韓国で数々のアーティストをヒットさせたカン・ドンチョル氏

韓国でレッスンした日本人のガールズグループ「CHERRSEE(チェルシー)」が5月25日にデビューする。

彼女らのプロデュースを手掛けるのは、K-POPアーティストのプロデュースや楽曲提供している「勇敢な兄弟」ことカン・ドンチョル氏。

彼が携わった面々は、BIGBANGや4Minuteなど日本でも人気のグループが目立つ。いわば、韓国のヒットメーカーだ。一体、そんな人物がなぜ日本でガールズグループを結成したのか。

―早速、本題ですが、なぜ今回、あえて日本でデビューする日本人を起用したのでしょうか?

カン 元々、知り合いの日本のマネージメント会社の方と「日本のアーティストでも今までにないグループを作れるんだ」っていうところを見せたかったというのがきっかけですね。

―今までにないとは?

カン 僕自身がCHERRSEEをいろいろなジャンルの音楽をやるためのグループとして頭の中で描いたんですね。それで今回のデビュー曲もポップな形にしました。でも、今後の曲はロックな感じが出てくるかもしれないですし、その次はセクシーなものかもしれない。「次は何が?」と世の中の人たちが常に期待を持てるようなパフォーマンスグループにしたいなと思っています。

―デビュー曲の「Mystery」では、K-POPをイメージしていたのですが、ゆったりしたテンポで少しイメージとは違って新鮮でした。

カン そうですね、あえてK-POPと分けられないようにしました。その独特な「フックソング」の要素はありますが、曲全体ではいろいろなカラーがたぶん見えてくると思いますね。結局、K-POPもJ-POPも分けずに、いいメロディーというのは世の中の人達に愛されるものだと。今後、そういう曲が出てこなきゃいけないと思います。

―なるほど。そうした時に彼女らを選んだ理由はどこにあったんですか?

カン そもそも才能やスキルは重要ではないと思っています。本当に「デビューしてやるんだ」っていうやる気など、目を見ていてそういう何かが伝わってきました。だからこそ、このコたちは習得力が高かったです。

日本人アーティストに足りないものは…

―では、そんな彼女たちの強みは?

カン 5人がお互いの足りないところを補えているところです。ガールグループにはパフォーマンスも歌もビジュアルも必要です。それぞれがその役割を果たして、全てを兼ね備えたことは、ひとつのストロングポイントになっていると思います。それがチェルシーです。彼女たちを、必ずしも日本だけでなく、アジアやヨーロッパでも愛されるグループにしたいと思ってます。

―一時期、韓流がアジアを中心に海外進出で成功していました。日本のアーティストでそこまでの印象はない気もします。なぜだと思いますか?

カン 日本人が世界に認められていないのではなく、今後、いくらでも愛されるし認められると思っています。ただ韓国のグループっていうのは、国内用だ、どこ用だ、というのを限定せずに全くないんですね。ただ、いいものを正確に作っていく。そういう意味では、J-POPはまだ何かパフォーマンスなどに、力があって正確でっていうのが今ちょっとないのかもしれないですね。

―彼女たちは、そこを超えようと目標にしているわけですか?

カン そうですね、彼女たちは時間がない中、レッスンなど期待通りの成果をみせてくれました。それを見てきたので、今後このコ達が変化する姿にワクワクしています。自分の頭の中にイメージをたくさん描いているので、それが叶った時、すごいことになるのかなと思います。

常に新しいものを見せられるようなアーティストが日本で成功を収めたら、音楽業界もさらに多様になると思いますし、今後は彼女たちが音楽の世界の頂点に立てればいいなと思ってます。

カン・ドンチョル2004年、兄・フクチョルとのユニット「勇敢な兄弟」でデビュー。その後、個人として作曲やプロデュースもするように。BIGBANGや4Minuteなど国内外で人気のグループを手掛ける

(取材・文/鯨井隆正)