50周年を機に様々な変化のあった笑点 ※公式サイトより

映画やアニメなどの影響もあり、若者や女性などこれまで希薄だった層に“落語”が浸透しつつある。

前編記事「暴走族の元総長に女子が出待ち? グラドルもハマる若手落語家人気とは」ではそんな現状とともに、イケメン落語家の登場など落語界に起きている変化を紹介した。

そんなブームに拍車がかかっている今、老舗長寿番組『笑点』が5週連続で視聴率20%突破と話題だ。

桂歌丸から春風亭昇太への司会交代で、またクローズアップされたわけだが、その歌丸も名を連ねた初代大喜利(おおぎり)メンバーの平均年齢はなんと28歳! 当時30歳だった立川談志を中心に若手だけでスタートしたチャレンジングな企画だったのだ。

だが今や、新司会となった最年少の昇太でさえ56歳…。

そこで、もし今、メンバーを大胆に一新し、若手落語家で選ぶならどんな人選になるのか…。演芸情報誌『東京かわら版』の佐藤友美編集長に「落語界も昔より入門年齢が上がって30代でも若手になりますが…」と前置きしつつ、「私が観たい」若手限定大喜利メンバーを考えてもらった。

春風亭昇也(しょうや・34歳)漫才コンビ出身で春風亭昇太門下の俊英。現代的センスは抜群で、高座はマクラも面白いと評判。まだ二つ目になって3年だが、ステージ上での安定感もある人気のメガネ男子。

三遊亭橘也(きつや・37歳)五代目円楽一門会の若手。筑波大卒業後、社会人となったが、05年に三遊亭円橘に入門。来年、真打(しんうち)に昇進するが、ゲイ好みのイケメンで、SNSでの言葉のチョイスにもセンスの良さを感じる。

春風亭一蔵(いちぞう・34歳)近年、弟子が増え続けている春風亭一朝門下の5番弟子。元テキヤという異色の経歴の持ち主。ノリがよく、豪快さが魅力で誰からも愛されるようなキャラクター。兄弟子の人気者・一之輔も注目する若手。

元吉原の呼び込みという異色すぎる経歴

立川吉笑(きっしょう・31歳)立川談笑門下で、シュールな内容を理詰めで噺を構築する理論派。わずか1年半で二ツ目昇進というスピード出世を果たした。さらに昨年には、立川談志の『現代落語論』からちょうど半世紀後に『現在落語論』を出版し話題となった。

桂宮治(みやじ・39歳)12年に二ツ目昇進とキャリアは短いが、6月に国立演芸場で独演会を開催するなど、若手では、トップクラスの人気で真打に抜擢されてもおかしくない実力の持ち主。前職の化粧品販売で鍛えたという、人を惹き付ける力は圧巻。

鈴々舎馬るこ(れいれいしゃまるこ・35歳)元吉原の呼び込みという異色すぎる経歴で改作古典落語を得意とする天才肌。キャットファイトの実況をしたりと、師匠・馬風の「なんでもあり」を受け継ぎつつ、ハローキティとコラボ手ぬぐいを発売するなど、アイディアマンとしても知られる。

というわけで、オール30代の平均年齢は35歳! 一気に若返り、清新なイメージに。もちろん現メンバーの人気は絶大だし、幅広い支持者を考えると冒険はできないだろうが、深夜に『ヤング笑点』なんてのもあり?

若者や女性にも広がる昨今の“落語ブーム”。一度、落語会に足を運んでみると、古臭いイメージとは全く違った世界を楽しめるかもしれない。酒席で自分だけの笑点メンバーを語り合っても盛り上がるのでは?

■東京かわら版創刊40年を越える老舗であり、日本で唯一の演芸専門誌。都内を中心に毎月1千件を超える落語・講談・浪曲など寄席演芸情報を掲載。落語好きにとってのバイブル。演芸界史上初、東西の落語家・講談師など1100名近くが掲載された『東西寄席演芸家名鑑』も発売中 http://www.tokyo-kawaraban.net/

(取材/文 鯨井隆正)