「週プレNEWS」の看板コンテンツのひとつとして現在も大好評連載中(毎週月曜更新)の漫画『キン肉マン』(ゆでたまご作)。
先月に発売された最新コミックス52巻もオリコンの週刊コミックランキングで最高8位にラインクインするなど、2011年の連載再開以来、好調を維持している。
そこで、連載36年を迎え、なおも進化し続ける、ゆでたまごの両先生に最新刊の中からお気に入りの原画をそれぞれ1枚選んでいただき、その理由や製作上の秘話を語っていただくシリーズ新企画をスタート。
題して、“ゆで原画”! 今回、ジャンプ・コミックス『キン肉マン』52巻より選んでいただいたベストチョイスの1枚は…。
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まず、作画担当・中井義則先生に選んでいただいたのがメイン写真に貼られた一枚。
悪魔超人軍に復帰したバッファローマンの対戦相手である完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)・ガンマンは、“神に最も近い”といわれる完璧(パーフェクト)超人をまさに絵に描いたような驚愕(きょうがく)の力の持ち主。1000万パワーを誇るバッファローマンさえ圧倒するシーンで描かれたその一枚絵について、その選定理由を語っていただいた。
「ガンマンは最初こそデザイン変更などもあって苦労しましたが、描いていくにつれてどうすればカッコよくなるか試行錯誤をして、自分の中でもどんどん育っていったキャラクターです。そうして様々な描き方を思いついては試していくうちに、もし大きなコマを取れる機会があれば、ぜひ描いてみたいと思った構図が出てきたんですね。その機会がとうとうやってきたものが、この一枚絵になります。
この絵を迫力ある形でバーンと大きく見せられたなら、ガンマンのファンも絶対に増えてくれるんじゃないかと思って。影のつけ方も迫力あるものにしたかったので、普段は控えめにしているトーンもここはあえて解禁してみました。トーンの多用は諸刃の剣(もろはのつるぎ)で、ヘタすればただゴチャゴチャしてるだけに見えてしまうこともあるんですが、そこもうまくいったのではないでしょうか。
ちょうど、この原稿がウェブに掲載された頃に超人人気投票が開催されていたんですが、その結果もよかった(※『キン肉マン総選挙 2015』中間発表3位、最終結果は惜しくも11位)ようなので一層、嬉しかったですね。自分でもお気に入りの一枚です」
ゆでたまごがふたりいたからできたページです!(嶋田先生)
そしてもう1枚、原作担当・嶋田隆司先生に選んでいただいたのはこちら。
追い詰められたバッファローマンが、ガンマンに起死回生の一撃を放つ直前のこのシーン。バッファローマンの背後に重なるように露(あら)わになった大穴。そのはるか向こうには、ガンマンの尊敬する師であるストロング・ザ・武道こと“超人閻魔(えんま)”の鎮座(ちんざ)する貴賓席が見えている。
「この絵はバッファローマンの最後の決め技が炸裂(さくれつ)する直前の様子を描いたものなんですけど、特にこの上段のタテ3分割のコマの割り方。これを最初に見た時は『なるほど、中井君、こうきたか』と僕自身もニヤリとしてしまいました。
この回がウェブに掲載された週、ファンの意見が大きくふたつに分かれたようで、僕のところにもツイッターなどで様々な意見が寄せられたんですよ。それがまさにこのシーンです。
ガンマンは真実を見通す“真眼(サイクロプス)”というのを持っていて、それで自分たちのボスである武道を直視することにためらいを抱いています。そこを見越したバッファローマンがあえてガンマンに武道を直視させようとしたのか、それとも結果的にそうなっただけなのか。その差でこのシーンの意味自体も大きく違ってくるんですよね。
実は僕がシナリオを書いた段階では、その答えは決まっていたんです。でも中井君がそれを読んで、あえてどちらとも取れるこの描き方をしてきたことに、僕は唸(うな)らされました。確かにこういう描き方にして、答えは明示しないほうがいいなと。このシーンはまさに、ゆでたまごがふたりでやってるからできた名場面ですね。え、僕の考えていた“答え”ですか? それは内緒にしておきます(笑)」
ガンマンvsバッファローマンの力と力による真っ向勝負、歴史に残る大激闘の結末は…。そしてその後に続く“許されざる世界樹(アンフォーギブン・ユグドラシル)”決戦第2幕、ラーメンマン対ネメシスの中で明かされたキン肉族の“闇の真実”とは…?
今回、ご紹介したシーンも含むJC『キン肉マン』52巻の詳細はこちら(http://www.s-manga.net/book/978-4-08-880545-0.html 一部試し読みあり)
また、『週プレNEWS』では『キン肉マン』を毎週月曜連載で最新話を配信中!
★次回、“ゆで原画”第2回はJC『キン肉マン』53巻(2016年1月4日発売予定)の発売後にお届けする予定なので、お楽しみに!
(取材・文/山下貴弘)