伝説のキャスター・みのもんたが帰ってきた。しかも、ネット番組に…。
そこで本人を直撃。高視聴率を叩き出してきた男は今、何を考えているのか? その真相にズバッと迫る!
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―AbemaTVの『よるバズ!』でキャスターとして2年半ぶりの復帰。テレビではなくネットを選んだ理由はなんですか?
みの 僕は、せがれの問題(2013年に次男が窃盗未遂容疑で逮捕。その後、不起訴処分)でいきなりキャスターを降板させられました。
あの時、僕は番組を辞めるつもりはなかったんです。でも、マスコミからは「報道に携わる人間として、息子の責任をどう取るのか」と迫られた。そして、せがれの事件の真相よりも「僕が番組を降りるのか、降りないのか」のほうが世間の最大の関心事になっていった。それで仕方なく『朝ズバッ!』と『サタデーずばッと!』(ともにTBS)のキャスターを辞めたんです。だから、報道番組に関しては、自分の中で消化不良のようなものがあった。
で、この2年半の間にバラエティ番組に関しては、いろいろなお話をいただきました。でも、報道番組のキャスターのオファーはなかった。『よるバズ!』が初めてだったんです。それで、自分の中での報道番組に対する消化不良をなんとかしたいと思って、お引き受けしたんです。
元々、僕の中には「テレビ」と「ネット」の区別は一切ありませんから。ネット番組もテレビ番組と同じだと思ってやっています。
それにしても、あの騒動の時は世間というものがよくわかりましたよ。僕は「1週間で最も多く生番組に出演する司会者」としてギネス世界記録に認定されたんですが、そういう「頂点を極めた男の没落」みたいなものを求めている。皆さん、有名人やお金持ちがどん底に落ちていく姿を見たいんですよね。
僕は言いたいことを言って番組を盛り上げてきた
―最近だと、ベッキーさんの問題も、そんな感じなんですかね。
みの うん。ベッキーはかわいそうだよね。女房がいる野郎のほうが責められるならわかるけど、独身の若い女性が男に惚(ほ)れただけで叩(たた)かれて、すべての番組から引きずり降ろされちゃう。世の中、おかしいと思いませんか? でもゲスのほう(ゲスの極み乙女。の川谷絵音)を叩くより、売れてるベッキーのほうを叩きたいんでしょ、皆さんは。
―いや…。そういえば、ネット番組のキャスターをやるようになって、テレビとの違いを感じたりしますか?
みの ないです。まったく、ない。ただ、ひとつだけ言えるのは、地上波には放送法とかそういった規制やしがらみがありますが、ネットにはありませんよね。だから、僕にはもってこいなんです。言いたいことが言える。そこに違いというか、魅力を感じますね。なんだっけ? テレビ局に対して「偏った報道をしたら電波を止めてやる」とか言った女性の大臣がいたでしょ?
―高市早苗総務大臣ですね。
みの よく言うよね(笑)。「今度選挙がある。与党を褒(ほ)めればいいけど、そうじゃないと潰(つぶ)すぞ」っていう意味でしょ。
僕が『おもいッきりテレビ』を始めた時、『笑っていいとも!』がライバルだった。最初はまったく相手にもならなかったけど、ある時、僕が「大根が更年期障害にいいらしいよ」って言ったら、「テレビで更年期障害とはなんだ!」って視聴者からクレームが来た。次に60代、70代の女性に「お嬢さん!」と呼びかけたら「ふざけるな!」とお叱りを受けた。
そして、「おもいッきり生電話」っていう僕の顔しかテレビに映らないコーナーで、視聴者と電話で「悩みはなんなの?」「……時々」「時々、何をするの?」「……セ」「時々、セ? 何?」「……セック」って話になって、それで『笑っていいとも!』の視聴率を抜いた。あの時は嬉しかったなあ。
僕は、そうやって言いたいことを言いながら番組を盛り上げてきたんですよ。
◆このインタビューの続き、後編は明日配信予定!
●みのもんた(MINO MONTA) 1944年生まれ、東京都出身。キャスター、司会者、タレント。現在『秘密のケンミンSHOW』(日本テレビ系)や『ニッポン discoveragain』(文化放送)などにレギュラー出演中
(取材・文/村上隆保 撮影/村上庄吾)