今、アイドル界隈で話題になっている3776(みななろ)が待望の1stアルバム『3776を聴かない理由があるとすれば』を発売!

今、アイドル界隈で話題になっている3776(みななろ)。“富士山ご当地アイドル”として活動中だが、先日、待望の1stアルバム『3776を聴かない理由があるとすれば』も発売!

前編(ファンが『ポカーン』と呆然…話題のアイドル・3776(みななろ)とは何者?」)に引き続き、唯一のメンバーである井出ちよのちゃん(14歳)とプロデューサー・石田彰氏のインタビューをお届けする。

記事の最後では、3776を激プッシュ中のミュージシャン、掟ポルシェ氏からのアツいコメントも掲載!

―3776は、曲だけではなくダンスもちょっと変わっていてカワイいですよね。振り付けは自分でしてるの?

井出ちよの(以下、ちよの) 半分くらい自分でしてます! 曲によっては、ずーっと上がり下がりがなくて、「振り付けするの難しいなー」って悩むのもあるので、そういうのは先生にお任せしています。

―“3・7・7・6拍子”の変拍子もあったりと、合わせるのが難しいでしょ?

ちよの そうですね。ヘンな曲の時は音を聴かないようにして歌ったりします。あと、ちゃんとフリを決めないで、アドリブで踊ってるところもたくさんあるんですよ。

―じゃあ、今日見たライブのフリは今日しか見れないんだ。

ちよの そうなんです。だから、ヘンなことをやって失敗することもあります。前に、アドリブでお客さんと「わ~」ってハイタッチしてたら、手がすべって頭とか叩いちゃって! 「やっちまったなー」って、後で反省しました。

―いや、それはちょっとしたご褒美になったんじゃないですかね? ちなみに、ちよのちゃんはチアダンスをやってたんだよね。

ちよの はい! 年少さんくらいから小学5年生までやってました。地元のイベントとか大会とかにも出てて。意外と好成績を残したんですよ。

―好成績?

ちよの 全国大会で1位になったことがあるんです! でも、今はフリースタイルっていうハウス系のダンスを習っているので、3776の振り付けはハウスダンス寄りだと思います。

私の性格? “ヘンな人”かな?

―あれだけ踊りながら歌うんだからスゴい体力ですよね。喋っててもスゴく元気な印象を受けるんですが、普段はどんなコなんですか?

ちよの うーん、学校では結構さっぱりしてますね。あんまり友だちともベタベタせず、適度な距離感でやらせていただいています。

―適度な距離感(笑)。自分の性格をひと言で表すと?

ちよの “ヘンな人”かな? ヘンっていうか、人とかぶるのが好きじゃないんです。自分が烏龍茶が好きでも、友だちが好きって言ってたら「あぁ! かぶった!」って悔しくなるし、遊びに行く時も友だちと違うタイプの服を着るようにします。

―それ絶対、大人になったら面倒臭い人になりますよ! 実は3776は、グループアイドルとして出発しながら、メンバーの卒業で最終的にちよのちゃんひとりになったんですよね。ひとりだとMCも人に頼れないし大変じゃないですか?

ちよの う~ん、難しいけど楽しいです! 私が好きなアイドルさんって、でんぱ組.incさんとかMaison book girl(メゾンブックガール)さんとかグループアイドルが多いんです。だから逆に、私はソロのほうがいいかなって。

―そこも人とは違う道を選びますか。

ちよの そうです。まず、3776は曲もおかしいんで、こうなったら“珍しい”を貫く!

―貫きますか! 楽曲制作だけではなく、すべての運営業務を行なっている石田さんは、そもそもどうしてアイドルを作ろうと思ったんですか?

石田彰プロデューサー(以下、石田) 元々、AKB48が好きだったんです。だからAKBみたいなアイドルを作りたいなって思ってたんですが、ちょうど2011~2年頃、ご当地アイドルがブームになってたんですね。だから、どっかの県や市の役所と組んで何かできないかなって思って、いろんなところにコンタクトを取って。

ちよの 北海道の役所にも連絡したんですよね?

石田 うん。日本列島の北から順番に、手当たり次第にメールを送ったんですよ。そしたら、たまたま富士宮市から「やってみる?」っていう返事があって。それで、1年間限定でチームMⅡというグループを作り、1年後に3776に改称したんです。

70年生まれ、奈良県出身の石田氏

富士山は~、みんなのものだと…

―名古屋や福岡には当時からアイドルがたくさんいましたが、静岡っていう場所は絶妙で新鮮でした。

石田 東京からも近いですし、その後、富士山が世界文化遺産に登録されたので(2013年)、ラッキーでした(笑)。あのままメールを送り続けていたら、もしかしたら沖縄アイドルとかになってたかもしれないです。

―そう考えると、今このふたりで活動していること自体が奇跡ですね! 富士山の近くに住む、ちよのちゃんにとって、富士山の素晴らしいところは?

ちよの (即答で)3776より地域活性化の役に立っているところです!

―確かに(笑)。富士山って、ちょうど半分が静岡県、半分が山梨県にかかっていますね。山梨の人は「千円札の裏に書いてある富士山の絵は山梨側から見た景色。富士山は山梨のもの!」とよく言いますが。

ちよの (芝居がかった口調で)富士山は~、みんなのものだと思っています~、はい。

―へぇ、そこはこだわりがないんですか?

ちよの はい~。なにせ“世界”文化遺産ですから~。付け加えますと、富士山の頂上は富士宮市の浅間大社の所有物なんですけどね~。はい~。

―あの、普通に喋ってもらっていいですか…? 過去のインタビューで「富士山の五合目でライブがしたい」と言っていましたが。

ちよの いつ言ったんだろう? 五合目でもやりたいんですけど、その前に、まずは富士宮市でやってる定期ライブに100人来てもらえるようになりたいです! あ、東京でも来年の1月16日にワンマンライブをするので、ぜひ見に来てください!

―絶対行きます! 3776には、富士山と同じくらい有名になってもらいたいです。

ちよの おぉ~!(石田氏の方を見る)

石田 こっち見ないでよ(笑)。

ちよの 私も頑張るので、いい楽曲作ってくださいね!

(取材・文/西中賢治 撮影/佐賀章広)

■3776(みななろ) “富士山ご当地アイドル”として活動する、井出ちよの(2001年5月3日生まれ)のソロユニット。10月28日、1stアルバム『3776を聴かない理由があるとすれば』を発売。2016年1月16日に、東京・渋谷のO-nestにてワンマンライブを開催予定! 公式サイトもチェック http://m3776.com/

掟ポルシェ氏が3776の魅力を語る!

去る11月7日にタワーレコード新宿店で行なわれた、3776のインストアライブ。通路からはみだすほどのお客さんが押し寄せる中、最前列でかぶりつきでライブを観覧する、見覚えのある人物が…。

真っ赤なプラスチック製サンバイザーに上下白のスーツというド派手な格好は、掟ポルシェ氏! Perfumeをいち早く発見したアイドル通としても知られる氏に、3776の魅力を語ってもらった。

―最近、Twitterなどで3776を大プッシュしていますね。

掟ポルシェ(以下、掟) はい。去年、メンバーがまだ数名いた頃に『さよなら小学生』という曲の動画を見まして、ド肝を抜かれたんですよ。コード進行が複雑なのにポップで特徴的すぎて、「なんでこんなアイドルが富士宮にいるんだ!」と。

ライブ会場を見てわかる通り、フランク・ザッパやジャームス、セックスギャングチルドレンのTシャツを着てるような、様々なジャンルを通過した音楽通が今、全国から3776に集まってきてるんです。なぜか富士宮の地元のファンはほとんどいないんですが(笑)、こないだギリシャ人が「3776マジヤバいでしょ!」的なことをツイートしてるのを発見して、県境どころか国境超えて届いてるよ!とビックリしたり。

―ミュージシャンでもある掟さんから見て、3776の音楽の特徴はどんなところにありますか?

 実は今までこういうギター主体のアイドル曲って、あんまりなかったんです。あっても、BABYMETALさんみたいにメタル寄りだったり、70年代のハードロックを引きづった“泣き”のフレーズを押し出すものばかりで。3776みたいに、ニューウェーブっぽいカッティングのフレーズ主体で曲が構成されてるスタイリッシュなアイドルって、とても斬新だと思います。

―楽曲は独特とも言われますが、ちよのちゃんが歌って踊ることによって、ものすごくカワイくポップになってますよね。

掟 そこなんです! あの複雑なリズムの曲を難なく笑顔で歌いこなしてるところが、ちよのちゃんのすごさです。石田さんの特殊な音楽性と、ちよのちゃんの物事をポップにする力が合わさった結果、今、3776の音楽はものすごくシンプルで伝わりやすい状態になってます。だから人にも薦めやすいんですよね。「友だちの車のカーステでかけても大丈夫」みたいな(笑)。

―1stアルバム『3776を聴かない理由があれば』の発売によって、全国のアイドルファンが注目するようになりました。

掟 えぇ、これでようやくみんなが3776に触れられる状態になりました。今年の夏ぐらいまで、3776のCDって全国で6店舗しか扱ってなくて、しかもうち1店舗は富士宮市の市役所だったりしましたからね(笑)。この1stアルバムが満を持しての全国流通盤になるんですが、もうタワーレコードの店員もヤラれちゃって、おかしくなってるんですよ。

あの手書きのポップを見てください。アルバムに20曲しか入ってないのに、推薦曲が17曲ですよ! このアルバムがいかにヤバいかっていうことを、アイドル好きじゃない人にも伝えたいですね。

(取材・文/西中賢治)