あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』。
前回の蛭子能収さんからご紹介いただいた第9回ゲストは、女優の高橋ひとみさん。
最近ではバラエティや旅番組でも素の魅力を出されてご活躍。寺山修司“最後の秘蔵っ子”とされた出自から出世作『ふぞろいの林檎たち』に至る思い出まで前回は語っていただいたが…。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)
―しかし、そのイメージで当時は男を結構翻弄(ほんろう)してる女みたいな色眼鏡で見られてたわけで。実は本人はとんでもない!と。
高橋 とんでもないですね、男の人とどうやって喋ったらいいのみたいな(苦笑)。だから(ふぞろいの~)パート1の時は全部、(手塚)理美ちゃんを通して、(中井)貴一くんにこう言ってとか、貴一くんも遠慮して理美ちゃんを通してとか、それぐらいでしたね。
―実生活というか素の自分は真逆で、周りからも、えっ?みたいな…不思議がられました?
高橋 そうですね。ガッチガチに恥ずかしがりやのド新人ですから。共演者はもう皆さん、理美ちゃんなんかはもう小さい頃から出てるし、貴一くんもね。ただ、今でもそうですけど、やっぱり喋らないと怖いんじゃないかみたいなのは思われますよね、私。
―下手したら昔の不良がかった、それこそ『スケバン刑事』系な姉御に見られて?
高橋 そうです、『ふぞろい~』の次に言われるのが『スケバン刑事』か『私をスキーに連れてって』なんで。『スケバン刑事』は漫画読んでなかったですけど、なぜ選ばれたかといったら、(役の)海槌麗巳がそっくりだったというね。最後の5話くらいしか出てないんですけど、でもすっごいあれを観て育ちましたって方がいっぱいいて。本当にあれも出てよかったんだなあって。
―やっぱりイメージ先行だし、『私をスキーに~』にしてもトレンディーなイケてる最先端の女みたいな。常に憧れられるカッコいい女性キャラな感じ。
高橋 そうですね、カッコいい、割とクールな役が多くて。やっぱり身長も大きかったり、風貌もそうだったていうのもあるかもしれないけど。あの当時、みんな華奢(きゃしゃ)で小ちゃくてって158センチくらいが王道のアイドルっていう。私は165、166ありますから、もうそれだけで大きい、大きいって言われて。今ではね、そんなことないのに。
―そうやってクールな大人の女みたいに見られ、自分とは違うのにって、またジレンマも?
高橋 でも、もうその頃はあんまり何も考えてなかったかも。
―では、さっきもお話にありましたけど髪型を変えたのもあって、キャラをもっと自然にバラエティとかでも出せるようになったのは?
高橋 正直にいえば、今の事務所に入れて頂いてからここ最近ですか(笑)。この2年半ぐらいですかね…あの、もう50過ぎてますし(笑)。何をやっても、やってきたことがちゃんとあるので、今から何か壊れるとかないし、逆にやってきてないことをやってみたいなって。今まで、え~無理~とか思って、やってこなかったものも絶対に全部やってみようと。
―なるほど。もう培った土台があるから、何しでかしても役者としての仕事がパーになるもんじゃないっていう。
高橋 で、やってみたらすごく楽しいし勉強になって。違う意味で楽になって解放されて、全部プラスにね。ディレクターさんにこうやってもらえますかって言われたら、絶対断らないっていう。やってみて駄目だったら、次やんなければいいかなって。
やらかしちゃって禁酒してるんです
―逆に周りが、高橋さんにこんなことを大丈夫?って恐る恐るかも。そこを全部ウェルカムにして自分からはっちゃけてる?
高橋 嫌いじゃないなって(笑)。でも、『アウト×デラックス』にレギュラーで入れて頂いた時には、1番最初、マイナスな気かわからないけど当てられて、気持ち悪くなっちゃったんです。どうしているんだろう?、ここの中では私は普通じゃないかって思って。でも2回目、3回目と段々心地よく。今は世間にも自分はこうだって示せて楽ちんですね、プライベートも本当に。
―なるほど。それでプライベートもまたいい感じに回りだしたんですね。…そういえば、高橋さんはお酒で別人格が出ちゃうという話も今や有名で(笑)。出てくるキャラがなんでしたっけ?
高橋 みゆき(笑)。それを面白おかしく語ってるだけならいいんだけど、本物見ちゃ駄目なんです。
―そうだ、みゆきちゃんだ。これも知られすぎて都市伝説的な(笑)。
高橋 そうそう(笑)。6月1日にやらかしちゃってから禁酒してるんですよ。
―結構最近じゃないですか(苦笑)。でも、例えばロケ先でのオフに共演者とかスタッフとご飯食べながらとかもありなんですか?
高橋 打ち上げなんかであります。6月1日も打ち上げだったんですけど。あと、「アウト×デラックス」の忘年会はもう、あえてなります。それでレギュラーになってますから(笑)。ならないと申し訳ないし、卒業させられちゃうので(笑)。主人にも仕事だからそこは飲んでいいと。
―公認なんですね(笑)。そもそもお酒はそんな昔から?
高橋 いや、25までは飲めなかったんですよ、全く! うち誰も飲めないです、家系的に。なのに突然、関西テレビのプロデューサーの方がすごく飲みやすいしって、にごり酒みたいな甘い日本酒を飲ませてもらった時においしいとか思っちゃって。それから飲めるようになったの。
―開眼しちゃって。単純に楽しくなっちゃうんですか?
高橋 はい、ほんと元気になって楽しくなって。付き合ってきてる方たちがすごい大酒飲みで、それで鍛えられたんだと思いますけど。そうじゃなかったら、今でも飲んでないな…。どんどんいっちゃって、カラオケいきたくなっちゃって、そこで踊りまくりながら歌いまくりながら。でも素の私は大嫌いなんです、カラオケ。ひとみの時は全然いきたくないんです。
―それは完璧にみゆき…なんですね?
高橋 それがみゆき…になっちゃってる。
―それでみんな、見たがっているという…。
高橋 1回見たらもういいんじゃないかなって思うんだけど、見たいからって結構注いでくれちゃうんです。
―まあそれはみんなにとってもハッピーなみゆきちゃんなわけですよね。
高橋 どうですかね~。だから楽しくはなるんで、地方のお仕事入れてもらって(笑)。OKではないけど、目の届かないところで、ちょっとまあ少し飲んで。家から「飲んでない?」って確認の電話がくるんで、酔っぱらっちゃ駄目なんですけど、本当ほどほどです。たまっちゃいますからね、息抜きに。
全然燃え上がらないの、私。30代なんて勿体ないなと
―普段のリフレッシュ法というか、車もお好きで。以前はポルシェにずっと乗られてたとか。
高橋 今はもうやっぱり犬ですかね、大型犬、ゴールデンレトリバー飼ってて。その犬がリフレッシュですか。それでもう車もポルシェじゃないんですけど…。ポルシェは形が好きだったの、丸みを帯びたフォルムとセクシーなあのボンッとしてるお尻が。
ジェームス・ディーンも乗っててとかいろんな伝説があって、やっぱりポルシェでしょってなって。買えた時は、CMで大正製薬の頭痛薬をやったんですけど、それ全部出して、大正ポルポルって言ってたんですよ(笑)。
―大正様様なネーミングを(笑)。そんなポルポルひと筋だったのに、犬には負けましたか。
高橋 犬を乗せるためにね。楽ちんになりましたけど、今でも他の車は全然興味ない。ポルシェに乗っているという自分が好きでしたね(笑)。
―ちなみに僕も20年以上、ジープのチェロキースポーツっていう、真っ赤なやつに乗り続けていて。チェロ吉って呼んでるんですが、最初にひと目惚れしてからずっとひと筋(笑)。他に興味が全然生まれてこないんで。
高橋 他のね、いろんな車に乗り継ぐとか、携帯電話もすぐ替える人って浮気性ですよね。彼女もすぐ取っ替えひっかえするでしょ。同じです、あれは。
―やっぱり通じますかね。実はソファーも大学の時に気に入って、当時は買えなくて社会人になってからようやく手に入れたアメリカのでっかいカントリー調のをここ最近まで替えれなくて…こういう男は信用できますか?
高橋 できますよ! できます、できます! 彼女もひと筋だと思います。
―あははは、すごく個人的に高橋さんから認められたみたいで嬉しいな(笑)。
高橋 本当なんだもん。
―では、ご自分も恋愛では惚れたり、惚れられたりいろいろあったでしょうけど、基本はひと筋派だった?
高橋 そうです、気になったら割とずっとそうですね。食べ物も何も気に入ったらずっとそれを使ったりしますし。
―それでなかなか結婚されてなかったから、今のご主人は余程の相性だったんですね。
高橋 そうですね、年齢的にもね、もう50同士の初老の初婚なんですけど。ただ、それまでは結婚したいぐらい好きな人ができなかっただけで、割となんかひとりでも大丈夫みたいな。もうね、若くないし、体力が無いので頑張るってことがイヤなんです。頑張ってついてったりするのが。とにかく穏やかな人じゃないとダメだった。
―でも若い頃はそれこそ燃え上がる恋愛もあったはずですよね。
高橋 全然燃え上がらないの、私。30代なんて全然いなかったですよ、誰も好きな人。私自身、1番イイ時なのに勿体ないなとか思いましたけど。で、言い寄ってきてくれる人は、えー、キミ? キミはイイや、みたいな感じの(笑)。
全然モテませんよって言うけど、自分が納得した人に言われてないだけでしょって。自分もいいなって思う人には言い寄られなかったってことですよね。結婚したい人ほど自分からは私、ガンガン全然いけないし。
昔言われたのが、結婚は修行だから…
―逆に男の側からはハードル高いんだろうなと勝手にイメージ作られたり? それで敬遠されてでも、ずかずか来るやつがいれば余程なんでしょうが。
高橋 そのずかずか来るのは、え~みたいな(笑)。
―今、スゴい顔しましたよ、なかなか見られないような(笑)。
高橋 やだ、やだ、こんな顔(笑)。でも私、面食いじゃないし、身長もあんまり関係なかったですけどね。
―では、ようやく巡り会った今のご主人は何が決め手だったんでしょう?
高橋 ジェントルマンだったっていうことですね。いろんな意味でスマートで、ドアを外国の方のように先に開けてくれる、荷物は持てるもの持ってくれるとか。その時は頑張ってたらしいんですけど。
―でも、それくらいしてくれる人なら今までいくらでもいそうじゃないですか…。
高橋 いなかったです、もう、ひとりでガンガン先にいっちゃうような…。尽くしてくれる人なんていないです!
―今の全否定もなかなか見られないスゴい顔でしたが(笑)。つまり、自己本位で我がままな男が多かったと?
高橋 叱ってくる人とか。だから私、叱られてばっかりで…。そこまで言ってくれるなら、あんまりタイプじゃないけどいっかって付き合うじゃないですか。途端にもうすっごい怒られたり。例えば、仲間とみんなでどっかご飯にいったりしても、もっとちゃんとやんなきゃいけないじゃないかとか。
―尽くすことだけ求められて、その男にとって都合のいい自分にならないと、みたいな。
高橋 でも私、母性本能は全くないんですけど、犬に対してはすごいあるんです。もうどんなちょっとした変化でも絶対見逃さないぞってくらいに毎日触診して、ここちょっとあれ?って感じですぐ病院行くんですけど。男性に関してはゼロで、自分で行けばいいのにとかって。
今は主人が具合悪いとか言っても、別に自分で症状言えるし、歩いていけるわけだから、そんなに酷かったら自分で病院行くでしょって。犬は口も聞けないし訴えられないのよ、見つけてあげないとねって。
―ごもっともではありますが(苦笑)。そこら辺の気を遣わなくていいバランスが一緒にいて疲れないんでしょうかね。
高橋 50年もひとり暮らししてたらなんでもできるって言って、アイロンがけも掃除も、トイレもお風呂もゴミ出しも全部やってくれて。本当に素晴らしいです。取りあえず私のいうことは聞いてくれるし。今まではみんなこっちが全部聞かなきゃいけなかったから。
―お互いに独立した一個性として、同じ空間にいれる関係がまたいいわけですね。でも女王様タイプでずっとこられたのではと思って、これまた意外でした。
高橋 そんなことないんです。今までは石橋叩いて、本当に本当?っていうぐらい確認してから、それでも付き合ってって言うから付き合ったのに、あれ?っていう方ばっかり。で、我慢してね、言えないからたまってっちゃう。
―男の身勝手さやダメな部分を見過ぎてしまってたんですね。
高橋 誰かに昔言われたのが、結婚は修行だから、結婚もしてなくて子供もいなかったら、何も苦労してないというか、死んであっちの世界で苦労するわよって。その時に、やだ、やだって思ったんですね。だからそういうとこでちょっと苦労しとこうかなと思って…修行?(笑)
次回お友達は元アイドルで梨園の妻…
―それでずっと、だったら無理して一緒になる必要ないわっていう。
高橋 だって、うちの母も結婚は我慢よ、我慢、我慢って。みんな言うんですよ?
―で、結局、我慢しなくていい旦那さんを得られたわけです(笑)。
高橋 そうですけど(笑)。それはやっぱりこの年で我慢もしたくないじゃないですか、いろいろ背負いたくないもん。ひとりだったら悠々自適なわけですよ。今後さらに悠々自適でいきたいのに、一緒になってできなくなるのがイヤなんです。
―以前、登場していただいたピーターさんも“ひとり上手”でありたいとおっしゃってましたが。逆にそれこそ蛭子さんみたいに奥さんがいないと寂しくてどうしようもないってのもありますし。
高橋 でも結局、どっちが先に逝くかもわからないじゃないですか。私の姪っ子が何が良かったかって言って、おばさんが結婚して面倒見なくていいんだって、ほっとして(笑)。でも子供いないんだから、先に主人が逝っちゃった場合はもれなく見るのよ、どれだけつぎ込んだと思ってるのって言ってるんですけど(笑)。
―でもそれでいいですよね、最後に誰と一緒にいようが、誰が世話してようがその時、その時で。
高橋 でも世話させるのも可哀想だし、絶対当てにならないから。後はお金を貯めて、そういう施設に入らなきゃって。みんな言ってますけどね。
―ずっと仕事をされて、ひとりで生きる基盤と覚悟があったからこそ、そういう意識がしっかりされてるんでしょうけど。
高橋 でも私は東京に実家があったから、その分すっごいラッキーじゃないですか。皆さんね、こっち来て家を持ったり借りたりしなきゃいけないのに。それがなかったっていうのも絶対やってけた理由ですけど。割と依存はします(笑)。
―というわけで、そろそろお時間でしょうか。そういえば、今度は南アフリカの観光親善大使にも就任されたそうで。
高橋 それ今イチ推しなんですけど(笑)。南アフリカって実はリゾート地だったりして、40代、50代のちょっとお金と時間に余裕のある人が行く場所で。動物だけじゃなくて、ヨーロッパの人には高級リゾート地として人気だってことを、もっと知ってもらいたくて。
―僕もサッカーのW杯の時に行こうかなと思って調べたことがあります。そうらしいですね。
高橋 キャッチフレーズが「ミドル女性の喜望峰」っていって(笑)。以前、仕事で向こうのワイナリーを訪ねたことはあるんです。奥様が日本人で、今ではバンバン優勝しちゃうくらいのすごいワインを作ってるところなんですけど。それがすっごい素敵なお家で。
スタッフ全員が泊まって、もう昼間っからワイン飲んで。その楽しさと居心地の良さにみんなここで働きたい、もうこのまま連れて帰らないでって本気で言ったっていう(笑)。今度10月にそこもまた行けたらって。ご一緒に行けませんか?(笑)
―それはスゴい誘惑です!(笑) うーーん、保留にさせていただいて…まずは最後にお友達を紹介していただければと。
高橋 三田寛子ちゃんはどうですか? いつまでも変わらずに美しい寛子ちゃん、私、いつも尊敬してるんです。
―まさに僕の高校時代、ドンピシャの人気アイドルで。結婚されて、梨園の妻として子育てもされつつ、また活躍されてますよね。では三田さんにお声かけできればと。本日はありがとうございました!
●第10回は8月30日(日)配信予定! ゲストは女優・タレントの三田寛子さんです。
●高橋ひとみ 1961年生まれ、東京都出身。17歳で寺山修司作・演出のオーディションに受かり、その後“寺山修司の秘蔵っ子”というフレーズで舞台『バルトークの青ひげ公の城』で女優デビューを果たす。1980年に『上海異人婦館 チャイナ・ドール』で映画デビュー、1983年『ふぞろいの林檎たち』でTVドラマデビュー、1985年には『スケバン刑事』に出演するなどデビューからコンスタントに出演作が続く活躍。2015年に入り、南アフリカをPRする「南アフリカ観光大使」に就任
(撮影/塔下智士)