今回、ゆでたまご両先生とも選んだ一枚は同じ! それだけ気合の入った一枚なのだ! 今回、ゆでたまご両先生とも選んだ一枚は同じ! それだけ気合の入った一枚なのだ!

「週プレNEWS」連載中(毎週月曜更新)の漫画『キン肉マン』(ゆでたまご作)のジャンプコミックス最新巻の中から、ゆでたまご先生ご自身にお気に入りの原画を選んでご紹介いただくシリーズ企画“ゆで原画”第4回。

今回は7月4日に発売された『キン肉マン』JC55巻からの選定シーンをご紹介!

まずは原作シナリオ担当・嶋田隆司先生に選んでいただいたのがこの1枚(10ページより)。

天空の彼方から光の階段が現れ、そこをゆっくり降りてきたのは…長年、平和の象徴としてキン肉星に祀(まつ)られてきた伝説の「銀のマスク」。それが数億年ぶりに実体をともなってこの世に蘇(よみがえ)った“完璧・弐式(パーフェクト・セカンド)”シルバーマンその人であった!

嶋田隆司先生(ゆでたまご・原作担当)コメント

「この前話、JC54巻末がシルバーマンの初登場話で、ここはそれに続く登場2話目なんですが、本当に大事なキャラクターを出す場合はいつも、本当の勝負は2話目だと僕らゆでたまごは思ってて、その法則でいうとシルバーマンの勝負どころがまさに今回選んだこのシーンでした。ここをバッチリ決められるかどうかがこのキャラクターのその後を左右するといってもいいくらいの勝負の一枚絵ですね。

というのも新キャラを出す場合、初回はいつも半分実験みたいなものなんですよ。それまでいくら準備して造形をこしらえても、それはあくまでザッと描いたラフで、背景や効果もついてないし、微妙なところまでは見えてこない。大事なのはそれを原稿として描いた時にどうか…ということで、それが初めてちゃんと見えてくるのが初登場の回なんですね。

だから僕らが毎回しっかりやってるのは、それを見た上で、実際どうかという話を中井君と腹を割ってじっくりすること。そこで完全にお互い納得するまで話して、最終的に固めるというのが昔からずっと変わらない僕らのやり方なんです。

そこで「ちょっと違うな~」という話になったら2回目の登場ではあれこれ微調整しますし、極端な場合は最近だとガンマンなんかがそうでしたけど、もうスッパリまるまる造形ごと変えてしまうこともあるくらいです。それで出した2回目、ここが僕らにとっての本当の勝負どころ。ええ、このシルバーマンに関しては、もうこれでバッチリでしたね。この絵を見て、ああ、これでもう大丈夫だと確信しました。

それくらいここは僕らゆでたまご的に物凄く重要な場面だったので…。この巻から1枚選ぶという企画だと、もしかしたら中井君とかぶるかもしれないですね(笑)」

コンビ歴37年の勘に間違いはなかった!

そんなお話を伺った翌日、作画担当・中井義則先生に選んでいただいた1枚はなんと、まさに嶋田先生の予言通りの同場面! 実際に描かれた中井先生の立場から、同じこの1枚について語っていただきました!

中井義則先生(ゆでたまご・作画担当)コメント

「えっ、うわ~相棒とかぶりましたか、やっぱりここ? じゃあ別のところ選んで話したほうが…あえてここの話をした方がいいですか?(笑) じゃあ、なるべく作画的な立場からお話するようにしますと、僕としてはこのシーンはもう最初からこうしてページまるまる全面使って描こうというのは決めてました。

前回54巻の時のインタビューでもお話しした通り、シルバーマンは1年以上かけて練り上げてきたキャラクターで、それがいよいよ初めて動き出すシーンですから、その準備してきたものをここに全部詰め込むつもりで。

でもやっぱり難しいですけどね。威厳やら風格やら個性やら、悪魔将軍との同格感まで含めてしっかり出さないといけないし、あとは銀色に輝いているというのを表現方法から仕上げの処理までどれくらいのバランスで見せるのがいいか。やりすぎてもダメですからね。

そもそも昔の『黄金のマスク編』の頃は台座に顔のマスクが置いてるだけで、ボディーがあるなんて僕自身、想像すらしてなかったし、簡単な気持ちで描いてた顔だったんですよ。それなのに、まさかここにきてそこに“悪魔将軍と同じくらい強い”という設定にふさわしいボディーを用意するというのはものすごく難しいオーダーですよ(笑)。

 鉛筆で書き込まれた「久しぶりだね サイコマン」のセリフには両先生の熱い思いがあった 鉛筆で書き込まれた「久しぶりだね サイコマン」のセリフには両先生の熱い思いがあった

だから本当に悩みましたし、時間もかけて取り組みましたけど、結果的にはそれだけ難しかった分、面白いチャレンジになりましたね。悩みどころは多かったですけど、そこが多いほどいろいろなことが試せて面白いというのもありましたし。すべて含めて非常に描きがいのあるキャラクターになったし、愛着があります。

あと、もうひとつ。ここを選んだのは僕の絵の話だけじゃなくて『久しぶりだね、サイコマン』というこのセリフ。この短い言葉だけで、彼の優しさも強さも歴史もキャラが全部詰まってるじゃないですか。このシーンに合わせてこのセリフ、というのもまた良かったですね。相棒もここの大事さがわかってる分、いい仕事してくれたと思います!」

▲満を持して登場したこのシルバーマンが、長年の友だと語る同志サイコマンと“完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)”同士の大激闘を繰り広げる! JC『キン肉マン』55巻も要チェック! http://www.s-manga.net/book/978-4-08-880747-8.html(一部試し読みあり)

 定価400円(+税) 定価400円(+税)

■『キン肉マン』シリーズ累計7500万部突破記念55巻(好評発売中)&56巻(8月4日発売)2ヵ月連続刊行! この他にも筋肉アイドル・才木玲佳ちゃんとのコラボ動画や3Dプリントフィギュアプレゼントなど記念企画盛りだくさん! 特設サイトもチェック http://www.s-manga.net/kinnikuman/

★毎週月曜日「週プレNEWS」にて『キン肉マン』連載が無料配信中! → http://wpb.shueisha.co.jp/2016/07/25/8000/

★次回“ゆで原画”第5回はJC『キン肉マン』56巻(2016年8月4日発売予定)の発売後にお届けいたします。お楽しみに!

(取材・文/山下貴弘 (c)ゆでたまご/集英社)