これまで決してプールイが歌うことのなかったBiSの名曲『nerve』が始まったのだ! このサプライズに、曲が聴こえる範囲にいた大勢のアイドルファンが、まるで何かを受信したかのようにSMILE GARDENに全力で駆け寄ってきた。
半分ほどだった有料エリアは瞬く間に満杯に。土埃が舞うのも構わず、『nerve』のサビで行なわれるエビ反りをするアイドルファンたち。SMILE GARDENは熱狂の渦に包まれた。
やはり、プールイが歌う『nerve』は特別でホンモノなのだ。
●POP(SKY STAGE) POPのリーダーのカミヤサキは、2013年はBiS、2014年はプラニメ、そして今年はPOPのメンバーとしてTIFに出演。プラニメから引き継いだ『Plastic 2 Mercy』は、昨年のTIFで初披露した超盛り上がり曲。SMILE GARDENの中心でカミヤサキがリフトされたのが思い出される。
基本、今年はジャンプ禁止なため、事前にアナウンスで注意が流され、観客もジャンプを抑えつつ最大限に盛り上がる。今回からこの曲の振付に『nerve』を彷彿(ほうふつ)させるエビ反りが加わった。これがBiSの遺伝子というものなのだろうか。
POPが歌う『Plastic 2 Mercy』は、プラニメのスパルタンなイメージとは違い、格好良さと楽しい雰囲気が伝わってきた。それは、プラニメからPOPに変わる際、新しく加入したフレッシュな4人のメンバーによるものもあるのだろう。
その後、新曲の『pretty pretty good』を披露。ダンサブルで非常に格好良い曲調。「ちびりそう」という歌詞が印象的だった。そして、最後にもう一度『Plastic 2 Mercy』で締め。
SKY STAGEでは若干リフトなどあったものの特に問題は感じなかったが、その後に登場したFESTIVAL STAGEでは演者、観客ともに盛り上がりすぎてしまったようで…二日目の出演は取り止めという結果に。残念。
妄想キャリブレーション、寺嶋由芙などが登場!
●妄想キャリブレーション(SKY STAGE) この時、時間は17時半。最も美しい時間帯とも言われる夕暮れ時のSKY STAGEに登場したのが“妄キャリ”こと妄想キャリブレーションだ。 ダンサブルな『何故なら私、妄想少女ですの』から始まり、最初から会場はノリノリ状態に。
その後は新曲『夢みる乙女は無敵でしょ!?』そして『悲しみキャリブレーション』へと続く。スピード感あふれるパフォーマンスは夕暮れのSKY STAGEに美しく輝く。一見、“病んでる”ように見える彼女たちだが(失礼!)双葉苗を始めとしたメンバーは非常にダンスの技術が高い。その姿に、しばし目を奪われてしまう。
ちなみに、アキバ仕込みの“ヲタ芸”全開で応援する妄キャリのファン“妄想族”は「アイドルファンの中で、最強の練度を誇る」と評価されている。思わず妄想族の応援に気を取られ、時折、妄キャリのステージを観るのを忘れてしまうことも。これは正直、困りモノだ(笑)。
●寺嶋由芙(SKY STAGE)
妄想キャリブレーションに続き、夕暮れ時のSKY STAGEに登場したのは、ゆるきゃら「ポムポムプリン」を彷彿とさせる黄色の可愛らしい衣装の寺嶋由芙。
『好きがこぼれる』、『好きがはじまる』、『80デニールの恋』、『だいすき』、『#ゆーふらいと』。これら全てをショートバージョンにして歌い上げる。できるだけ多くの曲を届けようという思いが伝わるセットリストだ。
ラストの『#ゆーふらいと』は、元BiSである彼女が脱退後の再デビューを賭けたファンにとっても大事な曲。そんな思い出深い曲を夕暮れのスカイステージという素晴らしい場所で歌う彼女。その姿に心を揺さぶられたファンは多かっただろう。
「古き良き時代から来ました真面目なアイドルー! 真面目にアイドルー!」という自己紹介の通り、80年台を思わせるソロアイドルの雰囲気を醸し出していた。
●わーすた(マイナビ ステージ) SUPER☆GiRLS、Cheeky Parade、GEM…。エイベックスのアイドルプロジェクト『iDOL Street』4番目のグループとして結成された彼女たち。それぞれ色分けされた5人組で「世界に“KAWAIIジャパン”アイドルカルチャーを届ける」というコンセプトだ。
そのコンセプト通り、「アンナミラーズのような可愛らしい衣装にネコミミ」という、これ以上ないくらいに“KAWAII記号”を身につける彼女たち。
その“KAWAII”を体現するキメ曲に『いぬねこ。青春真っ盛り』という、タイトルを聞いただけで想像ができてしまう曲があるのだが、このマイナビステージでは、そういった可愛らしい盛り上りソングはあえて封印。『ZiliZili Love』、『ちいさな ちいさな』、『DokiDoki today』という、しっかりとした曲で攻める。
それにしてもメンバーのレベルが高い。特にピンク色、三品瑠香のブレーキをかけず、ハンドルさばきだけでゆらゆらと走るような歌唱が心地良い。少女感の強い声がマイナビステージに響きわたった。
さらに、可愛らしいビジュアルに気をとられて忘れがちだが、彼女たちはCheeky ParadeやGEMの後輩であるiDOL Street。ダンスもめちゃくちゃうまい。要所要所でその“基本のできている上手さ”に感心させられた。これからが楽しみなグループである。
●吉田凛音(マイナビ ステージ)
「北の橋本環奈」と呼ばれた少女が、大きな力を付けて、再びTIFへやってきた。
「子供とは思えない抜群の歌唱力!」と話題になっていた彼女だが、1年間、多くのステージを踏み、メジャーデビューも果たした経験がしっかりと現れていた。メジャーデビュー曲『恋のサンクチュアリ!』からスタート。その少女とは思えない、しっかりとした伸びやかな声が夕暮れのお台場の空へと響きわたる。観客が「あ~~~!!」と、レスポンスを返す。
思わず、フジテレビへと向かう人々が足を止める(マイナビステージは、フジテレビ前に設置されている)。「あのコ、上手い。すごいね」という声もチラホラと聞こえてくる。続く『真夏のBeeeeeeaM』でさらに人が止まる。
「タオルを持ってる人は回してくださーい。(後ろにいるバックダンサーを見て)ダンサーはきっと頭も振ってくれると信じてます。…苦笑いだよ?」
そんな“悪ガキ暴走少女”っぷりが垣間見えるMCの後、「みんなー、最後まで盛り上がるのじゃー!」と叫んだ。
ラストは『ポジティビティ』。暴走少女がピョンピョン飛び跳ねながら歌う。舌をぺろっと出す。声が伸びる伸びる。暗くなる空を突き抜けていく。「今、吉田凛音は才能とキャラが有り余っている!」ーーそんな印象のステージだった。
ゆるめるモ!、PASSPO☆などが登場!
●ゆるめるモ!(HEAT GARAGE) 昨年は惜しくもTIF出場が果たせず「なぜ?」という声も多かった、ゆるめるモ!が今年は見事出場。屋内のメインステージであるHEAT GARAGEに現れた。
「みんなのハートをゆるめにきました! 私たち、ゆるめる、モ~!」という自己紹介の通り、ゆるめるモ!という名前には「窮屈な世の中をゆるめたい」というメッセージと「You’ll melt more!(あなたをもっとトロけさせたい)」というふたつの意味合いがある。
曲の歌詞の奥深さもゆるめるモ!の人気のひとつだ。登場曲から代表曲『逃げろ!!』、そして『スキヤキ』を披露。ゆるめるモ!ワールドを炸裂させる。
定番の盛り上がり曲『なつおんぶるー』では、彼女たちお馴染みのダイブこそなかったものの、ギリギリのところまで客席に近寄るメンバーの攻めの姿勢を見せる。観客は「くるぞ!」「来い!」といわんばかりに手を差し伸べて盛り上がった。
全体的に多少の力みを感じたものの、現在2名が活動休止中につき4名で挑んだ気合いの表れだったのかもしれない。
ちなみに、ゆるめるモ!は12月20日にHEAT GARAGEの会場であるZepp DiverCityにてワンマンライブが決定している。
●PASSPO☆(HOT STAGE) 今回で6回目を迎えるTIFに、一回目から参加している数少ないグループとなった彼女たち。そして共に歩み、ホスト役でもあったアイドリング!!!が秋に全員卒業となること。また、メンバーの卒業により7人体制となった自分たちの現状。それらのネガティブに思われがちな状況を払拭(ふっしょく)しようと、かなりの気合いの入ったステージとなった。
まず、彼女たちの大切なメジャーデビュー曲『少女飛行』からスタート。そして、PASSPO☆の初期を支えた最強の“泣き”ソング『Pretty Lie』を投入。
「あの頃、あのパートを歌っていたあのコはもういない」ーーそう感じたファンもいたことだろう。この2曲を歌っていた時、彼女たちは10人体制だったのだから。確かに、前を向き歌っている姿は「どうってことない」と強がっているように見える。彼女たちのカワイイ嘘なのかもしれない。そう思っていた。
しかし、そこから『HONEY DISH』、『くちゃLOVE』とハッピーかつ可愛らしいロックソングが続く。メンバーカラー赤の安斉奈緒美のとびっきりの笑顔がこぼれまくる。黄色の森詩織がこれでもかというほどに笑い、歌う。とめどなく飛び出すロックンガールなおもちゃたち。そして『マテリアルガール』で最高潮に達したまま、TIFが始まった時に歌っていた『Let it go!!』へ。
「昔からいるアイドルグループの元気がなくなってきた」と言う者たちもいる。彼女たちはそんな声を受け止めた上で、今の自分たちの気持ち見せてくれた。そんな“魂”と“気持ち”のこもったステージだった。
●せのしすたぁ(ENJOY STADIUM) 「福井県のご当地アイドル」いうイメージのまま見たら、いろんな意味で衝撃を受ける。それが、せのしすたぁである。
3名のメンバーで、歌うのは“みか”と“ゆーたん”の2名。残るひとり“まお”は“アオり担当”。歌っている時間の方が圧倒的に短い。ほぼマイクで叫んでいる。そのアオりが盛り上がり、時としてステージから降り、客の中で歌うというパフォーマンスが話題となっているのだ。
ENJOY STADIUMの前に行なったマイナビステージでのパフォーマンスは、かなり激しいものだったため「めちゃくちゃ怒られました」と、TIFのスタッフからお叱りを受けたそう。「すいませんでした」「おとなしくします」…お詫びから始まったライブだった。
しかし、このENJOY STADIUMでは『アイドルなんてなっちゃダメ!ゼッタイ!』、『~ワタシアイドル~』、『ラストチューン』という、せのしすたぁの楽曲の中でも「盛り上がるしかない!」というセットリスト。場内はヒートアップ。
ジャンプが制限されているため、ジャンプしようとする客に「飛ぶなー!」と叫ぶ。あまり動かない客に「お前休むなー!」と客に突っ込みまくる。
さらに、「曲なんか知らなくてもいい!オレについてこい!」と叫ぶと、コールのタイミングをしっかり扇動。初見の者でも盛り上がれるライブを作り上げていた。
初登場にしてTIFに爪痕をしっかり残していた。それが、せのしすたぁである。
●BiSH(ENJOY STADIUM) 伝説のお騒がせアイドグループ「BiS」(2014年7月に解散)の後継者的アイドルグループBiSHがTIFに初登場。ちなみに、BiSHとは“新生クソアイドル”(Brand-new idol SHiT)という意味である。
BiSと同様、観客の応援がかなり荒っぽくなることで有名だ。それを防ぐためだろうか、1曲目『スパーク』、2曲目『BiSH-星が瞬く夜に-』を、なんと演奏なしのアカペラで披露。さすがの清掃員(BiSHファン)もそれでは激しく動くこともできずコールで応援。そして、次の曲の前にメンバーのハグ・ミィが呼びかけた。
「清掃員だって上品なことができることを見せましょう!」
しかし、次の曲『BiSH-星が瞬く夜に-』のイントロが始まるとそこまで我慢していたのか観客は一気にヒートアップ。いつも通りのリフト、サーフ、モッシュが繰り広げられる激しい応援になってしまった。
その結果を受けてか、POPの二日目出演中止の発表の後、立て続けにBiSHも二日目の出場辞退を表明。残念な結果になってしまった。
しかし、まさかの「アカペラで2曲」という、おそらくTIF史上、誰もやっていなかったインパクトだけは、しっかりと残していった。
●明日は2日目の様子をリポートする【後編】を配信予定!
(取材・文/TIF大好き取材班、撮影/武田敏将・関根弘康・アオキユウ)