11月にコンビ結成20周年記念単独ライブDVD『野性爆弾 初! ネタのみGIG』をリリースした野性爆弾。左から“くっきー”こと川島邦裕、“ロッシー”こと城野克弥

11月にコンビ結成20周年記念単独ライブDVD『野性爆弾 初! ネタのみGIG』をリリースした異色のお笑いコンビ・野性爆弾

本人たち曰く、「15年は下積みだった」という過去を振り返り、芸人人生のターニングポイントや今も忘れられないライブ、そして解散危機もあったという20年の歩みを語ってもらった!

ロッシー(城野克弥)これまでの20年はいろいろありましたけど、ほんまにアッという間でしたね。

くっきー(川島邦裕) ボクらが1994年にNSCに入った時、芸歴20年の方たちは師匠レベルな人ばかりでしたからね。

ロッシー ボクらがそこに追いついているかというと…。

くっきー 全然ちゃいますね。20年前と何も変わっていないと思いますから。変わったことといえば、結婚して子供が生まれたことくらい。

ロッシー ほんまやなぁ。

くっきー ボクらはシュールなコントばかりやってますが、子供が生まれた時に一瞬だけ考えたんですよ。一般ウケ、世間ウケする漫才をしようかなって。NGK(なんばグランド花月)を背負って立つような正統派漫才をやろうと思ったんですけど、どうやってネタを作っていいかわからなかった。だからもう、このまま同じスタイルでいこうって。

ロッシー ネタ作りやネタ合わせもほとんど変わらないですね。

くっきー ネタはボクが作っているんですが、事前のネタ合わせは2回くらい。稽古がめっちゃ嫌いなんです。

ロッシー ちゃんとネタが決まり切っていないところもあるので、ボクは毎回本番前にドキドキしていますよ。

例えば、ネタには「電話」って書いてあるだけで、こっちは本番で川島が何を言うかわからない。舞台で「もしもし~」って電話をかけてみて、ようやくその会話がわかったりするんです。電話を切ったと思ったら、切れていない時もあるし(笑)。素のリアクションをしていることが多いですね。逆に、何を言われるのか楽しみだったりもします。

由緒正しき女子大学の学園祭でガチギレを…

─この20年で一番覚えている舞台は?

くっきー 大好きなネタがあって、それはロッシーが鳴門海峡の渦潮に巻き込まれて鍾乳洞に辿(たど)り着く設定。そこには男性の死体がいっぱい転がっていて、突然出てきたボクがチ○コを鎌で切っていくというネタなんです。それを由緒正しき女子大学の学園祭でやったら…ガチギレされまして。それ以来、出禁になってしまいました(笑)。

ロッシー そんなことあったなぁ。ボクらは怒られることが多いんですよ。先輩や師匠に怒られることもしょっちゅうで…。

─一体、何をして怒られたんですか?

くっきー それだけはガチで言えません!

─わかりました(笑)。20年を振り返ってターニングポイントになったことは?

くっきー 2006年にヨシモトファンダンゴTVというCS放送で『野爆テレビ』という冠番組を持たせてもらったことですね。当時、ボクらはずっと大阪が拠点だったんですけど、東京吉本の楽屋でもその番組が流れていて。先輩方に「野性爆弾っていう変なコトをやるコンビがおる」って認識されるようになったんです。そこからですね、東京の番組にもちょいちょい呼ばれるようになったのは。

ロッシー ただ当時、東京のTVに慣れるのは大変でした。大阪の感覚でめちゃめちゃなロケをしていたから、ほんまによう怒られたんです。

くっきー 今でも忘れられないのが、ある番組のロケで老舗(しにせ)のまんじゅう屋さんに行った時…。

ロッシー ボクとお店のご主人が話している横で、川島が話も聞かんと何かモゾモゾやっているんですよ。何しているのかと思ったら…。

くっきー おまんじゅうで女性器を作っていたんです。しかも、かなりリアルなヤツ(笑)。

ロッシー 当たり前やけど、ご主人がめちゃめちゃキレて、結局そのロケはお蔵入りに…。後からディレクターさんにも「地上波のTVでやっていいレベルを考えてください」って怒られました。

くっきー TVで女性器を作ってはいけないんだって、その時覚えました(笑)。

─めちゃくちゃやりすぎです!

くっきー でも、ボクは怒られても落ち込んだりしないんですよ。人生80年だとして、例えばそれをグラフにして1分刻みで見ると、30分怒られてもグラフでは数ミリのことでしょ? だったら、気にしてもしゃーないかなって。

ロッシー 怒られるつもりでやっているわけやないんやけどなぁ…。

月収5~8万円が15年くらい続いて…

─20年間の中で解散危機もあった?

ロッシー ありましたよ。あれは「base よしもと」(現在は閉館した劇場)に出ていた頃だから、15年くらい前かな。

─何が原因だったんですか!?

くっきー ボクは“やりたがり”なんですよ。絵を描いたり、音楽を作ったりするのも好きですし。その時、ちょうど芸人以外にもやりたいことが見つかって、ロッシーに楽屋で「他のことやりたいから辞めるわ」って伝えたんです。そうしたら目に涙をパンパンにしながら「もうちょっと頑張ろうや。これから売れるかも知れへんから今はガマンしよう」って言うんです。確かに、生活がしんどいっていうのもあったんですよね。

ロッシー 仕事が全然ないからお金も全くない。月収5~8万円っていうのが15年くらい続きましたからね。

くっきー 借金もバカみたいにこさえてね。

ロッシー もちろん、コンビやから川島の気持ちも十分わかっていたんです。けど、もう少し一緒にやりたかった。だから、こうして無事に20周年を迎えられたのは本当に感慨深いですよね。

くっきー あの時のロッシーの涙が今日に繋(つな)がっているんやなぁ(しみじみ)。

─では最後に来年の目標をお願いします!

ロッシー ここまできたら焦らずにマイペースで仕事を続けていきたい。

くっきー ボクもスタイルを変えようとは思っていないので、今のまま目茶苦茶やっていきたいですね。

(取材・文/高篠友一 撮影/村上庄吾)

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