有村架純らが出演し話題の月9『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ)で、連続ドラマ初出演ながら注目を集めている桜井ユキをご存知だろうか。
桜井は24歳で女優デビュー。当時は舞台などで活動していたが2013年より映画の世界へ。三池崇史監督の『極道大戦争』や園子温監督の『新宿スワン』『リアル鬼ごっこ』など、巨匠の作品で鍛えられてきた実力派女優なのだ。
そして、ついに今年『フローレンスは眠る』(小林克人・健二監督、3月5日公開)では初ヒロインを飾った。いまだ謎に包まれた彼女の素顔を直撃した。
―5年前、24歳でデビューということですが、どんなきっかけでこの世界に?
桜井 小学生の頃から女優になりたいという思いはあって、それ以前にもスカウトしていただいたことはあったんですよ。でもその時はまだ役者に対して強い思いがなかったので、お断りしていました。
―それがなぜやる気に?
桜井 今のマネージャーさんに声をかけていただいたんですけど、その時に「今やらないともうチャンスないと思うよ」とボソッと言われたんですよ。それがすごい届いたというか「もう今なんだ」って怖くなって、それで決意できたんです。それがなかったら、今でもくすぶってダラダラしていたんでしょうね。
―ある意味、脅迫ですね(笑)。でも、それまで全く演技経験もなかったんですか?
桜井 それまでは全然まったく、経験ゼロです。思っていただけで何もせずでした。だから初めてワークショップとかに通い詰めたんですけど、毎日コテンパンにされましたね。
恥ずかしいことも限界突破で…
―そんなハードだったんですか!?
桜井 芝居の基礎を学ぶワークショップでは感情面の開放をやったんですけど、自分の過去の出来事からトラウマから嫌なことから、とても人前じゃできないような恥ずかしいこともさせられるんですよ。
―例えば?
桜井 傍(はた)から見たら「えっ!?」ってなるのは童謡の「鳩ぽっぽ」ですね。
―誰でも歌える曲ですよね。
桜井 それをいかに自分のたがを外して歌えるかという試練なんですよ。それが怒り狂うのか、泣き叫ぶのか、笑い泣きながらなのか、とにかく周りがどう思っているかを考えずに、そのスイッチの切り替えができているかを演出家の方が見ているんです。しかも、ひたすらそれができるまでやらされるんですよ。
―普通は恥ずかしいですよね。
桜井 でも人間、体力と思考能力が低下するといけちゃうんですよね(笑)。限界突破すると自意識がなくなるんですかね。だからそれが本当に衝撃的で。でも今思っても必要なトレーニングでしたよね。
―そこで得た経験が非常に大きいと。
桜井 そうですね。心が凝り固まっていることをすごく自覚していて、自分をさらけ出すのが怖かったんですよね、それまで。でも凝り固まっていたものが取れた瞬間、楽しかったんですよ、お芝居も人生も両方。だから、プライベートでも助けられたなと思っています。
学生時代は息苦しい恋愛も
―もともと桜井さんはどんな性格だったんですか?
桜井 人が嫌い、人と話すのが苦手、友達も少なくて、上手く笑えなかったですね。本当はそう思っていなくても、ただこの場ではこうしておいたほうがいいなと、表面的な世界で生きていて、心は暗かったです。自分が嫌いっていうんですかね、今となれば何が楽しくて生きていたのかわかんないですね。
―学生時代に恋愛などはなかったんですか?
桜井 恋愛とかに対しても、高校時代とかは相手に対して素直になるとかできなかったんですよね。なんか息苦しい恋愛でしたね。若かったので恋愛というもの自体は楽しいんですけどね。
―それは何かコンプレックスのようなものがあったんですか?
桜井 ん~そういうわけではないんですよ。コンプレックスはあっても、この口元のホクロですかね。昔はこれが嫌いで、お化粧で消していたんですよ。でも「それはチャームポイントだよ」って言ってもらって、今はそれを受け入れています。
―セクシーで素敵ですよ!
桜井 アハハ、ありがとうございます(笑)。
●明日配信予定の後編では、女優としての意識や初ヒロインを務めた『フローレンスは眠る』に関して、意外な舞台裏も暴露!
■桜井ユキ(さくらい・ゆき) 1987年生まれ、福岡県出身。2011年に女優として舞台やCMに出演。13年からは映画へと活躍の場を移す。今年は『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ)にもレギュラー出演し、連続ドラマデビューを果たした
(取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/五十嵐和博)