24歳でデビュー。29歳になった今年、“遅咲きの実力派女優”として話題の桜井ユキ。そんな彼女が初ヒロインを務める映画『フローレンスは眠る』(小林克人・健二監督)が5日、公開された。
昨年5月の全国ロードショーで大ヒットとなった『新宿スワン』に出演した際は、数々の国際映画賞を受賞している園子温監督に認められ、出番が増えたというエピソードもあり、今後ますますブレイクが期待される中、本人を直撃!!
前編記事(「月9“いつ恋”で話題の遅咲き女優『何が楽しくて生きていたのかわかんない』」では、デビューまでの道のりや意外な人柄も明らかになったが、後編ではデビューからこれまでの女優業について聞いた。
―実際、女優となって苦労したこととかありましたか?
桜井 『トーク・トゥ・ザ・デッド』(鶴田法男監督)っていうホラー映画で、頭の悪いぶりっコの風俗嬢役を演じたんですけど、それはすごく難しかったですね。その役と向き合った時に自分とかけ離れていて、どうしていいかわからなくて苦しかったです。
―桜井さん自身、こうして話していると、しっかりした落ち着いた感じですもんね。
桜井 でも、現場でやっていくうちに馴染んでいったような感じだったんですよ。すごく嬉しかったのと、監督から「いい」って言われたシーンもあって、そこから自分とどんなに離れていようがいけるんだなって思いが生まれて、いろんな役をやってみたいなと思いました。
―『極道大戦争』(三池崇史監督)や『リアル鬼ごっこ』(園子温監督)など独特な作品にも出演されて。そこでも、その風俗嬢役を演じた経験は生きているんですか?
桜井 だと思います。演じる上で、その世界観に違和感を持っちゃいけないと思うんですよ。偉そうですけど、「私、なんでこんなことやってるんだ?」と思った瞬間に画(え)として出ちゃうと思うので、そういう面では、その世界に生ききる、落とし込むってことをしなきゃいけないんだと思うんです。そういう経験をしたからなんでもできちゃう。お芝居に関してはためらいはなくなりました。
―特に園子温作品ではドラマも含めて『リアル鬼ごっこ』まで立て続けに出演したことでも注目されているかと。プレッシャーは感じますか?
桜井 どうなんでしょうね。特に園監督自身は何も仰っていないので、そういう感覚はないですね。どうだかわからないというのが正直な話ですね(笑)。
母性溢れる桜井ユキのタイプは?
―なるほど。今回、初主演となった『フローレンスは眠る』では監督がふたり組という変わったスタイルでしたが。
桜井 そうなんですよ。最初はそこが不安でした。お互い意見が一致しなかったらどうするんだろうとか。でも兄弟だからか本当にズレがなくて、描いているものが最初から最後まで一緒なんだなって。ひとりふた役、分身みたいな感じなので楽しく撮影できました。
―ただ、シリアスなストーリーでずっと笑顔がなく、残念でした(笑)。
桜井 常に顔が強張(こわば)っているようなコでしたからね(笑)。ただ感情の動きはすごくあって、それを顔に出さないようにしながら、でも観ている人にその動きはわかっていただきたいというのはあるので。その微妙なさじ加減がすごく難しかったですね。
―それに岸明日香さんとの三角関係もドロドロして、女の怖さが伝わりますよね。
桜井 明日香ちゃんがそういうキャラを持ってきてくれたし、純粋にイラッとしたというか、気持ちがこもってますね。危うく舌打ちをするところでした(笑)。ああいうシーンに限らず、“言葉尻にでない悪意”というか不穏なやり取りは現実にもあると思うので、そういう部分もリアルで面白いと思いますよ。
―ネタバレになるのであまり言えませんが、ラストシーンの表情も印象的でした。
桜井 元々はあんな終わり方じゃなかったんですよ。なので試写会で観て、私も初めて知りました。いくつかパターンを取っていたので。だから最後の最後に女性らしく素直になれたのかなと、後から自分で観て思いましたね。
―最後に、映画では恋愛も絡んでいますが、桜井さんはどんな男性に魅力を感じますか?
桜井 私、たぶん女性本能が強いんですよ、だから自分の母性が働く人のほうが好きになるんだと思います。やっぱり、精神力や腹黒さは女のほうがあると思うので、男の人の純粋な部分を前面に出して楽しんでるくらいの無邪気で素直な人に惹かれますね、なんだろ…飽きないと思うんです(笑)。
―今日はありがとうございました!
■桜井ユキ(さくらい・ゆき) 1987年生まれ、福岡県出身。2011年に女優として舞台やCMに出演。13年からは映画へと活躍の場を移す。今年は『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ)にもレギュラー出演し、連続ドラマデビューを果たした
(取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/五十嵐和博)