7年目を迎えた東京アイドルフェスティバル2016(以下、TIF)。
ついに今年から開催が1日増え、8月5日(金)~7日(日)の3日間。東京・お台場で行なわれた。
参加グループは昨年の154組から、なんと約2倍と過去最多の301組! そして来場者は7万6千人! まさに世界最大のアイドルフェスとなったTIFは、さらにアツく燃え上がった!
初日のステージを紹介した前編に引き続き、中編では8月6日(土)の模様をお届けする。この日もキラキラと輝いていたアイドルたちを、じっくりと振り返ってほしい!
【8/6】
●まねきケチャ[SMILE GARDEN] TIF、2日目。朝の10時40分、スマイルガーデンに登場したのは、前日行なわれていた「メインステージ争奪バトル」で見事優勝し、3日目のHOT STAGEに立つ権利をゲットしたまねきケチャだ。
真夏のTIFに似つかわしくない、冬服セーラーで登場。1曲目の『冗談じゃないね』が始まった瞬間、いきなりボルテージはMAXへ! この曲の盛り上がりといったら! サビの「じょー!じょー!じょじょー!」と腕を振り上げ、「イイネ!イイネ!イーネ!」と頭を振りながらのウロウロする一連のムーブーーここでのメンバーの可愛さとともにハンパない! 会場の空に沸き立つ砂埃。舞う冷えピタ。アツい! とんでもなくアツい!!
そして、その盛り上がりから、最強の泣き&盛り上りソング『きみわずらい』へ――生きるのがあんまり上手くなくて、日常がまるで地獄で。でも、“キミ”がいてくれたら、そのすべてが美しく輝く。狂わせられる愛しいキミを思うたびに“ボク”はどんどん“キミ”に侵されていく。5人の個性的な声が絡み付くように心に染み込んでいく。あぁ、この曲を聞くと、なぜなんだろう…じゅくじゅくと心が痛む。そして、なぜか涙が出てきそうになる。
朝の光、真っ青な空の下で、どんよりと心をエグるような青春。でも、彼女たちの爽やかな声が聞く者たちを救ってくれるのだ。5人の個性的な美少女が繰り出すこの世界観。「まねきケチャわずらい」患者が増えるのも納得のいくステージだった。
●La PomPon[SMILE GARDEN] ビーイングが生んだアイドルグループ。オープニング、どこかで聞いたことある曲だなと思ったら、アニメ『名探偵コナン』のオープニング曲・小松未歩の『謎』のカバーだった。2曲目は9月7日に発売される『恋のB・G・M~イマハ、カタオモイ~』。そして最後が『ろっぽんぎ体操~愛コトバはジャンパラポン!~』。曲が始まる前にKARENが「サビに『欅坂』というワードがあるので、後ろにいる欅坂46ファンの皆さんも一緒に盛り上がってくださ~い!」と、次の欅坂46を見るために集まっていたファンにもしっかりアピール。会場がひとつになって元気に盛り上がっていた。
●欅坂46[SMILE GARDEN] 欅坂46の初参戦は今年のTIFの目玉のひとつ。その注目度は高く、整理券は瞬殺。開始前には大量のファンが観覧エリアに殺到し、土埃が舞った! 1曲目はデビューシングルの『サイレントマジョリティー』、センターの平手友梨奈が圧倒的な存在感を見せる。MCでは菅井友香が「私たちといっぱい汗をかきましょう!」と盛り上げ、“ゆいちゃんず”(今泉佑唯/小林由依)による『渋谷川』。ふたりでギターをかき鳴らし歌い上げる姿にほっこり。
ラストは長濱ねるも加わって、最新曲の『世界中には愛しかない』。どちらかといえばインドアなイメージの強い彼女たちだが、野外ステージで爽快感あふれるパフォーマンス。スマイルガーデンにフレッシュな風を吹き込んでいた。
●Dorothy Little Happy[SHIP STAGE] 正午を迎える炎天下の中、今年もTIFに現れたドロシー。昨年はメンバー編成が変わったばかりだったこともあり、バックダンサーを3人従えていたが、今年はオリジナルメンバーのふたりだけで登場。まず披露したのは『デモサヨナラ』。SHIP STAGEにファンの「オレモー!」が響き渡る。ドロシーといえば、TIFといえば、この曲!というファンも多いだろう。盛り上がりはものすごくアツいが、ドロシーの爽やかさによって、空間に清涼感が生まれる。
その後は『2 the sky』『バイカラーの恋心』『恋は走りだした』といった、彼女たちらしい切なさをまとうナンバーを笑顔で歌い踊った。MCでは、KANAが「夏、海、ドロシー、TIF!」と発言。その言葉の通り、アイドルファンの夏にドロシーは欠かせない。今年も純白の衣装と汗がキラキラと光る、アイドルの中のアイドルというようなステージを見せてくれた。
●sora tob sakana[DREAM STAGE] 真夏の真っ昼間。フジテレビの目の前に設置されたDREAM STAGE(旧マイナビステージ)に太陽の光がガンガン降り注ぐ。立っているだけでも汗がにじんでくる。そんな灼熱のステージに現れたのは、真っ白な衣装で現れたsora tob sakana。高校生ひとり、中学生3人のイノセントな4人組だ。
ピピピ…という心地良い電子音が鳴り響く。彼女たちの定番曲『魔法の言葉』だ。サビでは「魔法のこ~と~ばっ!」部分のちょいファルセットが胸をくすぐる。最年少の山崎愛(まな)が、ぎこちなく笑う。神崎風花がパカっと口を開いて笑う。太陽の光に照らされた4人の少女たちーー。白い衣装が光の加減か青く見える。DREAM STAGE後方の壁も青く、まるで少女たちは水の中にいるようだった。パタパタと踊る少女たちは、まさにオサカナだった。
生ハムと焼うどん、大阪☆春夏秋冬などが登場!
●生ハムと焼うどん[DREAM STAGE] 間違いなく、今年のTIF最大の注目株! “生うどん”こと生ハムと焼うどん。高校時代の同級生である西井万理那(まりな)と東理紗(ひがしりさ)の2人組だ(西と東、だが、ふたりとも本名)。事務所に入らず、作詞作曲から振り付け、寸劇、ブッキングまで自分たちで行なうというから驚きだ。
まず1曲目は『ツイテール』。客席をちょっとどうかというくらいにアオる! しかし、それに負けないくらい客席も全力でアオられにいく! その場を“御(ぎょ)す”能力。特に東には、その力があると感じさせられる。歌い終わった後は、お約束の寸劇コーナー。「これは、TIFの裏側?」と思わせるような「アイドルの裏あるある」なネタをぶちかます。アイドルファンとアイドルの特典会、さらに「自分よりも格上のアイドルと一緒に写メを撮ろうとするヤツは、自分の格を上げるために必死!」といった、なんとなくギリギリアウトな“アイドルdisり”も飛び出す! しかし、会場はウケまくる!
このDREAM STAGEはフジテレビの玄関前。アイドルファンよりも一般の通行人のほうが多い。そんな状態で、一般人が足を止めて楽しそうに見ている! 大きな笑いを取った後は、彼女たちの定番曲『たまごかけごはん』で締め! ふたりの“空間を御す力”に誰もが持っていかれたステージだった。
●大阪☆春夏秋冬[DREAM STAGE] 2015年のTIFで「見つかった!」と話題になり、大きな結果を残した“しゅかしゅん”こと、大阪☆春夏秋冬。1曲目の『C’mon!』から、かき鳴らされるロックサウンドと「オーマイジョーイ!ジョーイ!」と叫ぶメンバー。さらにメインボーカルのMAINAが歌い出した瞬間、フジテレビ前の空気がガラっと変わった。
驚愕の爆発力! ガンガンに踊りながらジャンプ! 客席も負けずにジャンプ! ゾクゾクと鳥肌が立っていくのがわかる。メンバーが自由に踊っているように見えるのに、キッチリと揃っている。最後の盛り上がるサビ前。一瞬、“タメ”で音が無くなる。世界が一瞬、止まる。続いて爆音。舞い上がる少女たち。鳥肌が身体中を駆け抜ける! このクォリティ! これぞしゅかしゅん!
続く『SHINE』を抜群の歌唱力で聴かせた後は、タオルをブンブン振り回す盛り上り曲『プラズマー』。メンバー全員が回すだけではなく、タオルを使っての振りを見せてくれる。「回せーー!」という声に呼応して、客席がタオルを回す。夏の台風! 夏の嵐はしゅかしゅんから始まる! 春夏秋冬がTIFに“凱旋”した瞬間だった。
●BiSH[HOT STAGE] 昨年は、2日目出演キャンセル”など、いろいろあったBiSH。だが、人気はさらに上がり、今年はとうとうメインのHOTSTAGEに登場。ハシヤスメ・アツコが「去年のTIFは本当に悔しかった!」と叫ぶと同時に、代表曲『BiSH-星が瞬く夜に-』がかかる。ZeppDiverCityを満員にしたファンは、一気に盛り上がりを見せた。
ファンの息のあったコールや振りも、昨年の応援とは大きく違っていた。そして2曲目3曲目と『BiSH-星が瞬く夜に』は続く。なんと、持ち時間全て『BiSH-星が瞬く夜に』を繰り返すという無謀なステージに! だがメンバーもファンも勢いを落とすことなく全力で同じ曲を繰り返す30分のステージ。ちなみに、翌日のDOLLFACTRYでのライブも全て『BiSH-星が瞬く夜に』だった。
●GEM[SHIP STAGE] 海の風が香るSHIP STAGE。新しいOvertureに乗って現れたGEMは、真夏の太陽に喧嘩を売ってるかのような黒い衣装。新メンバーも入り、新たなGEMの歴史が始まる。1曲目は『Spotlight』から。「イッツショータイム!」と叫ぶ声が空に吸い込まれていく。曲が進むにつれ盛り上がっていくボルテージ。GEMのショータイムが始まる!
続いて、彼女たちのデビュー曲『We’re GEM!』。元・センターの武田舞彩がロサンゼルスへの海外留学のため活動休止したことにより、この『We’re GEM!』の輝きも少し輝きが落ちるかな…と思ったが、全然そんなことはなかった。メンバーたちの気迫がすごい。笑顔の気迫! 現センターの村上来渚(らな)が力強い笑顔で歌う。新メンバーで最年少の西田ひらりが小さな身体で真っ直ぐに歌う。彼女が歌うと、空気がガラリと変わる。その初々しさに胸がキュンとする。武田舞彩のパートを、うまく引き継いでいた。
『Party Up』、そして最後は『Can’t Stop Loving』。新生・GEMも以前の通り、ハイクォリティなステージを見せてくれた。
●マジカル・パンチライン[SKY STAGE] アイドリング!!! の“爆弾娘”こと、佐藤麗奈が作ったアイドルグループーーそれがマジカル・パンチライン。通称“マジパン”。「見習い魔女」という設定で、冒険・物語といった感じの曲が多いのが特徴だ。
真っ青な空の下に現れた5人組。見た瞬間にわかるルックスの良さ! リーダーのさとれなの仕上がり感。さらに、小山リーナと清水ひまわりの中学生コンビの可愛らしさに目が行く。『Magiかよ?BiliBili☆パンチライン』から始まり、『Prologueは摩訶不思議』へ…。腕を大きく振る、スカートが揺れる。アニメの魔法少女主題歌のような楽しさだ。5人ともふくらはぎが細い。二の腕が細い。まさに魔法少女のような2次元感たっぷりだ。
小山リーナの褐色の肌。浅野杏奈の部活少女感。清水ひまわりの、まさにひまわりのようなキラキラオーラ。なんなんだ、この夏少女たちは!? ラストの『Never Ending Punchiline』は「前に進め!」という力強い冒険ソング。「私たちは止まらない!」という誓いの下、思い切り蹴り上げる! 腕を振り上げる! 最後は後ろを向いて、全員で右手を空に上げる! それはまるで『ONE PIECE』のワンシーンのようだった。旅を続ける“仲間”であるファンと、絆を確かめあうような“意志”を感じた。あの“爆弾娘”が、とんでもないアイドルグループを作っていた。
わーすた、ハコイリムスメなどが登場!
●みんなで一緒に名曲を歌っておどろうステージ[HOT STAGE] 元モーニング娘。の矢口真里と辻希美をレジェンドとして迎え、現役のアイドル達と共演した企画ステージ。『恋のダンスサイト』『ミニモニ。ジャンケンぴょん!』『LOVEマシーン』を披露して会場を盛り上げた。曲の間にはトークコーナーが設けられ、中学生アイドルが「お父さんとお母さんがファンでした」と答えた際には会場にどよめきが起こった。最後の『LOVEマシーン』ではサビ前で音声トラブルが起こり、曲が中断するハプニングもあったが、矢口の往年のトーク力が発揮され、再度盛り上がる等、当時のファンからしたら嬉しいハプニングだったのかもしれない。
●わーすた[HOT STAGE] 今年5月にメジャーデビューした、「世界に“KAWAIIジャパンアイドルカルチャー”を届ける」グループ・わーすた。結成2年目、メジャーデビュー3ヵ月でメインステージに立つということから、彼女たちの人気と実力がうかがえる。普段のパステルカラーからは一変、モノトーン衣装でメインステージに登場すると、9月リリースの1stシングル『完全なるアイドル』を初披露。「アイドルの表面」と“猫耳しんどい”などの愚痴を言う「アイドルの裏面」をゴシック・ロック調でコミカルに歌う。
MCの後は、わーすたといえば、この“ネコ感”という『いぬねこ。青春真っ盛り』や、セクシーな一面を見せる『Zili Zili Love』、カワイイ歌詞で夏らしく爽やかに盛り上げる『ワンダフル・ワールド』が続く。わーすたのわーすたらしさ、カワイさが爆発だ。ラストは三品瑠香の「一緒にトリケラトプス倒しましょう!」のひと言から『うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ』。「恐竜を倒す歌…?」と不思議に思えるが、これが本当に盛り上がる! ファンはメンバーと一緒に必殺ビームを放ちまくる。無事にボスのトリケラトプスを倒した時には、謎の達成感があった。
●志田サマー新井サマー[SMILE GARDEN] 夢見るアドレセンスの志田友美と、東京女子流の新井ひとみの夏限定ユニット。それが志田サマー新井サマーだ。「アーティスト宣言」をし、アイドルイベントへの出場をやめてしまった東京女子流から、新井ひとみがやってきたのだ。TIFで彼女が見れる…こんなに嬉しいことはない!
大学のサークルが作ったような「志田サマー新井サマー」の文字入りTシャツに短パンといった夏っぽい姿で登場したふたり。早速、1曲目『あんなに好きだったサマー』からスタートだ。しっとりと歌い上げるふたり。茜色に染まりつつある空に響きわたる新井ひとみの声。思わず、胸がアツくなる。そうだ。新井ひとみがTIFに帰ってきたのだ。歌い終わりのMCで志田友美が「ひぃちゃんがTIFに帰ってきたよー!」と叫ぶと、彼女も「ただいま~!」とファンに手を振る。「おかえりー!」と手を振り返すファンたち。
「みんな、たくさん来てくれてありがとう! でも、なんで、あんな後ろの冊のほうにいるの?」と、志田友美がステージから遠くに離れた無銭エリアにいる客を指差して言う。すると新井ひとみが「きっと大人の事情だよ」と、悟ったようなコメント。これには客も苦笑い。続いて、「次の2曲は、ノリノリの曲だよ! みんな私たちについて来れるー?」という言葉通り、『灼熱サマー』と『GOGOサマー!』を披露。お互いがアイコンタクトをしながら、両手を広げ、手の平をヒラヒラと舞わせながらアオる。楽しい! これぞ夏だ! これぞサマーだ!
とびっきりの美少女ふたりのサマーなステージ。これを見なければ夏は迎えられないーーそう思った。
●ハコイリムスメ[SMILE GARDEN] 志田サマー新井サマーに続いて登場したのは、お嬢様集団・ハコイリムスメだ。ご挨拶は「ごきげんよう」。爪先ほどの下品さもない少女たち。…っていうか、少女どころか幼女? と見間違うような小さなメンバーがひとり。最年少の井上姫月(ひるな)ちゃん(小学6年生・11歳)。かなりのインパクトだ。そんな彼女たちが、夏らしいワンピースで歌う『夏に急かされて』。背伸びする少女の恋。その爽やかな清純さに思わず頬がユルんでしまう。
続いては『Let’s Party Time!』。レゲエっぽさとダンスホールっぽさを併せ持つ夏の新曲。ハコイリムスメっぽくない攻め曲だ。夏のリゾート感も心地良い。そして最後は『なかよし』。「いつまでもなかよしでいよう」という、ピースフルソング。客をアオることもない。激しいダンスがあるわけでもない。でも、なんと贅沢で心地良い空間なのだろう。爽やかすぎて安心する。アイドルには、こういう戦い方もあるのだ。いや、これぞアイドルの正しい姿なのかもしれない。
●ハコイリムスメ×さんみゅ~スペシャルコラボ[SMILE GARDEN] ハコムスの穏やかなステージが終了後、次に登場するさんみゅ~のメンバーがステージに現れた。「実は、仲が良い」という2グループ。一度コラボしたところ、TIFの総合プロデューサーに好評だったことから「じゃあ、TIFでもコラボっちまいなYO!」と言われたとか。そこで選ばれた曲は、往年のアイドル・早見優の名曲『夏色のナンシー』。ハコイリムスメろさんみゅ~が「恋じゃない!」と歌えば、ファンも全力で「イエスッ!」と返す。なんと美しく楽しいことか…まるで80年代のアイドル現場のよう! 最後はメンバー全員で純白のハートマークを作る。正面から見るとちょっぴりくずれたハートマーク。でもメンバーみんな、得意そうに満面の笑顔。その笑顔が可愛らしい! とても幸せなコラボだった。
さんみゅ~、椎名ぴかりんなどが登場!
●さんみゅ~[SMILE GARDEN] ハコイリムスメたちが「ごきげんよう~」と退場した後、「かわいかった~」と盛り上がりながら、メンバー全員がステージ中央に集まり、円を描く。そのまま「きぃ~みぃ~が~」と、『夏祭り』の頭サビ部分をアカペラで歌い出す。ファンも「うぉぉぉ!」と叫ぶ。そう、さんみゅ~といえば『夏祭り』だ! 夕暮れの始まりに夏の祭りが幕を開ける。
続いて『大好きだ 何度でも~夢のしっぽ』へ。新原聖生(にいはらせな)がジャンプしながら歌う。小林弥生がはにかみながら歌う。「大好きだ!大好きだ!」と歌えば、ファンは「オレモー!」と返す。このレスポンスをすればするほど、会場のボルテージが上がっていく。「この『大好きだ』は、もしかしたら俺に言ってるんじゃないか?」と思えてしまうほど、メンバーは会場の客たちに視線を合わせてくる。やばい! 楽しい!
そして最後は『そっと、ぎゅっと、もっと、ずっと』。サビで手の平をひらひらと振る。グーを握って、パッと開く。腕を円を描くように回す。その動きをファンもトレースする。まるで、手の平で会話をしてるようだ。なんとウキウキで、幸せすぎるステージだろうか。さんみゅ~を愛し、応援するファンたちは幸せ者だ。いつもこんなに上質で優しいステージを見られるのだから。
●椎名ぴかりん[DREAM STAGE] 暑い太陽の陽が射し込む中、黒いマントを覆った2人組を引き連れてDREAM STAGEに“降臨”したのは“魔界人アイドル”の椎名ぴかりん。真っ赤なスピーカーを持ち、「うぉ~!」と図太く低い声で叫ぶと『魔界のI LOVE YOU』のイントロが流れ、ステージがスタート! 観客も負けじと「うぉ~!」と叫び、序盤から激しい盛り上がりをみせる! 間奏に入ると、観客が頭を上下に振りヘドバンで応戦!
2曲目の『魔界女子☆恋モード』を歌う頃には、半分だった観覧スペースが“魔界に魅了された人々”で埋め尽くされることに。「ぴかりん様と一緒に心中しよう」と言ってスタートした3曲目は『魔界心中』。続けて披露したラスト曲『ドゲザナサイ~お前をひざまづかせてやろうか~』では、ファンの中ではお馴染みの「土下座」でぴかりんの歌を待つ観客達。この曲では、土下座した人の上をぴかりんが歩くパフォーマンスがあるのだ。
…しかし、TIFではそれができない。安全面の理由から、観覧スペースに出演者が降りたり、観客と触れ合うことは禁止されているのだ。その状況に納得できなかったのか「土下座ロードが作れないなんて人間じゃない!」と言い放ち、ステージ裏へと消えてしまったぴかりん。マイクを伝って聞こえてくる、ぴかりんの歌声だけを聴きながら最後の曲は終了。あっという間に魔界へと引きずり込まれた15分だった。なんだったのだろうか…また味わってみたいステージだった。
●青山☆聖(せいんと)ハチャメチャハイスクール[DREAM STAGE] ぴかりんの“魔界ステージ”から一転、「いつも応援してくれるティーチャー(ファン)にー!」「感謝ー!」「素敵な出会いにー!」「感謝ー!」「そしてこの7人にー!」「感謝ー!」と、ステージに登場する前から明るく可愛い声を響かせたのは、青山☆聖ハチャメチャハイスクール。7人組のこのグループ“メチャハイ”。このステージをもって坂木ひとみ、奈良井夢(ならいゆめ)、水原汐莉(しおり)という3人が脱退する。それでもステージに現れた彼女たちの表情に戸惑いや悲しみは一切感じられない。
アップテンポな『BEYOND THE DARKNESS』で1曲目がスタート。「持ってる力を出し切るぞ」と言わんばかりに全力で歌い踊る姿が胸に突き刺さる。間奏の間、「今日は見に来てくれてありがとうございます!」とファンへの感謝を忘れないメンバー。それに対し、ファンも「あいっ! あいっ!」と右手を振りかざし力強く応える。「この7人での最後の作品です、聴いてください」と『Time of Innocence』が始まると、だんだんと日が傾き、ステージにオレンジ色の陽が差し込んだ。「たとえ世界中が変わり果てても、私はずっと変わらないから…」という歌詞が彼女たちの気持ちとリンクしているようだ。
そして何より印象的だったのは、赤の衣装でセンターを務める、菜田(さいだ)彩佳。終始笑顔を絶やさず、パフォーマンスを最後までやりきった。この笑顔がある限り、メチャハイは大丈夫。そう思えるステージだった。曲が終わると、脱退するメンバーの水原汐莉から、挨拶がスタート。「2年間、この事務所でアイドル活動をしてきたんですけど、本当にたくさんの幸せな思い出とか、辛い思い出もあったんですけど、私の頭の中に残るのは楽しい思い出ばっかりで、本当に本当に幸せな時間でした。私は持病の手術をする予定なんですけど、その時は、みんなの顔やみんなとの思い出を思い浮かべて頑張りたいと思います」(水原)
「2年間メチャハイとして活動できて、こんなに素敵なメンバーに出会えたし、スタッフさんに出会えたし、何より大好きなティーチャーさんに出会えた素敵な2年間でした。これから壁にぶち当たるかもしれませんが、みんなの顔を思い出して、幸せいっぱい頑張っていくので、みんなも私のことを忘れないで、みんなの糧(かて)になれたらと思います。アイドルゆめめは永遠です! ありがとうございました!」(奈良井)
「4年間のアイドル人生に終止符を打つ日にこうして、皆さんと盛り上がることができて楽しかったです。どんなに楽しくない時でも、辛い時でも皆さんがいたから頑張れたし、あんまり友達とかいなかったのに、こんなに好きになってくれる人がいたので、生きてて良かったと思いました。4年間支えてくれた皆さん、ありがとうございました!」(坂木)
3人は、ハッキリした口調でファンに向かって最後の挨拶を行なった。もうこのメンバーでのメチャハイは見ることはできないけど、これからどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。彼女たちのガールズパワーに期待したい。
●山口活性学園[DREAM STAGE] オレンジ色の空がより一層濃くなった頃、DREAM STAGEに色とりどりのカラフルなスニーカーを履いて登場したのは、山口県を拠点に活動する山口活性学園の6人! 1曲目の『対番兵器』のイントロが始まると、客席から雄叫びが上がり、メチャハイの寂しい空気を一転させた。一気に“山活”ワールドへと引き込んでいく。
2曲目に披露したのは『CANDY』。「ありのままの姿をさらけ出してやればいい」という力強いメッセージが込められた曲だ。その楽曲の力強さに引っ張られるかのように、メンバーのダンスにも力が入っていくのがわかる。特に150センチしかない華奢(きゃしゃ)な体を目一杯使って歌い踊る森脇優衣から目が離せなくなった。他のメンバーも、歌の途中で蹴り上げた足の高さやダンスのキレがハンパない…! まだ彼女たちはそこまで知名度はないが、そのパフォーマンスを見ていると「もっともっと上へいける!」と思えた。
「次は最後になります! みんなでノっていくよー!」と、メンバーのかけ声とともに始まったのは、この日のラストソング『シャクネツ』。「灼熱の最高気温♪」の歌詞通り、この場所の温度は急上昇。まさにシャクネツとなった。「いくよー!」「もう一回!」アオりも激しさを増していく。メンバーもファンもタオルをこれでもかと振り回し、会場のボルテージも最高潮に! 暗くなった景色に白や赤のタオルが映えてキレイだ。3曲を全力で歌い終えた彼女たちの顔には、まだ力が残っているようにも見える。恐るべし、山活! 今後が気になるグループがまたひとつ増えた。
●callme[DREAM STAGE] 2日目のDREAM STAGEのトリを務めたのはRUUNA、KOUMI、MIMORIからなる3人ユニット、callmeだ。『In my dream』『My affection』『step by step』と代表曲を披露。息の合った、しなやかでキレのあるダンスは何度見ても目を奪われる。足元に注目するとヒールの細いハイヒールなのがまた驚かされる。以前に在籍していたDorothy Little Happyとは全く違った方向に進み、昨年より大きく進化したcallmeのステージ。もっと観たいと思わされた。
(取材・文/TIF大好き取材班、撮影/武田敏将・関根弘康・アオキユウ)