今年も炎天下の下、8月1日(土)、2日(日)の2日間、東京・お台場で行なわれた、東京アイドルフェスティバル2015(以下、TIF)。
今年でなんと6回目を数えた「アイドル界の大甲子園」。参加グループはついに過去最多の154組! 恒例となった週プレNEWSの「TIFレポ」では、3回にわたり激しく輝いていたアイドルたちを写真とともに紹介。
前編に引き続き、今回は8月2日の様子をお届けする。汗と涙いっぱいに輝くアイドルたちの夏。その目にしっかりと焼き付けてくれ!
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【8/2】
●こぶしファクトリー(SMILE GARDEN) オープニングは、アイドル王国「ハロー! プロジェクト」からの刺客、こぶしファクトリーが飾った。今年1月に結成された彼女たちは、ハロプロ研修生出身。多くのアイドルファンが話題の彼女たちを観に集まった。
1曲目は、7月まで放送されていたドラマ『ラーメン大好き小泉さん』の主題歌にもなった『ラーメン大好き小泉さんの唄』。伸びやかな少女声が、雲ひとつない真っ青な空を進んでいく。ラーメンを食べる振り、コミカル&シャウト! 笑顔がぼろんぼろんとこぼれる。
続いて2曲目は、なんと3月に無期限活動停止となったBerryz工房の『ピリリと行こう!』。イントロがかかった瞬間に観客が驚きの声をあげる。まるで、「私たちは、ハロプロの魂を継承する!」と、大きく宣言しているようだった。
そして3曲目の『ドスコイ!ケンキョにダイタン』に続くのは、ハロプロ研修生時代の曲『Crying』。5曲目には代表曲でもある『念には念』で締め。野村みな美の、突破力のある声がSMILE GARDENを圧倒していく。浜浦彩乃の長い手足からくり出されるダンスに目を奪われる。
ハロプロ研修生が持つ、「元気に!」「正確に」「前のめりに!」という、ハロプロ魂を体現するようなステージだった。こうして、TIF2日目は爽やか、かつアツく幕を開けたのだった。
●マジカル☆どりーみん(SMILE GARDEN) SMILE GARDENに登場したのは「Dorothy Little Happy」のMARI、MIMORI(現callme)、「GEM」の村上来渚(らな)、南口奈々(みなみぐち なな)、「X21」の長尾真実、籠谷さくらの6名で構成された「マジカル☆どりーみん」だ。人気アニメ「ジュエルペット マジカルチェンジ」のオープニングテーマ『マジカル☆チェンジ 』の為に結成された選抜メンバーは、まさにドリームチーム。誰を見ようか目移りしてしまう。
曲、衣装、振付と、すべてがポップで爽やかなステージは、気温30度を越えた屋外ステージにマジカルな清涼感をもたらした。
そして、何よりマジカルに感じたのは、7月12日にドロシーを卒業したばかりの美杜と現ドロシー麻里(赤眼鏡かわいい)が同じステージでアイコンタクトを交わしつつ歌い踊る光景だった。真夏に起きた一瞬のマジカル。心の奥にそっとしまった。
●HKT48(HOT STAGE) 一昨年の初参加以来、毎年注目を集めているHKT48。今年はTIF史上、最高動員数を記録。HOT STAGEの観客席はるか後方までファンで埋めつくされた。
オープニングは『桜みんなで食べた』。この曲は不思議な曲だ。家でひとり聞くとせつないが、屋外でみんなで聞くと最高に盛り上がる。途中でNMB48の『イビサガール』を披露。「自分のグループの曲にこだわらず、良い曲は歌う」という、支配人・指原莉乃のチョイスが光る。MCでは11歳、最強妹系ドラフト生今村麻莉亜(まりあ)を使い、指原が言うところの“ロリコンお兄ちゃん”を一網打尽にした。
毎回、サプライズを仕掛けてくる指原莉乃、今回はどんな驚きを見せてくれるのか? そう思っていたら…やってくれました。なんと伝説のロックバンドBOΦWYの名曲『ONLY YOU』をブチかます。HKT48のツアー最終日、横浜アリーナで大好評だったこの曲をTIFでも見せたのだ。ツアーで得たものをTIFでぶつけてくるのは、指原莉乃の真骨頂。多くのTIFのファンもさぞや驚いたことだろう。
そして、さらに驚いたのは、TIFではまさかのアンコール(もしかしたら、初かもしれない)。『12秒』、『メロンジュース』とたたみかけ40分のステージを駆け抜けた。今年も、その“横綱相撲”っぷりを見せつけた。
●lyrical school(HOT STAGE) HKT48の大盛り上がりの後に登場したのは、今回が初のHOT STAGEとなる“アイドルラップ”な6人組、“リリスク”こと、lyrical schoolだ。
事前のインタビューでは、メンバーのhinaが「100%以上のパワーを出す!」と言っていた、このステージ。1曲目はアップテンポな『リボンをきゅっと』から。メンバー全員の「楽しもう!」という気持ちがダイレクトに伝わってくる。みんな笑顔だ。
会場にも笑顔が広がる。歌い出し30秒ほどでHKT48が盛り上げた空気をうまくリリスクの世界へとチェンジする。2曲目の『PARADE』の、ひとりずつのラップに観客が反応して、どんどん盛り上がっていく。続く『プチャヘンザ!』、『photograph』では、やさしい風に囲まれて左右に手を振る。夏の暑さを叩き付けるようなビートが心地良い。メンバー、meyの笑顔を見ていたら、その笑顔があまりにも嬉しそうで、なぜだか涙が出そうになった。
こんなにも「リリスク」と「夏」の親和性が高いとは思わなかった。1曲1曲、進めば進むほどワクワク感に加速度がかかってくる。楽しみ、ハッチャけながらもメンバー6人の優しい性格からなのか丁寧なステージ。リリスクの世界観に包まれていく。
そして、キラーソング『FRESH!!!』を投入。夏のHOT STAGEで『FRESH!!!』がやれる…メンバーにとっても、ヘッズ(リリスクのファンの意)も夢にまでみたステージだったろう。そしてラストは新曲『ワンダーグラウンド』で締め。このステージを目撃したファンは「夏にリリスクあり!」と思ったはず。それくらい素晴らしいパフォーマンスだった。
STEREO JAPAN、Especiaなどが登場!
●STEREO JAPAN(SKY STAGE) 正午近く、日差しを浴びたSKY STAGEに響く本格的なクラブ系EDMサウンド。そこに登場したのは「STEREO TOKYO」と「STEREO OSAKA」の東西で活動する2組が融合したグループ「STEREO JAPAN」だ!
『Sidechain Love』から『Electron』へーー。ゴリゴリのEDMサウンドに乗せて可愛い少女たちが「パーティーピーポー!」と叫び、踊り歌えば、観客も同様に踊り盛り上がる。その一体感は“楽しさ”しかなかった。 特に、クラブサウンドとは程遠いイメージの“二次元的ルックス”を持つ西園寺未彩(みさ)の可愛さに目を奪われた。
ラストの『Anthem』では「オーオ!オーオーオーオーオー!」という掛け声と共に大きな日の丸国旗が掲げられる。さらにバックダンサーとしてサンバ衣装の“乗っかり系アイドル”おっPサンバ(シークレットゲストだった)が登場! まるでそこは、日本vsブラジルのサッカースタジアム! そんな最高の盛り上がりを見せた。
●Especia(SKY STAGE) Especiaは、大阪・堀江を拠点に活動するグループだ。清涼感あふれる彼女たちは、心地良い風が吹くSKY STAGEに最も似合っていると言っても過言ではない。
しかし、SKY STAGEでは、その爽やかなルックスからは想像できないような特殊なパフォーマンスを展開する。新曲『Boogie Aroma』のラストサビを延々リピートし、なんと15分間の持ち時間いっぱい、ノンストップで繰り返したのだ!
同じフレーズを合計72回(!)も歌い続ける間、観客にも「一緒に歌って!」「もっと手を振って!」と笑顔で求め続ける。そんなムチャクチャな要求も、応えてみると意外と楽しい! 終盤には屋上全体が一体感に包まれた。満面の笑みの向こう側に度胸の強さが見え隠れしたステージだった。
●Dorothy Little Happy(HOT STAGE)
今年の7月12日。メンバー5人中3人が卒業。ふたり体制となってリスタートした彼女たち。HOT STAGEにはバックダンサーを3人従えて登場した。
まず、2011年に彼女たちの知名度を急上昇させた代表曲『デモサヨナラ』を歌い、今年もTIFに「オレモー!」コールを響かせた。そして、『ジャンプ!』、『ストーリー』、『諦めないで』、『恋は走り出した』といった、彼女たちらしい切ない王道アイドルナンバーをガンガン投入。
汗と白い衣装がキラキラと輝かせながら、今までと変わらない華やかなパフォーマンスを見せてくれた。集まった大勢の観客も心をひとつにして新生ドロシーに声援を送る。体制が変わったとしても彼女たちの愛され方は変わらない。それを証明したステージだった。
●つりビット(HEAT GARAGE) 屋内のメインステージであるHEAT GARAGE。そこに現れたのは、ギラギラと輝くゴールドの衣装に身を包んだ5人組、“つりビット”だ。
まずは最新シングル『つり銭はいらねぇぜ』から。キレのあるダンスをガンガンに踊る。衣装のゴールドがギラッギラと輝く。サビで大きく空を蹴り上げる5人。屋内なのに照りつける5つの太陽が客を圧倒する。続く『Go!Go!!Fishin』では、センターに立った安藤咲桜(さくら)の可愛らしい笑顔に惹き付けられた。愛らしいダンスが“楽しさ”を生み出す。「釣り」をテーマにした歌詞により、こちらもどんどん釣られていく。
そして最後は、『真夏の天体観測』。真夏の爽やかな青春ソング。「遠くの花火」、「校舎」、「グラウンド」、「流れ星」。キラキラと輝く言葉たちが、彼女たちの口から出るたびに胸がきゅうんと締め付けられる。元気に舞う金色の衣装が、まるで遠くの花火のように輝いていた。
武藤彩未、callmeなどが登場!
●武藤彩未(あやみ)(HOT STAGE) さくら学院から2012年に卒業し、歌手として活躍中の武藤彩未がソロとしては初めてTIFにやってきた。80年代のアイドルに傾倒し、尊敬する歌手は松田聖子。そんな“アイドル界の正統継承者”を目指す彼女が一体、どんなステージを見せてくれるのだろうか。
1曲目は、『宙』からーー。オープニングのたおやか、かつ力強いビートがHOT STAGEを包む。彼女が歌いだした瞬間…まるで、広がる波紋のように“涼しい”何かが会場中に広がっていった。
その堂々とした目線。手の動き。表情…この圧倒的な空気を「オーラ」と呼んでしまうのはたやすい。しかし、そんな言葉で片付けるには力があり過ぎる。彼女がソロデビューから3年間で身につけたスキルと心。それが作り出した空間だった。
続く『交信曲第1番変ロ長調』では、打って変わってバリッバリに踊る。汗が舞う。美しい。「行進!行進!」「ダンスィン!ダンスィン!」と拳をあげるファンとのレスポンスも異常なほどに盛り上がる。メインステージであるHOT STAGEが正直、広く感じなかった。そこまでステージを走り回るわけではない。しかし、彼女のパワーでステージ上はぎゅうぎゅうに埋まっていたのだ。
透き通っているのに、力強い声。そこには、アイドルが立っていた。気がつくと、勝手に握りこぶしを振り上げている自分がいた。
以前、彼女は、ある雑誌のインタビューで「80年代には、アイドルの全てがある」と語った。武藤彩未は、今、日本で“正統なアイドルソング”を歌える数少ない存在だと確信した。そんなステージだった。
●callme(ENJOY STADIUM) 先日7月12日にDorothy Little Happyを卒業した3名、早坂香美(こうみ)、秋元瑠海(るうな)、富永美杜(みもり)で構成されたグループ「callme」が午後のENJOY STADIUMに登場。TIFで1日目に初披露した新曲『Step by Step』はフェスにふさわしい盛り上がり曲。昨日、初披露したばかりなのにも関わらず、ジャンプやコールが沸き起こった。
このENJOY STADIUMでは最後に未発表曲を披露。ドロシーで磨かれた技術は3人になっても衰えることなく、新しい世界観を作り出していた。そして、美杜のルックスが“可愛さ”に“美しさ” もプラス。大人っぽい雰囲気が出てきていたのが印象的だった。ちなみに、callmeの楽曲は全てメンバーが作詞作曲をしている(!)というから驚きだ。
●9nine(ないん)(HOT STAGE) 「女優の川嶋海荷(うみか)が所属するアイドルグループ9nine」…きっといまだにそんなイメージしか持っていない人も多いのかもしれない。しかし、現5人の体制になってから、すでに5年。今はとてつもない力を持ったグループになっている。
一昨年ぶりにTIFのステージに登場した彼女たちの1曲目は、心地良いオルゴールの音から始まる『Re:』からスタート。ドラマ『リーガルハイ』のオープニングである。オルゴール音から一転、様々な音が集結して、とてつもない勢いになっていく。一瞬で盛り上がっていくHOT STAGE。『HAPPY 7 DAYS』は、夏にピッタリの盛り上りソング。ピースと手の平を広げた「7」を表す振り。「イエイ!イエイ!」とピースを突き出すその姿は、猛烈に可愛い。とくにメンバー村田寛奈のくっしゃくしゃな笑顔に惹き付けられた。
続く、『MY ONLY ONE』も夏にピッタリの胸キュンキュンソング。5人全員の“カワイサ”が乱反射する。『SUMMER SUMMER SUMMER』では、タオルで夏を掻き混ぜる。『Party9』で最高潮に盛り上げる。9nineを凝り固まったイメージで見ていたアイドルファンたちは認識を正したことだろう。
●アイドルネッサンス(ENJOY STADIUM) ENJOY STADIUMに舞い降りた、純白のセーラー服の7人の少女たち。彼女たちアイドルネッサンスは、古今の名曲を自分たちなりに歌とダンスで表現していくグループである。「カバー」と侮るなかれ、そのステージは圧巻のひと言。
多くのアイドルを輩出した“アクターズスクール広島”出身のセンター、石野理子を始めとする“アイルネ”メンバーは、清楚なイメージとは裏腹の激しいパフォーマンスを魅せる。BaseBallBearの『17才』、フジファブリックの『夜明けのBEAT』、ユニオンスクエアガーデンの『ガリレオのショーケース』。多くのアーティストの曲で、会場の盛り上がりも最高潮。
そして、ラストは大江千里の『夏の決心』。メンバー、宮本茉凜(まりん)の「TIFでのラストステージなので、野外並に熱くするぜ~!」という言葉通り、最高に熱いステージを見せつけた。
今年、多くのライバルに打ち勝ち、HOT STAGEへの出場も果たした。今後の活躍が楽しみなグルーブである。
小桃音まい、夢みるアドレセンスなどが登場!
●小桃音まい(ENJOY STADIUM)
2010年からTIF皆勤賞のソロアイドル小桃音(ことね)まい。自身の動きに合わせて観客が左右に移動する様子から「民族大移動系アイドル」とも呼ばれている。今年のTIF最後のステージとなるENJOY STADIUMのステージは、新曲『Colorful∞Infinity』を含む、20分間ノンストップメドレーを敢行。
『BANGBANG鼓笛サンバ』では、旗を持ったファンによる大移動。会場中、笑顔のファンたちが移動していく。そしてラストを締めくくる定番曲『dreamscape』では、ファンたちがホールの中央に大きな円陣が作り出す。その中心で、ありえないほどの激しいMIX(アイドルファン特有の声がけ)が起こるなど、とても熱いステージとなった。
ちなみに、過去のTIFで出番中に大雨になったという伝説を持つ彼女。前日のSKY STAGEでは“雨女”の汚名返上とばかりに「雨注意Tシャツ」を着て登場。しかし、そのTシャツを脱ぎ捨て「“KOTONE”Tシャツ」に変身。勢い余って2枚脱ぎそうになるハプニングで、ファンをドキドキさせたものの汗を輝かせるステージでファンを魅了した。
●夢みるアドレセンス(HOT STAGE) 彼女たちは、多くの取材でジョーク混じりに言う。「私たち、顔は良いんです!」と。しかし、その言葉が全然ジョークに聞こえない。だって、本当に5人ともビジュアルが高すぎから…。
そんな「全員が可愛い」アイドルグループ。それが“夢アド”こと、夢みるアドレセンスだ。HOT STAGEに現れた彼女たちは、なんとゴールドに光り輝くボディコン姿! メジャーセカンドシングル『サマーヌード・アドレセンス』の衣装で登場。メンバー同士が絡み付くように立つ。その妖艶さに、まず心を持っていかれる。
1曲目は、その『サマーヌード・アドレセンス』からスタート。真心ブラザーズの名曲『サマーヌード』を夢アド的な解釈でサンプリングした夏ソングである。続く『絶対的シンパシー』では、カッコ良くクールに。そして夢アドおなじみの「ちゃん・リン・シャン♪ちゃん・リン・シャン♪」と聞こえるプリティ少女アップテンポ曲『キャンディちゃん』を投入。ファンの士気はさらに上がる。
昨年までの「カワイサ」に加え、「オトナのイイ女」的な要素がUP。これまでとパワーが違う。多幸感の広がりが素晴らしい。京佳の可愛らしく、おしゃまな笑顔が走り回る。志田友美のポニーテールが弾け飛ぶ。美少女たちの夏の大回転に引き込まれるようなステージだった。
●GEM(HEAT GARAGE) SUPER☆GiRLSやチーキーパレードの妹分としてデビューした彼女たち。1曲目は歓喜の歌を思わせるオープニングから始まる『Star Shine Story』から。メンバーの誰もが嬉しそうな表情。こちらまで笑顔になってしまう。
2曲目は9月30日にリリースする新曲『Baby,Love me!』。恋するウキウキが可愛く爆発する世界をキレのある笑顔とダンスで魅せる。客席の盛り上がりを引っ張り、メンバー、伊山摩穂(いやままほ)の弾ける笑顔が目立つ。
3曲目の『Can’t Stop Loving』、そしてラストは『Do You Believe?』。アイドルソングとしては、一般的な方程式に当てはまらない『Do You Believe?』だが、この曲をここまで盛り上がるナンバーに育てたのは間違いなく彼女たちの努力と経験である。その真摯な頑張りがそのまま実力となって現れていた。
正直、ここまで踊れて歌って盛り上げることのできるグループは今、日本にも数えるほどしかいないのではないだろうか。
それにしても、やはり目を奪われたのは村上来渚(らな)の存在感。歌、ダンス、笑顔。ありえないほどに“凄み”が出ていた。
●hy4_4yh(はいぱーよーよ)(ENJOY STADIUM) 世界に“YAVAY”(ヤヴァイ)を発信するユニット・hy4_4yh(ハイパーヨーヨ)。「マッドマックス」のマスクを付けて登場したふたりは、映画に登場する“ウォーボーイズ”のごとく銀色のスプレーをお互いの顔に噴射。この時点でなんだかヤヴァイ感じが伝わってくる。
マスクを外すと、すぐさまアップテンポなラップナンバー『ティッケー・オン・ザ・ビーチ』をハイテンションに歌い上げ、RHYMESTERの『The Choice Is Yours』、『ONCE AGAIN』を完璧にカバー。ステージ中を駆け回り、観客を何度もアオりながら、スキルの高いパフォーマンスを見せつけた。
2005年にデビューし、今年結成10周年の彼女たち。ベテランが生み出した空間は、「ヤヴァイ」のひと言では表せない不思議な魅力まみれだった。
BELLRING少女ハート、SUPER☆GiRLSなどが登場!
●BELLRING少女ハート(ENJOY STADIUM)
カラスの黒い羽根と黒いセーラー服をまとった7人の少女たち“ベルハー”こと「BELLRING少女ハート」がENJOY STADIUMに登場。「エキサイティングなアイドル」の筆頭に挙げられることが多いベルハー。「とんでもないことをするんじゃないか?」と、TIFの監視スタッフもピリピリする中、ライブがスタートした。
“ベルハー”の世界観があふれだす『ボクらのWednesday』から始まり、『サーカス&恋愛相談』へ。上半身を激しく振り回す振り付けと、徐々に高まる曲調に会場はヒートアップ。
そしてブチ上げ曲『the Edge of Goodbye』で会場は爆発的な盛り上がりを見せる。激しいモッシュやリフト、サーフが起こり、裸になったファンがスタッフに捕まり連れ出されていく。最後に新曲『asthma』を披露。ベルハーのカオスな空間はTIFでも健在だった。
尚、先のライブで左足を負傷したメンバーの甘楽(かんら)は包帯を巻き、足を引きずりながらも必死にステージを盛り上げた。そんな彼女の姿はベルハーの世界観を見事に際立たせていたように思う。
●SUPER☆GiRLS(HOT STAGE) 今回、全員でTIFに殴り込みをかけてきたエイベックスのアイドルプロジェクト『iDOL Street』。そのラストを飾るのは、大将・“スパガ”こと、SUPER☆GiRLS。2年ぶりの登場。堂々のHOT STAGEである。
「東京アイドルフェスティバル2015でも、アイドルの花道を突き進むことを誓います!!」ーー前島亜美がそう宣言すると、1曲目の『花道!!ア~ンビシャス』がスタート。新曲『イッチャって♪ヤッチャって♪』、『胸キュンLove Song』へと続く。
“第2章”メンバーの渡邉幸愛(こうめ)の可愛らしい笑顔が輝く。浅川梨奈(なな)のコロコロと変わるユニークな表情に目を惹き付けられる。そこからは夏ソングメドレーへ。スパガの“伝家の宝刀”『MAX!乙女心』をズバッと抜いたかと思えば、『がんばって 青春』、『常夏ハイタッチ』、『アッハッハ!~超絶爆笑音頭~』と、シングル表題曲で攻める!
そう、スパガは“夏”のたびに上へ上がってきたのだ。“落ちサビに住むシンデレラ”こと、溝手るかの声がHOT STAGEに響きわたった。ラストの『ギラギラRevolution』では、最高の盛り上りに。キッチリと存在感を示し、結成から5年という、その実力を見せつけてくれた。
●アイドリング!!! (HOT STAGE) そして、HOT STAGEのラストは今年の10月末で“全員卒業”を発表しているアイドリング!!!だ。TIFがはじまった第1回目からホスト的な立ち位置で、多くのアイドルを引っ張り続けて来た彼女たちにとって、このHOT STAGEが最後のステージとなる。
1曲目は『Shine On』。アイドリング!!!にとって、大事な“卒業ソング”だ。昨年のTIFではメンバーの菊地亜美が卒業を発表。その時にも歌った。期ごとに並び歌うパートでは、思わずグッと込み上げてくるものがあった。
続く『SHA HA KA LA KA PARTY』では、タオルを振り回す。『百花繚乱アイドリング!!!』、『プールサイド大作戦』と、何度も歌い続けた名曲をぶちかます。
ライブの間に、何度かメンバーが横一列に並ぶ瞬間があった。「一列に並ぶ」というのは、なぜか“アイドリング!!!的”と思える。大人数が横一列に並び、お互いの顔を覗き込む姿。その様子にアイドリング!!!は集約されているのではないだろうか。その姿を見るたびに、胸にアツいものが広がった。
彼女たちのライブ後に行なわれたグランドフィナーレでは、参加した多くのアイドルで彼女たちの名曲『職業:アイドル』を熱唱。先頭で歌う彼女たちの姿は、まるで太陽だった。6年間、TIFに参加したアイドルたちは、アイドリング!!!という太陽を追いかけてきたんだな、と実感した。
●Negicco(SMILE GARDEN)
SMILE GARDENのラストに登場したのは、昨年から人気急上昇中のNegicco。白と緑に光るお馴染みの「ネギライト」が揺れる中、『トリプル!ワンダーランド』、『さよならMusic』といったキラーチューン、そして新曲『ねぇバーディア』など全5曲をノンストップで披露。
彼女たち自身の人柄やそのパフォーマンスは、見る人々全員をピースフルな気持ちにさせてくれる。そして、象徴的だったのが4曲目に歌った『圧倒的なスタイル』。アイドル154組のファンたちが一斉に肩を組み、笑顔でラインダンスを楽しむ光景は“平和”そのものだった。Negiccoだからこそ、誰もがひとつになれたのではないか…。
そして、ラスト1曲に歌ったのは『ときめきのヘッドライナー』ーー。
時間的にHOT STAGEのアイドリング!!!のステージも終わっている。SMILE GARDEN、そしてある意味、TIFのトリを堂々と務めた彼女たち自身を表すようなこの曲に、涙を浮かべた人も少なくないはずだ。
今年のSMILE GARDENは、会場をひとつにした彼女たちの“圧勝”で締めくくられた。
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こうして、今年も日本最大のアイドルフェス「東京アイドルフェスティバル」は修了した。
昨年までの参加グループに加え、来場者数も5万人を超えるという、とんでもない広がりを見せた今回。メインMCを務めた、よゐこの濱口優が「来年も絶対にやりましょう! 決定です!」と叫んでいた。
「アイドルブームは下火になっている」
そんな意見、この盛り上がりを見たら誰もが引っ込めるだろう。この暑さの中、爆発したアイドルたちを止めるものなど何もない。
「アイドルが頑張っている姿を見て、自分も頑張れる」
多くのアイドルファンがお決まりのように言う言葉だ。そして、アイドルに興味のない者にとっては、きっと心に刺さらない言葉かもしれない…。でも、アイドルの姿をみるたびに、そのキラキラとした汗と笑顔を見るたびに単純な言葉が心に刺さる。そう、「アイドルが頑張っている姿を見て、自分も頑張れる」のだ。
来年も、彼女たちが頑張れるように。そして自分たちも頑張れるように。TIFを応援していければいい。
あーー、今年も本当に楽しかった、ですね!
●明日は取材班の各担当者がMVPを選出する【特別編】を配信予定!
(取材・文/TIF大好き取材班、撮影/武田敏将・関根弘康・アオキユウ)