青春ドラマの中に笑いとバイオレンス、そしてセクシーさを融合させた過激なマンガ『監獄学園―プリズンスクール―』。
そのドラマ化に挑むのは、“日本のティム・バートン”こと鬼才・井口昇監督。実写化不可能と呼ばれる作品に対し、どうやって難題をクリアしたのか!?
■とんちを出し合って過激な表現に挑戦
―驚きです! まさか平本アキラさんのマンガ『監獄学園―プリズンスクール―』が実写ドラマ化されるとは。女のコの胸やお尻がバンバン出てくる上、ボーイズラブなどアブないシーンも満載。ファンの間では“実写化不可能”とまでいわれてきた作品ですから。
井口 実は僕自身もお話をいただいた時、どこまでTVドラマでやれるんだろうと思ったんです。でもこの作品って涙が出るほど笑えるし、本当に素晴らしい。だから、面白いエピソードを削るのは原作に対して失礼だし、ファンにも申し訳ない。普通ならカットされるはずのシーンも“なんとか映像化するぞ”と心に決めたんです。
―その意気込みは第1話から伝わってきました。今どき珍しい女のコの入浴シーンに手ブラカットまで! おまけに千代役の武田玲奈ちゃんは下着姿まで披露ですよ。
井口 「逃げてないぞ」という姿勢を初っぱなから見せたかったんです。それに僕は『時間ですよ』や『毎度おさわがせします』といったドラマのお風呂や着替えシーンを見て興奮した世代。今のドラマにはサービスが足りないとも思ってて。だからサービスカットを入れたかったんです。
―とはいえ、今のTVは刺激的な表現への規制が厳しいんじゃないですか?
井口 今回は撮影前に、放送の考査の限界がどこなのかを調べました。例えば、女のコの裸を撮る場合、バストトップを見せちゃダメだけど泡で隠していればOKとか、お尻は割れ目を撮っちゃいけないとか。あと、女のコのオシッコする音はさすがに憚(はばか)られるけど、男のコもコメディシーンとして描けるなら脱糞する音もいいなんてことも(笑)。それらを熟知した上で、出せるものは出し、出せないものはカメラのアングルや編集で見せる工夫をしました。
―おしっこをかける場面で、いざって瞬間、蛇口から水が出るシーンが挿入されて。おしっこが出た瞬間は見てないのに見た気になるみたいな(笑)。
井口 一休さんのとんち合戦みたいなものでした。会議ではプロデューサーさんたちを交え、40過ぎた大人たちが腕組みしながら、みんなお尻とかパンツのことを一生懸命考えてましたね(笑)。
―過激な描写にもかかわらず、役者陣が熱演してます。
井口 皆さん、原作への愛も同じようにあり、助けられました。武田玲奈ちゃんなんて、連ドラのレギュラー初出演にもかかわらず堂々としたもので。下着シーンも、脱がなくていいテスト段階から脱いでくれて、こっちが驚きましたね(笑)。
◆他のキャスティングエピソード、さらなる見どころまで…。このインタビューの続きは『週刊プレイボーイ』50号(11月30日発売)でお読みいただけます!
(取材・文/大野智己 撮影/下城英悟)