この年末にふたりの“レジェンド”が復活する。
ひとりは、マンガ家・猿渡哲也(57歳)。累計1千万部超の格闘マンガ『高校鉄拳伝タフ』、『TOUGH』の“外伝”が12月21日(月)発売の『週刊プレイボーイ』 1.2合併号から連載開始されるのだ。本格・格闘マンガを描くのは実に3年ぶり!
もう一方は、総合格闘技のリングに復活する“世界のTK”こと格闘家・高阪剛(こうさか・つよし 45歳)。12月29日、新格闘技イベント「RIZIN(ライジン)」で9年ぶりにカムバック!
高阪は総合格闘技の黎明(れいめい)期からPRIDEなどで戦い、2006年引退。以降は自身のジムで多くの強豪選手を育ててきた。最近はラグビー日本代表のスポットコーチを務め、W杯での大躍進を支えた功労者として注目を浴びている。
そんなふたりに、熱き“復活”の思いを聞いた!
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猿渡 TK(高阪氏。以下同)からラグビー日本代表のコーチをやるって聞いた時は、何を教えるの?って思ったけど、結果的にW杯でみんなの知るところになったね。
高阪 2012年からコーチを始めたのですが、まずヘッドコーチのエディー・ジョーンズさんに言われたのは「選手に戦う気持ちを植えつけてほしい」ということでした。
猿渡 もちろん精神面の指導もあるだろうけど、TKは技術的なことを的確な言葉で説明するのがうまい。格闘家って大ざっぱな人が多いじゃない? 理屈じゃなくて、ガンと行け!みたいな(笑)。
高阪 頭の中でカタチとして記憶しているので、言葉にならない場合が多いんですよね。アレをゴン!ってやったらドカン!!とか(笑)。
猿渡 まぁ格闘家同士なら感覚でわかるんだろうけど、違う競技の選手を教えるのは大変だよね。あの五郎丸に低空タックルとかを教えていたんでしょ?
高阪 日本代表になるほどの選手たちですから、低くタックルしろと言えば、できるんです。でも、国内の試合では高いタックルでも相手を倒せてしまうので「低いタックルが必要なんだ」という意識が浸透していなかった。
W杯で戦う海外の選手は自分たちより体も大きく、足も速い。腰のあたりにタックルしても弾かれて終わりです。「タックルはとにかく低く、目線は前に」ということを、自分を含めたコーチ陣が3年半かけて選手たちに刷り込みました。
猿渡 地味で、苦しい練習を何度もやり続けたわけだ。
日本代表の活躍に触発されて現役復帰?
高阪 今年は4月からW杯までの5ヵ月間、ずっと九州でキャンプを張って、とてつもなく苦しい練習を常にやっていたんです。選手たちは疲労がたまっている上にフィジカルトレーニングをして心肺機能も高めて…日曜日以外、朝から3部練ですからね。普通できないし、もたないです! それをずっと見てきたので、W杯のあの結果は感慨深かったですね。
猿渡 それに触発されて現役復帰しようと?
高阪 うーん。確かに影響はありましたね。最後のひと押しになったというか。
猿渡 じゃあ、復帰はいつ頃から考えていたの?
高阪 2006年の5月6日からですね。その前日にマーク・ハントと試合して。
猿渡 引退試合の翌日じゃん!
高阪 「戦いたい」って気持ちはあったんです。ただ、その気持ちはいつ萎(な)えるかわからないし、そこは自然の流れに任せて。でも、トレーニングは積んでいました。
復帰を明確に決意したのは昨年10月頃。そこから練習の強度を上げていって、今年3月くらいに、これならリングに上がれるだろうというところまできた。
そして海外を含めて上がるリングを模索していたところに(PRIDEの主宰者だった)榊原信行さんが新イベントを立ち上げると耳にして。日本で年末に格闘技イベントが復活するなんて予想していなかったので、本当に不思議な巡り合わせとしか思えないんですよ。
◆このインタビュー記事全文は、発売中の『週刊プレイボーイ』52号でお読みいただけます。
■高阪 剛(こうさか・つよし) 1970年3月6日生まれ、滋賀県出身。格闘家。自身のジム「ALLIANCE」で後進の育成にあたる傍ら、大躍進を遂げたラグビー日本代表のスポットコーチを務めた。12月29日、新格闘技イベント「RIZIN」で9年ぶりにリングに復活する
■猿渡哲也(さるわたり・てつや) 1958年6月25日生まれ、福岡県出身。『海の戦士』(『週刊少年ジャンプ』)でマンガ家デビュー。代表作『高校鉄拳伝タフ』『TOUGH』はコミックス、リミックス合わせて累計1000万部超の大ヒット。
『TOUGH外伝 龍を継ぐ男』 『週刊プレイボーイ 1.2合併号』(12月21日月曜日発売予定)から連載開始!
●第1話のあらすじ 頭脳明晰、最高学府にトップで合格した主人公・龍星は「大学には行かない」と養父に申し出る。そんな折、唯一の理解者である実母の死に直面。これまで不満を抱いていた、養父や異母兄の家を龍星は飛び出す――。
●『TOUGH』の世界とは…!? これまでのあらすじ 最強の実戦的古武術として名高い、灘神影流15代当主・宮沢熹一。世界最強を決めるハイパー・バトルで、育ての父である14代当主・宮沢静虎を倒し、自分の出生を探る旅に出る。“悪魔と呼ばれた男”、静虎の双子の兄・宮沢鬼龍の力などを時に借り、旅の末、灘神影流の源流、幽玄真影流の当主・日下部覚吾のもとにたどり着く。自分の実の父ともしれない、覚吾と当主同士の激闘を繰り広げ、勝利。その後、灘神影流と幽玄真影流を統合した灘・真・神影流を熹一が継ぎ、幕を閉じる。
(取材・文/中込勇気 撮影/橋爪英典)