キレッキレな「ルカルカ」ダンス動画でまさに“フィーバー”して以来、踊り手をして活躍する愛川こずえ

インターネット界で数々のエンタテインメントを生み出してきたニコニコ動画(以下、ニコ動)。そのひとつが“踊り手”と呼ばれる人々が、独自の振り付けやアイドルのダンスを踊る踊ってみた”だ。

2008年頃から始まったが、アイドルが挑戦したり、また企業も参加するなど、一時は大ブームに。最近では、「Vine(バイン)」など手軽に撮影できる動画アプリの普及によって、ニコ動を飛び出し、多少スタイルを変えたものまですっかり定着した。

再び、そのブームは来るのか。2009年に配信した「【こずえ】ルカルカ★ナイトフィーバーを踊ってみた【らめらめよ!】」(以下、ルカルカ)がこれまでニコ動とYoutubeで合わせて約1500万回以上再生されるなど、黎明期から踊り手として活躍する愛川こずえに、当時を振り返りながら語ってもらった。

―早速ですが、「踊ってみた」はいつから始めたんですか?

愛川 高校2年生の夏休みだから2008年ですね。幼稚園の頃から中学生の時までやっていてダンスが好きだったので、自分もやってみようかなという軽い気持ちでした。

―実際、始めて少ししてから「ルカルカ」で火が付いたんですよね?

愛川 そうですね。投稿してすぐ伸びたというよりもじわじわ伸びてる中で、当時の有名な踊り手さんが真似して踊ってくれたあたりからバーンと伸びたんですよ。

―いきなり注目を浴びたというわけですね。

愛川 そうなんですけど、当時も今も数字だけなので実感ってよくわからないんですよね。何百万再生と言われても(笑)。でもポジション的にはネットアイドルみたいな感じなので、それが楽しいなと思って続けていました。

―やっぱりチヤホヤされて、ということですか?

愛川 私、元々、声優になりたくて、ダンスやお芝居を学べる学校に入学したんです。でもそれが全部、選抜みたいな激しい競争で、ちょうどその頃それに疲れてしまって、学校に行けてなかったんですよ。

―そんな過去があったんですか!

愛川 でも、やっぱり配信すると反応が返ってきて、ちょっとホッとしたというか、認められた感覚がありました。誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)ももちろんあるけど、「そういう所なんだろう」と思っていたので、別に「そっかー」とか「確かにウケる(笑)」って感じで楽しいんですね(笑)。

学校の授業でも後押し、ブーム再燃?

踊り手としてニコ動イベントなどに多数出演。ネットアイドル的な存在として人気を呼んだ。「ルカルカ」は初めて自身で1曲通して振り付けしたが、創作には1ヵ月かかったそう

―ちなみに一番印象に残っている反応とかありますか?

愛川 以前、学校に行けてない方からのファンレターで「こずえちゃんの動画を観ると元気が出るので学校に行けるようになりました。」ってあったんですよ。大げさかもしれないけど、なんとなくやりだしたものが人を救っているみたいな感じでかなり嬉しかったです。

―それは嬉しいですね! 話を戻しますが、09年の10月には愛川さんも所属していた踊り手たちを集めた「DANCEROID」が結成。12月にDVDを出すなど、アイドル化が本格的に確立してきましたよね。

愛川 そうですね。でもニコ動は全般的にですが、イベントに出演するたびに狭い世界で独特な文化だと感じますね。同じ動画サイトでもユーチューブのユーザーや文化とも別物です。

―他に“踊ってみた”が変わってきたことはありますか? 世間的には13年にAKBの『恋するフォーチュンクッキー』でいろいろな人がやっていたりしましたが。

愛川 特にそれで私の動画のアクセスが増えたわけではないので、実感はないですけど。踊り手は増えたとは思いますね。それ以上に、今は学校でダンスの授業があるので、「何踊ろうかな」「どんな踊りがあるかな」ってニコ動を見始めて「踊ってみたの曲、踊りました」っていう話はよく聞きますね。

―11~13年の間に小中高のダンスが必修化された影響も。

愛川 そうですね。それで中学生くらいの視聴者が増えました。コメントも若くなったと言われています。それから踊り手が学校のイベントに呼ばれたりしています。私も大学の文化祭に呼ばれますし。

―裾野が広がったわけですね。それでさらに踊り手が増えたり、再ブーム化すると思いますか?

愛川 2月末に“ニコニコ踊ってみたフェス”っていう“踊ってみた”だけのニコニコ動画公式イベントが開催されるんですよ。これは以前開催されていた“ニコニコダンスマスター”のようなイベントで、13年以来、3年ぶりの開催なのでまたちょっと盛り上がるのかなとは思いますね。

自分の実力不足を痛感したんで…

「DANCEROID」時代にプロダンサーのレッスンで表現方法などを覚えたそう。現在は「そこで学んだものをメンバーに伝えるよう心掛けています。できているかわからないけど(笑)」

―さらに飛躍するかもしれませんね。愛川さん個人のことも少し聞きますが、先ほどの「DANCEROID」を経て、現在は「I LoVU(あいらびゅ)」というアイドルグループのリーダーとして活動されていますね。元々、アイドル志望もあったんですか?

愛川 絶対アイドルになりたいわけではなくて、イベントに呼ばれるようになるくらい有名になれたらいいな、とは思ってやっていたんですよ。なので「DANCEROID」も「じゃあ、やってみまーす」っていうくらいの気持ちで始めてみました(笑)。基本的にあんまり深く考えず、思ったそのままの気持ちで行動してます(笑)。

―すごく行動的でいいことだと思いますよ! 「I LoVU」も思い立ってですか?(笑)

愛川 「DANCEROID」を卒業して半年くらいひとりで活動していたんですけれど、そうなってみて自分の実力不足を痛感したんですよ。あと、ファンの人が見たいのは踊っているところなのかなって思ったらソロは違うかなって思って、自分から提案してメンバーも選考したんですよ。

―リーダーの責任重大ですね!

愛川 “踊ってみた”のイベントに出始めの時は自分が1番年下だったので、結成して1年くらいはどうしたらいいんだろうって(笑)。それに今はメンバーにダンスを教える立場なので、どう教えたらいいかとかも考えないといけないので(笑)。

―では、最後に今後の目標をお願いします!

愛川 私個人でも活動しているんですけど、「I LoVU」をメインにしたいです。ずっと思っていたんですけど、できていなかったので2016年は「I LoVU」中心になる1年にできるように頑張ります!

●愛川こずえ(AIKAWA KOZUE)2008年以来、“踊り手”として活動し、「【こずえ】ルカルカ★ナイトフィーバーを踊ってみた【らめらめよ!】」が話題に。個人の活動以外に13年に新ユニット「I LoVU」(あいらびゅ)を結成し、アイドルイベントやニコニコ生放送へのゲスト出演などで活躍。1月11日(月・祝)には、ILoVUワンマンライブ「らびゅらいぶ」を予定

(取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/五十嵐和博)