現在、５６歳の井手らっきょ。「全く鍛えてない」と言いながら、いつ裸になっても恥ずかしくない体。本誌記者（左・４０歳）との差は歴然昨今の芸能界は“裸”をウリにする芸人が大人気だ！ 知的だったり、センスで勝負するお笑いもいいけど、やっぱり見た目が面白ければ、それだけで楽しいじゃん！ そんな芸人の元祖かもしれない井手らっきょを直撃！
―らっきょさんは、いつぐらいから脱いでるんですか？
井手 今から３０年以上前、たけし軍団に入ってすぐですね。もともと軍団は誰でも脱ぐ体制で、たけしさんも脱いでましたから。入る前から軍団の汚れキャラが好きでうらやましかったんです。
それまでの僕はピン芸人で、髪の毛もあって、事務所からアイドルっぽい売り方をされていたんです。でもそれがストレスで円形脱毛症になって。
―たけし軍団にはどうやって入ったんですか？
井手 たけしさんから誘われて。頭も剃（そ）っちゃえと言われ。スキンヘッドは恥ずかしかったんですけど、すぐに慣れて、開放的な気分になりました。
―軍団はみんな脱いでいたとのことですが、全裸といえば特にらっきょさんのイメージが強いです。
井手 でもたけし軍団でコンサートツアーに行くと、最後はみんな全裸で踊ってましたよ。一緒になって脱いでたら、だんだん脱ぎキャラ＝井手らっきょになって、みんな脱がず「井手行け！」みたいになって。たけしさんも「井手！ 今だ！」って言うようになり。
―らっきょさんが脱ぎキャラになっていったのはどうしてなんですか？
井手 たけし軍団は団体芸なんですよ。小さいボケから大きいボケに向かっていく。僕らの出ていた『スーパージョッキー』（＊）に「ＴＨＥガンバルマン」ってコーナーがあって、ゲームやアクションに挑戦するんです。基本的にはアドリブで、痛いとか熱いとかボケを考えながら、自分の番を待つんですけど、（ガダルカナル・）タカや（つまみ）枝豆の段階で、もうボケがなくなっちゃう。
野球でいうなら１番が出て、２番が送りバント、３番４番がドカンと。僕の前の４番がラッシャー（板前）で満塁ホームラン級のいいボケをかますんですよ。もう僕のやることがなくなって脱いじゃったんです。それがウケて。
（＊）『スーパージョッキー』は日本テレビ系列で１９９９年まで日曜午後に放送されていた、ビートたけし司会のバラエティ番組
―なるほど。
井手 あと、３番にダンカンがいて、またいいボケするんですよ。焦ったラッシャーが空振り三振しちゃうこともあって、そこを僕が裸で締めて。
とにかく明るい安村、ハリウッドザコシショウなど芸能界は空前の全裸ブーム！ そのオリジンこそ、この人！
伝説の熱湯コマーシャルで前だけパネルで隠し…
―裸芸でホームラン！ ちなみに、どんなゲームがあったんですか？
井手 水中ジェスチャーとか。これは海パン一丁なので脱ぎやすかったです。ジェスチャーしながら脱いでいって「何やってんだ、おまえは！」って、たけしさんにツッコまれ。ディレクターからも「裸、ＧＯ！」とか「井手ＧＯ！」とか指示が出るんですけど、しまいには「バカ、ＧＯ！」。スーパージョッキーでは、九割九分裸になってましたね。
―ほぼ毎回じゃないですか。
井手 でもクレーマーがいて、ＴＶ局に毎回電話が来てたらしいんですが、気にせず脱いでたら、ついに警視庁に電話しちゃったんです。それで警視庁からＴＶ局に連絡が来て「井手らっきょという芸人が裸になっているという情報があった。ＴＶはモザイクがあるけど、スタジオ観覧者への公然わいせつ罪になるから警視庁へ来てくれますか」と。
―まさかの逮捕ですか！？
井手 始末書で済んだんですけど、「平成何年何月何日。千代田区日本テレビＣスタジオで、ガンバルマンというコーナーで私は陰部を露出してしまいました。二度とこのようなことがないようにいたします」と書かされて。
―あの番組の裏にそんなことがあったんですか。
井手 それでもガンバルマンは収録だったので。でも『スーパージョッキー』は生放送の回もあったんですよ。熱湯コマーシャルという、素人さんが熱湯風呂を我慢した秒数だけ宣伝できるコーナーがあって、なぜか僕は知らないグループに交ざって「宣伝に来ました」と全裸で前だけパネルで隠し。
―すごい格好（笑）。
井手 そこで軍団から「何やってんだ！」って熱湯に落とされて。風呂から出たいけど、股間が映ったらアウトじゃないですか。股間をうまく隠しながら出るのが大変で。
◆このインタビューの続き、後編は明日配信予定！
セクシーさすら感じさせる修行僧のような後ろ姿。８年前に趣味で始めたダーツは、今ではプロを目指すほどの腕前。時間があれば毎日練習しているらしい
●井手らっきょ１９５９年１２月１１日生まれ、熊本県出身。全裸にハゲという芸人最強のスペックを持つ。運動神経も抜群で、かつては多くのスポーツバラエティ番組を席巻。神奈川県川崎市で写真のダーツバー「らっきょの小部屋」も経営
（取材・文／関根弘康 撮影／熊谷 貫）