青春ドラマの中に笑いとバイオレンス、そしてセクシーさを融合させた過激なマンガ『監獄学園―プリズンスクール―』。
その人気作のドラマ化に挑んだのが“日本のティム・バートン”こと鬼才・井口昇監督だ。
実写化不可能と呼ばれる作品に対し、いかにして難題をクリアしていったかーーその経緯を明かしてもらったインタビュー第2弾!(前回記事→「“なんとか映像化するぞ”と心に決めたんです」)
■外見でなく内面から過激さを描きたい
―今回はキャスティングも最高です。特に裏生徒会副会長・芽衣子役の護(まもる)あさなさん。超絶ボディを見せつけながら、ムチを振り回し、男を罵倒(ばとう)するSっぷりにはドキドキです。
井口 護さんとは以前、お仕事したことがあって、芽衣子役は彼女しかいないと思ってました。なんの役か教えずにオーディションに来てもらい、ムチを叩き言葉責めをしてもらいました(笑)。ただ僕の中で彼女が決め手となったのは外見だけじゃないんです。
―というと?
井口 原作では芽衣子は本来Mで、訳あってSとなったことが描かれてて。だから、ただの女王様芝居じゃダメなんです。護さんも実は優しい人で、どちらかといえば受け身タイプ。彼女ならその外見と内面の両方をバランスよく演じられると思ったんです。
―過激な表現を表面だけでなく、その背景から描くための人選でもあったと。
井口 芽衣子に限らず、平本先生の原作では登場人物ひとりひとりのバックボーンが描かれてるんです。みんなが何かを抱え、必死に生きている。だからこそ、ただのギャグマンガじゃない素晴らしい青春ドラマにもなっている。そこを描きたかったんです。
―男子で印象に残ったのは、三国志オタクのガクト役を演じる柄本時生(えもとときお)さん。第3話では、友情のために女子がいる中で脱糞するシーンを怪演! 女のコにモテなそうな童貞キャラとダメっぷりがすごい…。ただ、原作以上に妙にカッコよく感じました。
井口 確かに。男子に関しては共感して撮ってますね。
童貞をカッコよく撮ってやろう!
―監督は以前、童貞の味方だと語っていましたが、同じにおいを彼らに感じてる?
井口 童貞の味方って意識は相変わらず強いです。僕自身、初体験が27歳と童貞歴は長かったし、一時期あった童貞ブームの時は、頑張ればモテそうな人まで童貞とか言ってましたけど、「違う、頑張ってもモテないやつが童貞なんだ!」って違和感を覚えてました。僕自身、中学の時はモテなさすぎてゲイになろうと思ったこともあったし。
―ゲイにですか?
井口 一度、クラスの友達を思い浮かべて興奮しようとしたんですけど、途中で諦めました(笑)。僕は童貞って、決して報われなくても、どんなに情けなくとも何かに向かってひたむきに頑張れる存在だと思うんです。そして、僕はそれが男のカッコよさでもあると思っていて。
だから女子がいる中で脱糞する姿をカッコよく撮ってやろうと(笑)。男が本気で決断する姿はこういうことなんだぞってくらい気合いを入れました。
◆他のキャスティングエピソード、さらなる見どころまで…。このインタビューの続きは『週刊プレイボーイ』50号でお読みいただけます!
(取材・文/大野智己 撮影/下城英悟)